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八人の魔法使い  作者: 小伽華志
サトラ・ミナ編
3/29

救出劇

申し訳ありません!一つ章を間違えてしまいました。

修正日 11月5日






(…誰?…誰が来たの?…)


 永遠は、水でかすむ目を凝らして曲がり角から現れた少女を見た。


 鳶色の髪の少女は、まっすぐにこちらを見つめていた。


「なによあんた、なんか用?」


 取り巻きの一人が鳶色の髪少女に気付き、近づいていった。


  鳶色の髪少女は、黙って私を指差した。


 「なに、別にあんたには関係ないでしょ、それともあんたもこうなりたい?」


 薄笑いを浮かべながらそう言うと、取り巻きの一人は仲間を呼んで鳶色の髪の少女に向き直った。


 「なによ、ずいぶんと生意気じゃない?あんた、なんかできるの?ほら、震えているじゃない。大丈夫でちゅかー?お姉さんと一緒にお部屋に帰りまちゅかー?」


 その言葉を聞いた瞬間、取り巻き達が爆発的に笑った。 


 やがて少女は、にっこりと微笑むと握り締めていたなにかを取り出し、口元に持っていって吹いた。


 ぴいいいいいいいいいいいいいいいい


 廊下に甲高い音が響き渡った。


 「なによ、あんた邪魔する気?!」


 それを見た取り巻きの一人が、少女の三つ編みを引っ張った。


 「やめて!」


 永遠は、思わず叫んだ。しかし、その声は空気の泡としかならなかった。


 その瞬間、階段から二人の少年と少女が降ってきた。


 「水遊びとは風流ですね。」


 「しかし、こんな暗い廊下でやるもんじゃありませんよ。」


 「どうせなら中庭がいい。」


 「あそこなら明るくて暖かい。」


 「は?!あんた達なに言ってんの?!」


 二人の登場に驚いて、鳶色の髪少女の三つ編みを引っ張っていた取り巻きは思わず三つ編みを放してし

まった。その隙に黒髪少年と白髪少女は二人の間の入り込んだ。


 「おや、遠回しに言っても通じませんか。」


 「単刀直入に言えば、その事を言っているんですよ。」


 そう言って、黒髪少年と白髪少女は私を指差した。


 「ああ、あんた達もこれが気になるの。別にこいつが気に入らないだけ。」


 零は、腕を組むと言い返した。


  黒髪少年が白髪少女の耳になにかをささやいた。


 「最後の警告です。これから数える十秒のうちに逃げるなら逃げてください。」


 白髪少女は言った。


 「は?あんたの指図なんて受けないわよ。」


 零と取り巻き達はにやにやと笑うだけで逃げるそぶりすら見せなかった。


 白髪少女は肩をすくめると、手を出してカウントダウンを始めた。


 「十、九、八。」


 黒髪少年が交代する。


 「七、六、五。」


 白髪少女の声が重なる。


 「四、三、二、一。」


 最後の一本を折った瞬間、廊下の曲がり角から赤髪の少年が飛び出してきた。


 赤髪少年が飛び出した直後、後ろから猫を抱いた金髪の少女が飛び出し、赤髪少年にぶつかりそうに

なって慌てて左に避けた。その瞬間、茶髪少年が飛び出し、赤髪少年にぶつかってそのまま二人とも前に倒れてしまった。


 「…いってー。」


 「わ!すいません!」


 茶髪少年があわてて赤髪少年から降りると,赤髪少年に手を貸しながら一緒に立ち上がった。


 「さてと、どうしてこんな所でしかも人に向かって魔法を使ってるんですか?」


 ローブに付いたゴミを払いながら茶髪少年は零に聞いた。


 「…だって、こいつがむかつくんだもん。こいつだけ悲劇のヒロインぶって先生達に気にかけてもらえ

て、そんなの不公平だもん!」


 「は!?そんなことで魔法を使ってんのか!?」


 搾り出すように話した零に対して赤毛少年は噛み付くように反応した。


 その時、永遠は金髪少女が抱えていた猫を放すのを見た。猫は少女の足に頭をこすりつけてから曲がり

角のむこうに姿を消した。


 「だって、そんなの納得できないんだもん。そんなの不公平だもん!」


 零はそう叫ぶとさらに水を巻きつけた。


 バキン


 永遠は自分の肩が外れる音を聞いた。


 (…痛い…痛いよ…やめて…)


 「やめろ!」


 赤毛少年が叫んだ。その時、足音が聞こえた。


 「先生、こっちです。」


 「げ、やばっ。」


 先生と聞いた瞬間、零達は慌てた。


 「解除!」


 手を振りかざして零が魔法を解除する。その瞬間、永遠は、水の中から放り出された。


 「痛っ!」


 肩にズキンと痛みが響いた。


 永遠に構わず零達は我先にと逃げ出していった。


 「おまえら大丈夫か?」


 静藍が永遠に駆け寄った。


 「痛っ」


 「あーこれは肩外れてるなー」


 肩を触って静藍は確かめた。


 「保健室行くぞ、あーっとお前らも一緒に来い。」


 静藍は立ち上がると手招きをした。


 「はーい。」


 赤毛少年が返事をした。永遠は、猫と共に立っている灰色の髪の少年に気が付いた。


 その時、永遠は何かが始まるようなそんな予感がした。





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