私を可愛いって言ってくれた
イケメン同級生の頼みとは?
日向と直也は、ドラッグストアの前から、近くの公園に移動した。
直也は改めて、日向の顔と全身をチェックしてみた
(それにしてもこれが秋山か?
さっき、抱き起こした時に、可愛い子だなあって思ったけど、
じっくりみると、すんげえ、可愛いっ!
うちの高校の女子全員敵わないレベルだ!
たしかに、女っぽいやつだとは、思ったが、
女装して、ここまでのレベルに変身するとは驚きだ!)
「じゃあっ、事情を話すねっ♡」
日向は最初に声をかけたときの女声に戻っていた。
だが、
(わっ、山東、やっぱかっこいい!女の子のかっこで会うとちょっとどきどきするっ)
と、心の中は動揺しまくりであった。
「秋山…、そ、その声は…?」
「あ、ごめん、誰が聴いているかわからないから、女の子の声に戻したの。
変に思うだろうけど…」
「その姿は趣味なのか?
もしかしてコスプレっ?」
「ちょっと違うかな…
うーん、
一言でいうなら、女の子のかっこでバイトをしてるの」
「バイトって?」
「モデル…」
「まじかよ?」
「うん、信じられないでしょうけど…」
「いや、それだけ可愛ければ、何かわかるような…」
「それで…
お願いなんだけど…
学校のみんなには秘密にしてほしいの。
恥ずかしいから…」
「…わ、わかった…
いいよ。
でも、俺にもちょっとお願いがある。
今思いついた…
おまえなら適任だ…
いや、おまえしかいない!
頼む、俺を助けると思って、引き受けてくれ!」
「えっ、何?
難しくないなら、やるよ。」
「実は、来週の日曜日に、
オレの彼女のふりをしてほしいんだ」
「えっ?何!
それって、どういうこと?」
学年1のモテ男にとんでもないことを言われて、動揺する日向だった。
「実は、中学の時、同じ部活をやっていた女の子が、つい最近連絡をとってきて、つき合って欲しいってオレに迫ってきたんだ。
オレの学校の生徒に調査して、彼女がいないってわかったから、
がまんできなくなって、告白したっていってた。それで、困ってしまったんだ。」
「さすが、モテる男はちがうね。つきあってあげればいいじゃない?可愛くないの?」
「いやっ、彼女の通っている緑が丘高校では、ミス緑が丘って、言われている。」
「なら、いいじゃないっ。何が不満なの?」
「ちょっと、自己チューで思い込みが激しい女なんだ。かわいいけど、とても彼女なんかにしたくないっ。趣味も合わない。
それで、最近彼女ができたから、つき合えないって言ったんだ。」
「何で、そんな嘘をついたの?」
「うーん、とっさにそれがいいかなって思ったんだよ。
そしたら、その彼女に会わせろっていうから、
来週待ち合わせすることにしたんだ。
学校の女の子の誰かに頼めばいいかなって思って…」
「そりゃ、山東なら、誰かに頼めば、喜ぶだろうな」
「でも、その後、やっぱり学校の子だと、そのあと大変かもしれないって思い始めたんだ。借りをつくっちゃうからね。他の学校でたのめる女の子いないかなあって考えていたんだ。さっきまで…
でも、可愛いおまえを見て、頼むのはおまえにしようとさっき、思った!」
「私が可愛い!?」
モデルの仕事をして、可愛いとマスコミやファンから言われて、ある程度自信を持っていた日向だったが、
リアルのクラスメイトで、しかも学校一のモテ男の直也に直接言われるとなると、衝撃が違った。
日向は顔が真っ赤になるのを感じた。
「可愛いよ!俺が知っている限りで、この辺の高校生で秋山ほど可愛い子はいないと思う。
秋山なら、相手を納得させることができると思う!」
「ちょっと、待って。
褒めてくれて嬉しいけど、私は、偽物の女の子だよ。
そんなミス緑が丘高校の女の子と対面して、女の子のふりをするなんてできないよ。」
「いやっ、秋山は相当かわいいっ。間違いなく俺の知っている女の子の中で
一番可愛いと思う。うちの学校の女子の誰よりも可愛いと思う。
頼むっ!」
「ええっ、そんなに褒められたら…
断れない…よ…
やるだけ、やってみるか な
山東の彼女役なんて、ちょっと光栄かな…」
日向は真っ赤になりながら、答えた。
(こんなイケメンなら、本当の彼女になりたい…
でも、偽物を彼女にするわけないよねっ。
まあ、いいか。人助けだ♪)
「やった! ありがとう!助かる!
よし、電話番号とメルアドを交換してくれ。」
「うん、いいよ。
でも、私の名前は、ひよりで登録して。
それが、モデルとしての名前だから。」
「了解」
イケメン君の彼女になりたがっている女の子との対決は?