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回想

性転換したあと、ふつうの女子高生になった日向ひよりでした。

日向が直也の交際申込を断ってから10ヶ月ほど経った。


日向は、隣の県の女子校に通学していた。


自宅からはかなり遠いところにあり、通えない場所である。

幸いにも親類が学校の近くに住んでいたことから、下宿させてもらい、そこから通学している。


日向は予定どおりモデルを引退しており、ごく普通の女子高生としての生活を送っていた。

性転換手術とそのアフターケア及びホルモンの投与で、容姿は完全に可愛い女の子になっていた。

生理はさすがにないので、ごまかすのに苦労はしたが、それ以外は、全く不自由はなかった。


友達は何人かできた。


可愛くて、明るく、男の子のようにサバサバしている日向(元々男の子だったのだから当然なのだが)

は、自然に受け入れてもらえた。

ファッションの話をすれば、元モデルだった日向はクラスメイトに色々なアドバイスをして、そこも打ち解ける材料になった。

ただ、アニメおたく趣味だけは、女子の世界では合う子は見つからず、やっとマンガ好きの女の子を見つけたと思ったら腐女子で、ちょっと慌てることになった。

それでも、その子とはオタク趣味で共通の部分もあり、仲良くすることができた。


幸運なことに、クラスメイトや学校の女子は日向が元モデルということに、気付かなかった。

日向はモデル時代の名前(前田ひより)を使用し、

本名の秋山という姓と組み合わせ、秋山ひよりという名前で通学していたのだが・・・


前述したように、容姿がだいぶ変化したことが大きな理由である。

顔つき、体型はホルモン投与でだいぶふっくらした(それほど太ったわけではないが、モデル体型からふつうの女性の体型に近づいたのである)。

昨年までは、どちらかというと女性のかっこをすると確かに美少女にはなるのだが、中性的なところがあった。

いまの日向というかひよりは、完全に女顔で、女性的なスタイルとなり、男性だった時の痕跡はほとんどないのである。


生活が完全に落ち着き、時々日向は昨年の年末時期に思いを巡らす。

自分の行動は正しかったのかな?と何度も自分自身に問いかけていた。




前年の暮れ・・・


日向は、直也と約束をしていた土曜日の前日・・・つまり金曜日の夕方になる前までは

直也からの交際を受けるつもりでいた・・・


ところが、金曜日の夕方に、考えが変わってしまうような出来事があった。



その日、日向は学校帰り、ふと駅の近くのファーストフード店でコーヒーを飲みながら、文庫本を

読みたくなり、

超有名なチェーン店で、まったりと本を読んでいた。


その時、いつのまにか隣の席に、他校の女子生徒2名が座り、おしゃべりを始めていた。



「鈴香っ、もう直也のことは、あきらめようよ!

鈴香と付き合いたいって言ってる、バスケット部の島田先輩かっこいいじゃない?

十分許容範囲だと思う。私だったら、即OKしちゃうんだけどなあ〜」


「そうはいっても・・・」


何と、先日対決したミス緑が丘高校の四ノ宮鈴香、その親友の古山志乃だった。


男子高校生姿の日向にはまったく気がついていなかった。


二人の女子高生の会話は続いた。


「志乃、アドバイスはわかるし、直也の気持ちを動かすことは無理ってわかっているの・・・

でも、中学3年間と高校に入ってから1年と8ヶ月ほど、ずっと好きだったんだ・・・

だから、しばらくは、誰とも付き合えないし、好きになれない・・・

だから、島田先輩には悪いけど・・・だめなんだ・・・」


「そっか・・・」



近くで聞いていた日向は話の内容を理解して激しく動揺した。


(えっ、四ノ宮さん、そんなに山東のことを想い続けていたんだ

性格に問題があるって話を聞いているけど、ふつうに可愛いし、モテるだろうに・・・


私は、山東のことを好きになって間もない・・・

山東と付き合う資格なんて、あるのかな?


こんなに、山東のことを好きだった女の子の気持ちを上回ることができるのかなあ?


・・・やっぱり、私は山東と付き合えない・・・


偽物の女子だし、好きになって間もない・・・


今は、付き合う資格は・・・ない・・・)




以上のようなことがあり、日向は、直也の申込を断ることになった。

思い起こして、何回も考える。


結果は、やはり正しい判断だったと思う。


でも、1年近くたった。


自分は未だに、直也のことが好きだ・・・


直也は今ではどうなんだろう?


彼女をつくっちゃったかなあ?それとも、彼女がいなくても好きな女の子ができたかもしれない・・・


私は直也とのことは、青春の思い出にしてしまうしかないかも・・・


でも、また会うことができるならば、好きだっていいたいけど・・・とても私のほうから連絡は取れない



そういう結論になる日向だった


ちなみに、日向は転校するときに、携帯もアドレスも電話番号も変えた

なにせ、男から女になるのだ

家族以外は一旦関係を清算するしかないと思った。


ただし、オタク系の友達だったクラスメイト数名とは、趣味のSNSでつながっていた。

事情があって、住所や電話番号を教えられないというと、それ以上は詮索せず、

ネット上での趣味の会話を続けてくれた

ネットは便利だな、と思う日向だった。



そんな状況の日向に

ある日、モデルを続ける実姉の沙織から電話が入った。


「あのさあ、引退して随分経つけど、

今度のクリスマスの頃にちょっとだけ、舞台に立ってみない?

一夜限りの人気姉妹モデル「前田姉妹」をやりたいの!

復活!って感じで・・・

場所は札幌。

イベント名はさっぽろスノーガールズコレクションだよ!


ねっ、ひよりっ♡お願いっ」



「えーっ!


私、引退して、しばらく経つし、体型も変わったし、ちょっと無理・・・


それに、リハーサルに出る時間もないし・・・」


日向は慌てた・・・



終わり方が難しいですね

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