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葛藤

いろいろ考えてしまう二人です

約束の土曜日が来るまで、

学校での二人には、見かけ上特に変化はなかった。


もともと、属するグループが違うし、普段から、事務的なこと以外に接点はなかったからだ。


でも、心の中ではいろいろな葛藤があった。



直也は


(男性を好きになるって、俺ってホモなんだろうか?

でも、俺は、秋山を女の子としか、考えられない。

うーん、複雑だ。どうしよう?好きって言っちゃったから、もう引き返せないよな。

でも、でも、悩む!)



日向は、日向で、


(あ、私、自分のことをよく説明していないっ。

単に女装している男性だと思われているはず。

あと1ヶ月したら、転校しちゃうことも話していない…

説明しなきゃ…)



考えた挙句、日向は直也に長いメールを送ることにした。


内容は


日向が性同一性障害で、ホルモン投与を受けており、体が女性化しつつあること。

体の女性化がかなり進んできていることから、

新年早々、性転換手術を受け、

そのあと、事情を理解してくれた女子校に転校する予定であること(学校名やどこにある学校かは教えなかった)。

20歳になったら、戸籍も女性に変えるつもりであること。


であった。


つまり、単なる趣味嗜好の女装ではなく、本格的に女性になろうとしている男性であるということを

伝えたかった。


苦労して、長いメールを作り上げ、送信した日向は、そこで、また考えることにした。


「で、どうしようかな?

こんな私を彼女にしようと思うのかな?

変な人間だと思われちゃうかも。

単に女装した男性と違って、重いって思われるかも

もし、山東がホモだったら、女性化しようとしているんなら、お断りになるかもだし…


でも、山東はカッコイイ!

優しいし、素敵な男性だ。

付き合いたい!


このメールを送ったことで、嫌われちゃうかもしれないけど、

今度会った時には、好きって言おう!

彼女にしてくださいって言おう!

後悔したくないっ!」


日向は自宅の部屋で、ぶつぶつつぶやきながら、考えを固めた。


一方、メールを受け取った直也は


「性同一性障害で、ホルモン投与も受けてたのか!

それで、あれだけ、女の子っぽくなってたんだ。

手術も受けて、戸籍も変えて、完全に女の子になろうとしているのか。

ということは、ふつうのセックスもできるし、結婚もできるわけだ!」

と自宅で叫んだ(幸いなことに自宅には他に誰もいなかった)。


(俺はホモじゃないから、ホモ的なセックスは嫌だったんだ!

その辺がちょっと悩みだったけど、これで解決だ。

うわーっ。俺は何を考えているんだ。変態か?)


学校一のイケメンであるにもかかわらず、彼女を作らないので、童貞であった直也だったが、

彼女ができたら、セックスをするという意識はあった。


ところが、男性の日向に惚れてしまい、しかも告白をしてから、頭にひっかかっていたのは、

セックスができない彼女を作るって意味があるのか?ってことだった。

顔がいくらきれいでも、服を脱がしたら、

胸がぺっちゃんこで(直也は日向の胸の膨らみは偽物だと思っていた。)、

性器が男性であるなら、

それ以上のことはできない。せいぜいキスまでの関係だと冷静に分析をしてしまっていた。


だから、日向を彼女にするって、どうなんだろう?と何度も何度も考えてしまった。

いまさら、俺はホモじゃないから、この間の告白は嘘だって言おうかとも考えた。

でも、男として言ったことを取り消すなんてできないと思い直した。


そういう葛藤の時にきた日向からのメール。

悩みは解決した。


「よし、気持ちは変わらない。日向、いや、ひよりのことが好きだ。彼女にしたいっ。」


直也は、力強くつぶやいた。




二人は両思いであったから、これでめでたしめでたしとなるはずだったのだが、


待ち合わせ当日、

可愛らしいファッションで

モデルのひよりとして登場した日向は意外な返答をした。


「ごめんなさいっ


私、山東君の彼女にはなれないっ


好きだけど!」


それだけ言うと日向は、走ってその場を立ち去った。


後には

呆然とした直也が残された


両思いでも

上手くいかないパターンって

あります

それでも想いが続くのなら…

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