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二:出会い

「今日はここまでかな…。あなたが最後のお客さんです。ありがとうございました」


 顔をほころばせ今日最後のひしゃたいに礼をする。客の女は頬を赤らめてその場を去っていった。


「あれ?」


 ふとリアは筆を見つめる。筆の先が焼けていた。


「なんで筆が…?」


 有り得ない現象だった。いくら使い込まれた筆といっても『焼ける』ということはなかった。否、問題はそこではなかった。問題は何故筆が焼けている、ということだった。

 リアの疑問は更に深まった。それは筆だけでなく、他の道具までもが焼けていた。本来焼けるはずのないプラスチックで作られたパレットまでが焼けていたのだ。


「おかしいですね…何故パレットまでもが…」


 瞬間。世界が変わった。リアの周りにはサーカスに使われるような玉乗り用の巨大な白と赤の色で染められている玉。曲芸の舞台であるステージ。そして、それを囲むのは客が1人もいない観客席。

 だが、客ならいた。先程までオープンカフェで絵を描いていた少年が。

 ステージの中心では紳士のような礼をする道化ピエロが立っていた。まったく動かない道化。はじめ、リアは人形と思っていた。しかし、道化は動き出した。


「ようこそ、我が曲芸師の館へ…今宵は貴方が、貴方だけが私のお客…。どうぞ、最後までお楽しみください」


 有り得ない状況、有り得ない景色、有り得ない経験。リアは困惑した。急に自分がいる場所が変わり、急に客だと言われたのだ。


「あなたは誰ですか?」


 リアは問う。しかし、道化からの返答はない。ただ不気味な笑みを浮かべリアを見つめつづけている。


「前座では部下が失礼を働き、まことに申し訳ありませんでした。よもやあのような事を聞くとは…」

「前座? 部下? 一体何の事ですか?」

「ですが、わたくしはそのようなことは決して言いません。安心してお楽しみください」


 リアの言葉は道化の耳には入ることは無く右から左へと抜けていった。それどころか、話すらかみ合っていない。

 リアは立ち上がり周りを見渡す。

 何度見ても奇妙な光景だった。先程までいたオープンカフェとは違い、サーカスを観るために、そして、自分が磨き上げた曲芸を披露するために用意された一つのテント。そして、客が楽しむことといったら只一つ。道化が見せる曲芸や喜劇を見物するだけであった。

 一歩ずつ客席へと歩を進めるリア。しかし、その足は道化の言葉で止まった。


「お待ちください。当館はお客様と共に劇を作っていく館。どうか、私めの考えた劇の役者キャストになっていただきたく思います。どうでしょうか?」

「どういうことですか?」

「至極簡単な答です。私の考えた劇は1人では決してなせぬもの、そこでお客様と共に劇を作ろうと思った次第です」


 まるで、大勢に聞かせるような芝居じみた話し方。しかし、その話し方にはまるで違和感を感じない。

 溜め息を吐き、リアは口を開いた。


「いいでしょう。ですが、貴方の名前を聞かせてくれませんか? 道化。では少し名を呼ぶ時に抵抗がありますので…」


 道化はにやりと笑ってまた一礼した。


「失礼致しました。私はリア。あなたの心。貴方と対面できたことを嬉しく思います。では、劇を初めましょう。あなたを中心にした物語ストーリーを…。」


 そう言うと、道化は消えリアは先ほどまでいたオープンカフェに戻っていた。しかし、あたりは暗く先程の時間から数時間が過ぎていた。

 そして、もう一つ不思議なことに筆やパレットといった道具がすべて消えていた。代わりに、テーブルの上に一枚のカードが刺さっていた。


「さっきの光景は…夢?」


 リアは混乱する頭を無理やりに整理しテーブルに刺さってあるカードを抜いた。そこには…


「『人形劇をする道化』…ですか」


 そのカードはリアには見覚えが無かった。しかし、何か懐かしい感じがカードからにじみ出ていた。


「先程の道化は…これだったんでしょうか…」


 リアはカードを懐に収め、誰もいないオープンカフェを後にした。


『カエッテキタヨ…ニイサン…』


 カードに描かれた道化は誰にも聞こえる事のない小さな声でポツリと呟いた。

リア・ロウズ(略・ロウ)「はいはい〜リア・ロウズです♪  今回のゲストは〜名前が似ているリア・ロントさんで〜す」

リア・ロント(略・ロン)「どうも…。ここは何ですか?」

ロウ「まあまあ。さっそく自己紹介してもらいましょう!」

ロン「いまいち状況が読めませんが…僕はリア・ロントです。身長は172。体重は52ですね。趣味は風景画や人物画、つまり絵を描くことです。絵を描いていると心が静まりますからね」

ロウ「なるほど〜。でわでわ、性格などを教えていただきましょう」

ロン「性格は…自分で言うのも変ですけど、大人しいですね。喧嘩はあまりしたくないですし、日なたでゆっくり絵を描くか寝てるほうが僕は好きです」

ロウ「ふむふむ。ではこれからのこの作品の見所、読みどころを教えていただきますか?」

ロン「そうですね…あまりわかりませんね」

ロウ「ありゃりゃ…では最後に一言お願いします」

ロン「気軽に評価や感想、指摘するところ等がありましたら作者・蒼炎鬼にお申し付けください」

ロウ「ありがとうございました♪ 次回のリアの『あとがき会話』のコーナーは真に勝手ながらお休みさせていただきます…申し訳ございません。では次回をお楽しみに〜♪」

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