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第二幕:一;真否なる神秘

今回は自分の中で一番長い話です。携帯の方は少し大変です。

「リア。お前、『神秘』って信じるか?」

 不意にアイアンから聞かれリアは悩む。

 神秘。人間の力では計り知れない不思議なこと、不思議な現象。

「神秘ですか。そうですね、この目で見ることができれば…あるいは」

 リアらしい答えだった。『百聞は一見にしかず』と言うように、同じことを百回聞いたところで一回実物を見たほうがわかりやすい。つまり、現実に見れば信じられるという答えだ。

「なるほどな。確かに見れば早い」

 アイアンは納得した様子でソファに寝そべった。

 リアがギルドに『入社』してからすでに一ヶ月が過ぎていた。すでにリアは『サーカス館』の一員でありギルドに発注される依頼も数えるくらいだが―――付き添いとしてだが―――こなしている。

「でも…」

 リアの言葉にアイアンは起き上がった。

「神秘は…自然が織り成す一種の芸術だと僕は考えています。昔見た『蔵書』にはそうは書かれてはいませんでしたが…」

「『蔵書』?」

 その言葉にワイズが食いついた。リアがここ一ヶ月で知ったことはこのギルドの人数は自分を含め五人しかいないこと。そして全員が変わり者だということ。そして個人の名前、大まかな性格だけだった。

 ワイズは年がら年中本を読み、この世にあらん限りの知識を蓄えようとする人間だった。無論、世界の知識を蓄えることはできるわけがなく、酒場『自由人』兼ギルド『サーカス館』の酒庫兼倉庫にはワイズが集めた古文書などが保管されている。

「えぇ。内容はあまり深く目を通していませんが…代償と覚悟があれば人間にも神秘が『使える』。と言った内容だったはずです」

「ほぉ。興味深いの…」

「代償と覚悟ね…覚悟はあっても神秘を使うための代償がないとダメってことか」

「えぇ。多分そうでしょうね」

 酒場の雰囲気が重くなった。しかし、

「たっだいま〜♪」

 その雰囲気はまるで砂の城のように崩れ去った。砂の城を崩したのはギルド長のリズであった。年齢は12。無邪気すぎる声は時よりリアを戦慄させる。

「いい具合に雰囲気をぶち壊したね。こんな壊れ具合は逆に清々しいんじゃないかい?」

 リズの後に続いたのは右腕に包帯を巻きつけた女、レンナ・ノルイだった。左腕には買い物袋がぶら下がっていた。

「あ、おかえりなさい。レンナさん、リズ」

「リア。『さん』付けは止めてっていったよね」

 レンナの言葉にリアはたじろぐ。事実、リアはリズ以外のギルド員は『さん』付けで呼んでいる。アイアンやワイズは構わないらしいが、レンナだけは別だった。

 彼女は『さん』付けされることを好まずに呼び捨てにするようにと言う。しかし、リアにはできなかった。根本的に優しすぎる性格なために年齢に対する上下関係を考えてしまい呼び捨てにすることができないのだ。だが、言葉遣いは誰に対してでも敬語になってしまう。

「あ、いや、でも…」

「その優しすぎる性格はリアの長所じゃ。レンナ、無理を言うてはならん」

「長所だけど短所よ。このままじゃ使い物になりゃしないわよ」

「ん〜…ま、確かにそうだな。でもなリアの意も汲んでやれよ」

 レンナを宥める男二人。その様子をリズは笑って見ていた。

 リアはうろたえるばかりでどこか取り残された感があった。

「レンナは暫く『あれ』だから…今のうちに仕事に行こうかリア」

「リズと…ですか」

 一瞬戸惑った。数回ではあるが依頼をこなした。だが、リズとは一回も依頼を請け負ったことがなかったのだ。

 右手を顎に当てしばらく悩んだあとにリアは決意した。

「いいですよ」

「じゃあ、この依頼にしよ♪ 報酬もなかなかだし二人じゃないとできないらしいし」

 そう言ってリズが渡してきた依頼書にはこう書かれていた。

 <場所:ワノール教会>  <依頼内容:闇払い>  <報酬:三十万イェン> <補足事項1:必ず二人一組であること> <補足事項2:命の保障はない>

「さぁ行こー!」

 元気よく右腕を空―――天井があるので実際は天井―――に突き上げ意気揚々とリズはギルドを後にした。少し遅れてリアもギルドを後にした。


 * * * 


「あの、リズ」

「なに〜?」

 やけに間延びした声でリズは返事をした。

「この、『闇払い』っていうのは何なんですか…?」

「そのまんまだよ。『闇』を『払う』んだよ?」

 あたかも当然のように言うリズ。しかし、リアはまだこの依頼の内容が理解できていないようすだ。

 ふと、リズはリアに質問する。

「ねぇリア、『ダルク』って知ってる?」

「『ダルク』…いえ、聞いたことはありません」

「『ダルク』の元名は『DARK』。つまり『闇』から来てるんだ。この依頼は暗号…っていうとちょっと変な気もするんだけど、早い話がそういうこと」

 言葉の意味を理解したリアは簡潔にまとめた。

「つまり、『闇払い』と言うのはその『ダルク』と呼ばれるものを『払う』、つまり討伐すると言うことですか」

「ん。まぁおおまかに言っちゃえばそうだよ。…………ちょっと厄介だけどね」

 最後の呟きはリアに聞こえることは無かった。

 そうこうしている内に彼らは『自由都市ワノール』の中心に位置する『教会』に来ていた。教会といっても参拝する者は無く修道士も数人しかいない廃れた建物だ。しかし取り壊されることはなく、廃れてはいてもその神聖さには廃れや穢れがなかった。それ故にリアは信じられなかった。神聖な場に『ダルク』―――『闇』を払えと依頼してくることが。

 足を進めるのを躊躇するリアだがリズはお構いなしに教会へと足を踏み入れる。

 そこでリアは信じられないものを見た。

 教会の入り口に足を踏み入れたリズの姿が一瞬、『歪んだ』。自分の目を疑うリアだったがその光景を現実として受け入れずにリアは頭を振りリズの後をつけた。

 教会の中はいたって普通だった。規則正しく並べられた木製の長椅子、礼拝堂の奥には神父用の机。そして、教会に入り一番最初に目にするであろう正面にある絢爛たるステンドグラス。しかし、そこには人どころか猫の子一匹いなかった。

「すいませーん。ギルドの者なんですけどー。すいませーん」

 通常より少しだけ声量を上げ声を出すリズ。だが、リズの言葉は教会の壁や天井に飲み込まれていった。

「いないんですかね?」

「教会は24時間営業じゃないのかな? すいませーん」

「24時間『営業』、て…どんな営業ですか? 探してきましょうか?」

 リズの横に立ち問うリア。

「辛抱強く待てば来るんじゃないかな? とりあえず参拝客のフリでもしてよう」

 リズの提案を受け入れリアはリズの隣に座る。

 辺りを見回し誰もいないことを確認するリア。リズは退屈そうにあくびをしていた。

「それにしても…」

 口を開いたのはリアだった。

「なんでこの教会には参拝する人がいないんでしょう」

「神がいないからじゃないかな?」

「神…ですか」

 不思議そうな顔をしながらリアは続けた。

「神って一体何なんでしょうね…この世界―――『ガイア』を創り、人を創って―――」

「神は寂しがりなんだよ」

 リアの言葉にリズが割って入った。

「神はね孤独だったんだ。そして、孤独を癒すために世界(ガイア)を創った。でもまだ自分は1人だ。だから、人間を創った。すると今度は優越感に浸りたくなった。『私はお前たちを創ったのだから崇めなさい』ってね。そして教会が生まれ人間は神を崇めるようになった。神は寂しい思いから開放された。でもいずれ神は寂しい思いをしてしまうことになる。だから人間は神を崇めつづけた。するといつの間にか人間は神を崇めることが当然になっていた」

「あの…言ってる意味がわからないのですが…」

「ようするに神様は自分勝手なんだ。そしてワノールに住む人たちも自分勝手。つまり神様を崇めなくなった」

「そして神はこの町に愛想をつかしいなくなった…」

「そういうこと♪」

「ここは教会ですよ。神様の悪口は他所でして下さいね」

 聞き慣れない女性の声が二人の耳に入った。

 奥の扉の方を振り向くとそこには一人の修道女が立っていた。

「すいません。呼んでも誰も来なかったんでつい愚痴を言っちゃって」

 笑いながら頭を掻くリズ。リアはただ苦笑いするしかなかった。

「少々立て込んでておりまして…何か御用ですか?」

「オレたちはギルドから来たんだ。『闇払い』の件でね」

 にやりとリズが笑った。その笑いは子供のような悪戯な笑みだったがリアにとっては不気味そのものであった。

 リアにとって人の性格や本質を見抜くのは簡単だった。注意・観察力が高いリアのみが持っている能力だ。だが、未だにリズの本質は読めなかった。飄々としている性格だが、先程のように何かを悟ったような言葉を発する時もある。彼の性格は謎だった。

 リズの言葉に修道女は明るい笑顔を見せた。

「だから、教えてくれない。この教会のこと」

「えぇ。申し送れました。私はリーナと申します。実は…最近までこの教会には八人の修道士がいたのです」

「ふんふん。それで?」

「三日前から一夜おきに人が死んでいるのです」

「死んでいる?」

 聞いたのはリアだ。リズは口元に手を当てなにやら考え込んでいる。

「えぇ…それも、全身から精気を抜かれているのです。朝に私が駆けつけたときには虚ろな目で眠っていました」

「精気…精神と気力を抜いて殺されている…犯人に心当たりは…あるわけないですよね。精気を抜くなんて人間には出来るものじゃないですし」

「リア」

 リズは急に口を開いた。

「言ったよね。これは『闇払い』だって。犯人は『ダルク』だよ」

「『ダルク』…『闇』、ですか」

「そ。犯人は『ダルク』。これは決定してるんだ。でもどうも腑に落ちない点がある。リーナ、なんで教会に『ダルク』が出るの?」

 リズの言葉には敵意とも呼べる『何か』が混じっていた。リーナは口を開くが、

「それは…」

 と口篭もるだけだった。

 リズの声の成分は『何か』が大半を占めていた。リーナはまるで『催眠術にでもかかったかのように』口を開き真実を伝えた。

「あらゆる人の憎しみ、妬み、恨み、その全てが教会に集まってしまったようです。ここはすべてを包み込む神聖な空間。あらゆるものを許す慈悲の極致。ここに溜まった『それ』は形を成して『変わって』しまい、人を襲うようになりました」

「わかった。ありがと」

「………………いえ」

「じゃあオレたちは今日から教会の警備をするよ。『闇払い』も兼ねてね♪」

「おねがい…します」

 リーナは深々と頭を下げ二人を奥の部屋に招き入れた。


 * * *

「あれ、リアとリズは?」

 怒りが収まったのかレンナがアイアンに問い掛ける。

「ようやく収まったか。二人なら『闇払い』に出掛けた。教会にな」

「教会か。人と人ならざるものとの『境界』でもあるな」

「ワイ爺…今のはシャレかい? もしそうなら引くよ…」

 有り得ない。といった顔でレンナは視線だけをワイズに送る。

「違う。本当のことを言っているのじゃ。教会は死者と生者との境界線としての役割を持っておる、故に死者の弔いなどは教会を使うじゃろ。『ヘル』、または『ヘヴン』に近いのは教会じゃ。言った意味がわかるか?」

 黙考するアイアンとレンナ。やがてレンナは口を開いた。

「つまり『ダルク』は死者に近い生者ってことかい? あたいも何度か奴と戦りあったけどあれは『人間の意志』だろ? 生者も死者も関係ないし、そもそも人としての形が無いんだから」

「たしかに。ありゃ闇って言うより『影』だからな」

 アイアンとレンナは何度かダルクと戦闘したことがある。

 しかしその二人が、いや戦ったことのある二人だからこそ『それ』を表現する言葉が見つからない。

「あ」

 不意にアイアンが声を漏らす。

「よく考えてみりゃ『あいつ』は人間だな。誰よりも、いや何よりものほうが正しいな。『奴』は何よりも人間を欲している。それだけは間違いないな」

 その言葉にレンナが続いた。

「そうだねぇ。『あれ』が人間の意志っていうなら確かにそうだね。おや…」

 レンナは何かに気づいたのか酒場の外へと歩き出し空を見上げた。

 空は曇天。それを見てレンナは怪訝そうな顔を浮かべた。

「どうしたのじゃレンナ」

「こりゃ、一雨くるね。リズが心配だ。あたいは協会に行くよ」

「おい。ちょっと待―――」

 アイアンが言い終わる前にレンナは酒場を立ち去った。


 * * *

「ここでございます」

「ありがとー♪」

 リズは子供らしくキチンとお辞儀をした後に部屋のドアノブを捻り中へと足を踏み入れた。それに続くようにリアもリーナに会釈をした後部屋に入った。

 部屋の中はきれいに片付けられていた。来客用のベッドが窓を隔てて二つ。机はベッドの隣に壁と向かい合うように二つ並べられていた。窓から縦に両断すれば左右対称になるほどにキチンと並べられていた。

「何か御用の際はお申し付けください。それでは失礼します」

 リアは左側のベッドに座り、リズは窓の近くに椅子を置いて座った。

 リーナがいなくなったことを確認するとリズは口を開いた。

「大変だね」

「え。何がですか?」

「『闇探し』だよ。ダルクは日中は活動をしていない。文字どうり闇になってるから探索は夜にしなくちゃいけないんだ」

「あの、ダルクについて聞いてもいいですか?」

「いいよ」

 リアの表情がまじめになる。もっとも、彼自身は普段からまじめなほうだが気を引き締めたと言うほうが正しいのかもしれない。

「ダルクは…何故人を襲うんですか? それに先程リーナさんが言っていたこと―――あらゆる人の憎しみ、妬み、恨み、その全てが教会に集まってしまった。ってどういうことですか?」

 リアの質問はダルクの本質を調べるものだった。普段からの癖なのかリアは説明するたびに眼鏡をくい、と上げる。

 少しの間黙考したリズは口を開いた。

「ちょっと難しいからちゃんと聞いててね。もう一回しゃべるのはいやだから」

「ええ。その点に関しては心配は無用です」

「ダルクは『人間が生み出したんだ』。あ、質問の時間は後でとってあるから今は話を聞くだけにして。ダルクの元はただの『感情』。それは人間が持つ唯一の個性といってもいいかな。ねぇリア。君は感情って自在にコントロールできる?」

 リアは黙ったまま首を横に振る。

「できないよね。それは当然。誰だってできないんだから、できる人がいるわけがない。感情っていうのは外から貰うんじゃなくて体のうちから沸いてくるものだからね。嬉しい、楽しい、面白いっていうのは極自然に生まれるモノだ。でもね」

 一呼吸おいてリズは声のトーンを一つ落とした声で(せつめい)を続ける。

「怒りや憎しみ、妬みっていう一般的に自分も他人も不快にさせる『負の感情』ってのは自分から出すこともあるけど…大抵は他人が原因になることが大きいよね? そんな『負の感情』の塊なんだよダルクは。ここまでで何か質問はある?」

「いえ…続きをどうぞ」

「嬉しいとか楽しいとか幸せになる『正の感情』は体内から対外へと放出される。でも怒りとかの『負の感情』は他人から与えられてるようなものだからいつまでも体に残るんだ。そして、その『負の感情』は溜まりすぎれば危険なんだ。自我を崩壊させ間違った方向へと人を導く。大半は怒りや憎しみの大本を殺しに行くんだけどね。でも稀に『負の感情だけ』を大本に送る人間が現れる。でも『負の感情』を与えた人間にはそんな感情を送られても意味がない」

 リアが首肯する。

「ように思われるけどね。さっきも言っただろ? 与えられたものは体に溜まるって。もし『負の感情』を相当数の人間が一人に送った場合はどうなると思う?」

「『負の感情』が………あふれ出す…?」

「その通り。でも体内に溜まったものが溢れてもそれはずっとその人に憑くんだ。そして、『負の感情』が視認できるようになったものがダルクだよ。ダルクは『人間を核』にして生まれた『自業自得の産物』なんだ」

「待ってください。じゃあ憑かれた人はどうなるんですか? 憑かれただけなら助け出すことは―――」

「できないよ。あれはもう人間じゃないんだから。『負の感情』ってのは『人間の一部』なんだ。ダルクは人間の意志が作り出した怪物だ。ダルクは本能的に人間を求めてる。憑かれた人がダルクになるんじゃなくてダルクになった時点でもう憑かれた人間はダルクに取り込まれている。だから、『人間に戻りたい』という願いが生まれ本能的に人間を襲ってるんだ」

「なるほど…。リーナさんが言っていたあらゆる人の憎しみ、妬み、恨み、その全てが教会に集まってしまった。と言うのは、一体どういう…?」

「それは『感情の送信対象』が教会だっただけだよ。なんで教会に『負の感情』が送られるのかはわからないけどね。これでオシマイ。質問はある?」

「いえ、大丈夫です。しかし………」

 リズの言うことは信憑性がなく、どちらかと言えばオカルト系の話のようにも聞こえる。信じられる要素は一つとして存在しなかった。

 しかし、もしリズの言ったことが真実ならばそれは『神秘』とも言えることだ。

「肉体の殻を捨て他人に憑依することで永遠の命を手にする…」

 ふとリアはそう漏らした。

「何言ってるの?」

「いえ…さっき、『サーカス館』でアイアンさんと話していたことを思い出して」

「アイアンと? 珍しいね」

「えぇ。そうだ、リズは『神秘』を信じますか?」

「有り得ない現象のこと? 信じるも何もオレは『使える』から」

 一瞬。リズに戦慄した。殺気を放つでもなく、敵意を放つでもないリズに何故かリアは戦慄を覚えた。

 あたかも、それが常識のように話すリズ。リアはそのとき、リズの本質が掴めた気がした。

(この人は…底が無いんだ。性格を読もうとしてもあなたは僕と似ている節がありますね。無論、少し歪んだ相似点ですが…)

           コンコン

 ドアの奥で誰かがノックをする音が二人の耳に入った。

「…………どうぞ」

 警戒は一瞬。すぐさま警戒を解き二人はドアのほうを見る。そこにはリーナが立っていた。

「あの…お二人は今…用事がございますか?」

「ううん。オレはないよ」

「僕も今はありませんよ。どうかしたんですか?」

 リーナは微かに震えていた。それに気づいたリズは少しだけ口元を緩め部屋へと招き入れた。

「いいよ。入ってきても。ここなら安全だから」

 リアよりも早くリーナの心中を察したリズにリーナは内心驚いていた。しかし安心したのか、体の震えは止まりリアの隣に腰を下ろした。

「すみません…私は普通の人よりも怖がり…なので、だから…」

「大丈夫ですよ。リズも言ったようにここは安全です。リズがいますし、頼りにはならないでしょうが…僕もリーナさんの盾にはなれますから」

 リアの微笑はすべてを許してくれるようなそんな慈愛に満ちた笑顔だった。

 そんな中、リズは窓の外に視線を向け苦い顔を浮かべていた。

「どうしたんですかリズ?」

「………雨が降るね」

 どこか、怒気を孕んだようなリズの声。リズの予言を聞き窓に近づき空を眺める。

 空の色は気持ちすら暗くさせるような灰色。まるで、教会を『闇』で覆い隠さんとしているようだった。

リア・ロウズ(略・リア)「ひさしぶり〜なキャラクター会話劇です!」

リズ・アルカナフィン(略・リズ)「へえぇ、これが会話劇か〜。あ、どうも〜♪ リズ・アルカナフィンで〜す♪」

リア「おぉ〜、何やらテンション高めの人が出てきましたね〜よろしくお願いしま〜す♪」

リズ「こちらこそどうぞよろしく〜♪」

リア「はいよろしく〜♪ でわでわ! 自己紹介をしてもらいましょう」

リズ「さっきも言ったとおり俺はリズ・アルカナフィン。身長は156。体重は42gだよ〜」

リア「ほおほお。42『グラム』ですか〜」

リズ「42kgでした〜♪」

リア「今回は楽しいですね〜。じゃあ趣味は?」

リズ「趣味や好きなもの、嫌いなものは秘密で〜す♪」

リア「ほおほお。それは何故!?」

リズ「作者が何も考えてなかったらしいです」

リア「ひどい話だ…」

リズ「まったく…」

リア「でわでわ気を取り直して! 第二幕が始まりましたが…今回はどんなお話なのでしょうか?」

リズ「そうですね〜…リアの心の成長や仲間の大切さ。裏切りや葛藤…そんなこんなが詰まったお話です!」

リア「おぉ〜! 難しそうですね…」

リズ「まぁ、今のはすべて嘘ですがね。本当はリアのダメダメっぷりがわかる作品ですよ♪」

リア「嘘ですか…『嘘はつかない』ってのが特徴を聞き及んでおりますが…」

リズ「作者曰く、会話劇ではキャラが壊れるほどに楽しんだほうがいいらしいです!」

リア「そうなんですか〜…どこまでも適当ですね。蒼炎鬼は…」

リズ「そうですね。時間が来たようです。次回を〜…」

リア&リズ「お楽しみに〜♪」

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