確認
お久しぶりです。
多忙につき、以前のような更新ペースを守れずに本当にすみません。
静藍は、魔法歴史博物館から呪文を唱えて学校まで戻ると、急いで永遠たちを探した。
それぞれの部屋を見ても誰もいず、ふと、図書館へと向かった。
図書館のドアを開けると、中には永遠と紅玉と翡翠と瑠璃と菫青がいた。
「あ、先生お帰りなさい、どうかしたんですか?」
翡翠はのん気に静藍を迎えた。
「ああ、政府にお前たちを連れて来るよう言われたんだ。と、言う訳ですぐに博物館へ向かう。玄関前で待ってろよ。誰か、陽と陰を知らないか?」
「あ、私お昼に二人に会いました。」
「そうか、私は琥珀を呼んでくるから誰か探しておいてくれないか?」
「じゃあ、僕探しておきます。」
永遠の目撃情報を元に紅玉は二人を探しに駆けていった。
その間に、静藍は自分の部屋へと急いだ。
ドアを勢い良く開けると、足音を聞いたのか琥珀が静藍を待ち構えていた。
「琥珀、いいかよく聞け、これから私と一緒に博物館へ行くことになった。中には、政府やら生徒やら人が沢山いる。でも、行かなきゃならないんだ。大人しくついて来てくれるか?」
人が沢山いると聞いて躊躇うそぶりを見せていたが、静藍の気迫に負けたのか渋々頷いた。
「そうか、よし、じゃあ行こう。」
静藍が廊下に出ると、琥珀はその後ろに隠れるようについて来た。
静藍たちが玄関へ向かうと、ちゃんと全員が揃っていた。どうやら、紅玉が頑張ってくれたらしい。
「よし、全員揃ってるな。では、これから博物館へ向かう。」
「え?先生、どうやって行くんですか?車ですか?」
紅玉が静藍の言葉に質問した。
「いや、車じゃあ、到底間に合わない。魔法を使って移動する。」
「え!?本当ですか。」
静藍の言葉に翡翠は目を輝かせた。
「ああ、いいか?絶対その場から動くなよ。」
静藍はそう前置きすると、静かに呪文を唱えた。
「魔力よ、我が望む場所へと連れて行くのだ!」
静藍が呪文を唱えると、目の前が真っ白に染まり、気が付くと見たこともない建物の前にいた。
「ここが魔法歴史博物館だ。」
「わお!!本当に一瞬で移動しちゃった!!」
紅玉は興奮したように叫んだ。
「じゃあ、ついて来い。」
静藍は、大股で建物の中へと入ってしまった。
静藍のすぐ後ろに琥珀、その後ろは菫青、陽、陰、瑠璃、翡翠、紅玉、永遠と続いた。
静藍は、迷うそぶりも見せずに次々に部屋を突っ切っていった。
静藍が最後のドアを開けると、そこには、沢山の人々が待ち受けていた。
あまりの人の多さに思わず琥珀は静藍のローブを握り締めた。
静藍たちが入ると、一部の人たちが驚いたように目を見開き永遠たちを凝視していた。
「ああ、先生早かったですね、その生徒さんたちですか?」
「はい、そうです。」
沢山の人の中から品の良いおじいさんが静藍に話しかけた。
このおじいさんも一瞬だけ息を呑んだが、後は何事も無かったかのように続けた。
「では、早速確認しましょうか。」
「・・・は?」
おじいさんは、いきなりそう言った。
「そんなことしても無駄よ!!だってそいつらは魔力が無いんですもの!!」
生徒の方から零の大声が上がった。
「お譲ちゃん、どうして無駄だと思うのかね?」
おじいさんは視線を零に向けた。
「だって、魔力が無いなら一体どうやって『伝説の八道具』を使うというのよ!」
零の言葉に政府からも「そうだ、その子の言う通りだ!!」という声が上がった。
「お譲ちゃん、『伝説の八道具』は元々、魔法道具だったんだよ。」
「は?だから何だって言うのよ?」
零に向かっておじいさんはゆっくりとかんで含めるように言った。
「魔法道具を使う人は、一体どんな人だったかい?」
その瞬間、零は言葉を失った。
「一体、どういうことですか?」
政府から、疑問の声が上がった。
「やれやれ、あんたたちよりもこのお譲ちゃんの方が察しがいいとはなぁ。」
おじいさんは溜息をつきながら説明した。
「魔法道具を使う人は魔力が多すぎる人だろう?」
「だから、どうしたって言うんですか。」
「魔力の多い人は、魔力を引き出せない。つまり、魔法が使えないんじゃ。」
その瞬間、政府も生徒もまた、永遠たちでさえ絶句した。
永遠たちは魔力が無かったのではない。
魔力が多すぎたのだ。
「じゃから、そこの生徒さんたちにも『選ばれし者』の可能性は十分すぎるほどあるんじゃ。」
ふぉっふぉっふぉ
とおじいさんは朗らかに笑った。