げーむは蛍が危険(後編)
普段の様子とはまるで違う嗜虐的な笑みを浮かべている蛍を見たつぐみは後ずさる。
その笑みは、前につぐみを無理やり連れていこうとした男たちを社会的に殺した時に浮かべていた笑みとそっくりだった。
「あ、あとでじゃダメ?」
「だーめ。」
「きゃっ!」
後ずさるつぐみを壁まで追い詰めた蛍は、つぐみの顔の横に右手をつく。
「「「「「か、壁ドン!?」」」」」
周りからの興奮したような声。
「ふふっ。そんな顔するつぐみもかわいい。ねえ、お願いを何でも聞いてくれるんだよね?」
「あ、あれは言葉の綾っていうか……」
「聞いてくれるよね?」
「……はい……」
「うん。じゃあ、お願いは……」
そう言うと蛍は左手でつぐみの顎を持ち上げ、自分のほうを向かせる。
「一生僕と一緒にいること。」
その言葉に、クラス中が固まる。
「ね?」
「ふえ!?ひゃ、ひゃい!」
つぐみは茹で上がったように真っ赤になり、思考を停止させた。
それとほぼ同時に、蛍も顔を真っ赤にし、蹲る。
クラス中がそれを見る中、蛍の呟きが聞こえた。
「や、やってしまった。また変なスイッチが……」
そう呟く蛍は紛れもなくいつもの蛍だった。
この後クラスでは蛍に勝負を挑まないという暗黙の了解ができた。
蛍くんの闇が見えましたね……




