むちゃは厳禁
「つぐみ、本当に大丈夫なの?」
「うん!もう風邪は治ったし!」
「そっか。でも、昨日結構苦しそうだったから。」
「だって、私滅多に風邪ひかないんだもん。だから、あんまり風邪の時の苦しさになれてなくて。」
「ふーん。大丈夫ならいいんだけど、いつもよりも動きが鈍い気がして。」
「ほら、大丈夫だよ。」
つぐみはそう言い、その場でくるっと回る……が、上手く止まれずによろめいてしまい、蛍に支えられる。
「やっぱり、まだ完全に良くなってないでしょ?」
「あー、やっぱりばれちゃうかぁ。」
「当然だよ。気が付かないと思ってたの?」
「うん。……もしかして蛍くん機嫌悪い?」
「当然。」
蛍はそう言うと、つぐみの両方の頬を引っ張る。
「い、いひゃい。」
「つぐみ、僕は今怒ってるからね。僕にとって、つぐみは何よりも大事なんだ。だから、具合悪いのを隠したりとか、無茶したりとかしないで。わかった?」
「ひゃい。」
「よろしい。」
蛍はそう言い、つぐみの頬から手を放す。
「ごめん。痛かった?」
「うん。でも大丈夫。蛍くんが本当に私のこと大事にしてくれてるってわかったから。」
つぐみはそう言うと、蛍の左手に自身の右手を絡ませて歩き出した。




