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えんそくは山登り(前編)
「ふぅ……やっと着いた!」
少女は青と白と緑、三色のグラデーションを見下ろしながら、山頂の目印にさわる。
「つ、疲れた………ねえ、つぐみ。なんでそんな元気なの?」
つぐみと呼ばれた少女とは対照的な様子の少年、蛍は半分倒れ込むように座る。
「体力無いな~。いざというときに彼女を抱えて逃げれないよ?」
「いい、の。抱えなくも逃げれる人を彼女にするから。」
「私みたいな?」
「うん。」
蛍は立ち上がると、クラスメートたちの邪魔にならない場所に移動する。
「ん?座らないの?」
「あ、うん。座るよ。」
つぐみは蛍の隣に座ると、晴れている空を見上げる。
「よし!」
「ん?どうかした?」
「い、いや。何でもないよ。」
「そう?ならいいけど。」
心で入れたはずの気合の声が漏れていたことにつぐみは赤面するが、蛍は気にせずに水分補給をする。
キリが悪いので、次の話まで今日中に更新します。