いえは安全地帯
「つぐみ。かき氷いる?」
頬を膨らませながら座るつぐみに、蛍がそんな能天気な声を出す。
「そんなの!い……るけど!なんで結局家なの!?」
「外が嫌だから。どうせ幸せなら、楽な幸せがいいでしょ?」
「よくない!頑張って手に入れた幸せのほうがいいよ!」
「そうかな?僕はつぐみといれば、いつでも幸せ100%だよ?」
「私もそうだけど!それとこれは違うの!」
「ふーん。かき氷できたよ。」
「………」
つぐみはかき氷を受け取ると、ゆっくりと食べる。
「……蛍くんは、私と遊びに行くのイヤ?」
ぽつりと、寂しそうな声でつぐみは言った。
「……すごく楽しいけど、遊びに行くのは嫌かな。」
「どうして?」
「つぐみが他人に見られちゃうから。かわいいつぐみを汚れきった目で見る人がいるのが嫌なんだよ。」
蛍はそう言うと、後ろからつぐみを抱きしめる。
「それは分かったけど、私は気にしないし……」
「そんなに行きたいの?」
「うん。せっかく恋人になったんだし、どこか行きたいよ……」
「そっか。じゃあ一個だけ条件を出すね。」
「条件?」
「うん。移動中はずっと僕と手を繋ぐこと。わかった?」
「うん!約束だよ?」
「わかってるよ。」
そう言い、二人は指切りをした。




