えんそくは山登り(後編)
「ねえ、伝えたいことがあるんだ。」
「ん?もしかして、昨日の夕方言ってたやつ?」
つぐみはそれを頷いて肯定する。
立ち上がると、蛍の足を跨ぐように座り、蛍をまっすぐ見る。
その距離は、お互いの吐息がかかるほど近い。
「え!?な、え!?」
蛍はつぐみの突然の行動に困惑するが、つぐみは全く気にも留めず、話を始める。
「ねえ、ずっと言えなかったんだけど、今日、晴れてたから言うね。」
「う、うん。」
つぐみの声のトーンから、本気だと判断したのか、蛍もつぐみをまっすぐ見る。
「ずっと好きでした。付き合ってください。」
「………え!?ぼ、僕?」
「ほかにいないよ!!で、返事は?」
つぐみは首をかしげながら蛍に尋ねる。
一方の蛍は顔を真っ赤にして、目を泳がせる。
「ひ、人がいっぱい見てるし、後じゃダメ?」
「だーめ!今じゃないと!で、返事は?」
「……………きだよ。」
「え?もう少し大きな声でお願い。」
「ぼ、僕も好きだよ。」
蛍は恥ずかしさのあまり、目線を合わせられないままそう言う。
蛍の返答を聞いたつぐみは、蛍に抱き着くと、頬にキスを落とす。
「晴れてよかったね!!」
はにかみながら笑うつぐみの頬に、蛍は顔を赤くしながらも優しくキスをした。
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