腕時計
あらすじ通り、練習のために作成しました。
私が古びた店を出たのは日暮れの頃だった。窓から眺めていた夕日が直に文字盤に反射する。道行く人たちの腕をガラス越しに見つめ過ごしてきた私にはそれだけで誇らしげな気分になった。
私が高価なものではない、むしろ安物の部類に入ることは理解していた。あの輝きに比べればどれほどくすんでいるか、そんなことが一瞬過るけれども、すぐにどうでもよくなった。私は私、彼らは彼らだ。
誰かに買ってもらおうと懸命に針を動かし、ランプの灯りを反射した過去を思い出せばそう思える。
誰もが私に見向きすることなく横に並ぶ仲間たちを選び、笑顔を浮かべて店を去って行く。買われることのない私はいつしか荒んでいた。だれも見向きしないのなら、針を動かす意味などないのではないだろうか、と。
そして今日、また仲間が1つ買われていった。もう、無理なのだろう。動く意味などない、止まってしまおう。そう諦めかけた私をあなたは手に取って笑ってくれたのだ。
改善点等あれば指摘してほしいです。
遠慮はいらねぇです、はい