あこがれは大変(前編)
「蛍くん、私小さい頃からの憧れがあるんだ。」
昼休み、つぐみは急に椅子から立ち上がるとそう真剣な表情で言った。
「何?」
蛍はその真剣さを感じたのか、読んでいた本を閉じてつぐみと向き合う。
「それはね……
……彼氏にお姫様抱っこしてもらうことです!!」
「え?真剣な表情と口調で言ったのがそれ?」
「ダメだった?」
「憧れの内容自体はいいんだけど……」
蛍は自分の腕をまじまじと見る。
日焼けがなくひょろっとした体型の蛍の腕は、体と同じくひょろっと頼りなさそうな見た目をしている。
「僕の筋力でできるかなぁ?」
「……気合?」
そのまま二人とも暫く見つめ合った状態で固まる。
「とりあえずやってみてよ。」
「やっぱり僕の筋力では無理だと思う。」
「いいからやってみて!落としても文句言わないから!」
「……そこまで言うなら。」
蛍は立ち上がってつぐみに近づくと、首をかしげる。
「え?お姫様抱っこってスタートどうするの?あの状態に持っていけないよ?」
「え?私も知らないよ?」
二人で考えているうちに予鈴が鳴って昼休みは終わりを迎えた。
さて、もやしっ子の蛍くんがお姫様抱っこをする方法はあるのか!?
次回に続く。
ああ!!サブタイトルに前編ってつけてなかった!!




