Souvenir cat.
昨夜、別れ際にラインを登録しておいたセオからメッセージが届き、俺とレイは京都駅の新幹線改札に向かうことになった。
「ちょっと時間あるから、お土産でも買ってく?」
黒いコートのポケットに手を突っ込んで、物珍しそうに土産小路を歩くレイに気付いて俺は問いかける。
「やっぱり、和風?の物が多いんだねぇ。」
棚で区切られた小さな店の一つに入り、感心しながら呟くレイは、バスの中でのはしゃぎ様と言い、京都に来るのも初めてなのだろう。
「外国人めっちゃ来るからね。」
「そっか。」レイは頷き、首をぐわんぐわん揺らし続けて笑う招き猫を手に取って
「これ、夜になってわたしが寝てる間もこうやって動いてるのかなぁ」と不思議そうに呟いた。
「だったらすごい恐いんだけど。」
「そういやそうだね、この店が閉店して暗くなっても、深夜にコイツ等が集団でニヤけながら首振ってるの想像するとホラーだわ。」
棚にズラリと陳列された大小様々、色とりどりの猫の大群を見ながら俺が笑いながら言うと、レイもおかしそうに笑い、狭い店内で隣に居てたオッサン店員に睨まれながらそそくさと店を出る。
「あははー楽しい。あのね、わたし猫と同居してるの。」
レイが笑いながら言った。
「黒猫なんだけどね。あれ買って行ったらどうなるかなー?」
「うーん。俺、動物飼ったことないから解んないけど…ああいう作り物を見て、“自分と同じ、だけどニセモノだな”とかってちゃんと理解すんのかね?」
「あの動きにビビって秒殺しちゃうかな?」
「秒殺って…いや、案外仲間だと思って、じゃれたり遊んだりするかも?」
「あー、それ見たいかも。じゃあ買えばよかったかな。」
「新幹線の中でもグラグラ動いてんの鬱陶しくね?…あ、荷物になるから浅草で買ったら?」
「そっか!浅草でライブする時に行ってみよー。もしかしたら、夜になると首がストップ出来るやつもあるかも。イトちゃんさすが……。」
レイはそこまで言って、何かに気付いた顔で首をかしげて俺を見詰めてくる。
「そういえば、イトちゃんって京都の人じゃないの?」




