94 勝てない相手
『戻って来たな』
ようやく戻って来たのか。
ローグ、マリユスとリリー。
随分時間がかかったみたいだけど、ずっと王妃様の所に居たのか?
ノックがあって、扉が開く。
最初に入って来たのは。
「戻りました」
「……え?」
ちょっと、待て。
「え?」
なんで、着替えてるんだ?
「戻りました」
「戻りました」
その後ろから、ローグとマリユスが入って来る。
「おかえり、皆」
「おかえりじゃないだろ。あれは何の真似だ」
騎士の正装をさせるなんて。
「エル?」
「リリーシア、自己紹介を」
「えっ?」
リリーが驚いた声を出した後、姿勢を正す。
「はい。皇太子近衛騎士、撫子のリリーシアです」
「は?」
騎士の正装に淡いピンクのマントを羽織ったリリーが頭を下げる。
「彼女は今日、陛下から名誉騎士の叙勲を賜り、剣術大会優勝者の願いを叶えて皇太子近衛騎士になったんだよ」
そうか。
リリーはラングリオンの騎士でもなんでもないのに、ラングリオンの防衛に尽力した功績がある。フォルテ討伐だけでも十分な活躍なのに、ヴェラチュールを追い払うのに助力した上に、皇太子まで救ってるんだ。……これだけやって勲章を賜らない方がおかしい。
リリーが皇太子近衛騎士になれる準備は整ってたんだ。
アレクは最初から、わかってたのか。
「さっきの賭けは覚えているね」
―一番最初にこの部屋に入った近衛騎士を連れて行くというのは?
嵌められた。
一番最初に姿を現したのは、皇太子近衛騎士、撫子のリリーシア。
「あの……。大丈夫?エル」
本当に、俺が何と言おうと自分の意志は曲げないよな。
「リリーシア。最初の主命だよ。明日からエルと一緒にクエスタニアに行くこと。目的はエルの護衛。やってくれるね」
「はい!任せて下さい!」
喜んでる。
……あぁ、もう。
リリーが一緒に行くなら、計画を立て直さないと。
クエスタニアに関する知識が、もう少し必要だ。
「ローグ、ちょっと来い」
ローグがアレクの方を見る。
「良いよ」
「御意」
「あの、私も、」
「リリーシアは、これからロザリーとランチだね」
「アレク、リリーはやらないからな」
「それは私に向けて言う言葉かい」
出口に立っているリリーの傍に行って、リリーの手を取る。
「アレクが何と言おうと、リリーは俺のものだから」
「……はい」
ローグと一緒にアレクの部屋を出る。
―寂しくなったら追いかけても良い?
―連れて行ってくれるって言ったよ。もう、置いて行かないで。
リリーが、いつも想ってくれていることぐらい、わかるけど。
俺が何を言っても聞かないことだって。
でも。
だからって。
なんで、その結果が、アレクの近衛騎士なんだ。
「エルロックさん」
「……なんだ?」
「今更ですが、着替えなくて良かったんですか?」
「着替え?」
あ。
そういえば、メイドの恰好させられてたんだ。
『リリーに見られちゃったわねぇ』
……見られた。
リリーに。
「なんで、アレクは俺にこんな恰好させたんだよ」
「何も聞いてないんですか?リリーがクロエ様に会いたがっていたからですよ」
リリーって。
アレクは近衛騎士同士の敬称を禁じてるとはいえ。なんだか違和感あるな。
「聞いてたら着替えるわけないだろ」
『どうして見られたくなかったの?』
「なんで、好きな相手に女の恰好なんて見せなきゃいけないんだ」
『それが理由?』
「エルロックさんって変なところにこだわりますよね」
『何も気にすることないんじゃないかなー』
『リリーは別に、何とも思ってなさそうだったわよね』
『そうだな』
……なんで?
※
ローグと一緒に、リックの執務室へ行く。
「リック、居るか?」
「お前、まだ変装して歩いてるのか?」
「うるさいな。明日の朝からクエスタニアに行くから準備しておけ」
「はぁ?」
マリーの護衛を頼むのに、これ以上の適任が思いつかないから。
「話しはそれだけ。それじゃあ……」
「ローグ。その馬鹿を引っ捕まえてここに連れて来い」
「致し方ありません」
「おい、何するんだよ」
ローグが俺を持ち上げて、食事中のリックの前の席に座らせる。
「お前の主はアレクだろ。なんでリックの言うことを聞くんだよ」
「フェリックス王子が仰っていることが正しいからです」
「お前が連れて歩いてるのが常識人で助かったぜ」
常識人?
「良いか、エル。今回ばかりはお前の頼みも聞けないぞ。俺は、今の仕事を片付けたらラングフォルド辺境伯領に行かなきゃいけない」
ラングフォルド伯爵の爵位は、リックが引き継ぐことに決まったのか。
まぁ、順当に行けばそうなるよな。
でも。
「マリーをクエスタニアの王子に取られて良いのか」
「は?」
「大陸会議に参加するよう交渉に行くんだ。内容次第では、マリーはクエスタニアから帰って来れない」
リックが頭を抱える。
「あぁ、そういうことか。アルベールの奴、何考えてるんだ」
本当に。
行くのはマリーじゃなくても良いはずなのに。
「お前ら、昼は食ったのか?」
「いいえ」
「まずは食え。話しはそれからだ。おい、二人の分も用意しろ」
「かしこまりました」
「いえ、私は……」
「急いでるんだ。そんな暇、」
「エルは黙って食え」
目の前にあったパンを、リックが俺の口に突っ込む。
「お前も早く座れ」
「……はい」
「どうぞ」
俺の隣にローグが座ると、メイドが目の前にポタージュを置く。
「旅程は?」
口が塞がってて喋れない。
「明日の朝、魔法部隊宿舎のロビーにある転移の魔法陣から出発し、クエスタニアまで移動します」
ローグも予定を知ってる?
「クエスタニアにも繋がってるのか、あれ」
「はい。魔法陣で移動時間を短縮することで、マリアンヌ様がすでにクエスタニアで外遊中であったことを印象付けます」
「剣術大会時期に外遊ねぇ」
「女性にはあまり縁のないイベントですから」
「転移の魔法陣なんて、そう易々と使って良いもんだとは思わねーけどな」
誰にでも利用できる一瞬で地点間移動できる装置なんて、何に使われるかわからないからな。その存在は隠しておいた方が良いに決まってる。特に他国には。
だから、クエスタニアから大陸会議の参加承諾をとる為だけに使うメリットは少ないんだけど。
ようやくパンを飲み込んで、ポタージュを食べる。
「俺の用事は急を要するから良いんだよ」
聖櫃が封印の棺かどうかの調査は急ぐ必要がある。
「お前、また別の仕事抱えてるのかよ。……続けてくれ」
「はい。一日目は転移先からルサミ村まで、二日目は馬車を使って王都まで移動する予定です。その後は謁見の申請をして待機となります。帰還時にも魔法陣を使用する予定ですから、移動にかかる日数だけみれば四日間です」
「二十二日に申請をしたなら、謁見は早くても休み明けの二十四日か。交渉は時間をかけるだけ不利になる。三日で返事をもらえないなら帰った方が良いな」
「なんで?」
「今、クエスタニアの連中は、アレクの嫁の話しだとか吸血鬼種の話しで、大陸会議参加の条件にあれこれ注文つけようと対策を練ってるところだろ。大陸会議の正式な召集状はまだクエスタニアに届いてないが、連中だって大陸会議が招集されることぐらいわかってるからな」
大陸全土を巻き込むような事態になってるんだ。会議の招集は絶対。
けど、正式な書類の運搬には時間がかかる。召集状の到着より先に俺たちが行くのは明らかだ。
「つまり、あいつらは正式な返事を出すまでには、まだ余裕があると思ってる。そこにオルロワール家のマリーがいきなり返事をよこせって押しかけて来るんだぜ。連中もパニックになるってわけだ」
「向こうの準備が整う前に、こっちから仕掛けて返事を出させるってことか」
「そういうことだ」
上手く行けば、かなり良い条件で返事が貰えそうだな。
でも、マリーが行けば交渉の材料を一つ相手に与えることになるのは変わりない。さっさと返事をもらって帰る算段を付けられなければ、マリーが帰れなくなるリスクが上がるだけ。
「で?お前は何しにクエスタニアに行くんだ?」
「ちょっと確かめなきゃいけないことがあるんだ」
「確かめなきゃいけないこと?……それ、お前がやらなきゃいけないのか?王家の敵と戦えるのはアレクとお前だけなんだろ?」
アレクが俺に頼んだ理由。
リリーを連れて行くように言った理由。
「俺が行く必要はあるよ。クエスタニアに、あいつが現れる可能性がある」
聖櫃が本物の封印の棺だったなら、それを狙ってヴェラチュールが来るかもしれない。
「アレクは閉じ込められてるし、自由に出歩いて戦えるのは俺だけなんだから、俺が行った方が良いだろ」
「アレクと一緒にやりあって倒せなかった相手に一人で挑むつもりか?倒せる見込みなんてないだろ」
「状況なんてどこに居ても変わらない。どこで戦っても一緒だ」
もう、アレクを戦わせることは出来ないんだから。
「怖くないのか?」
「怖い?」
何が?
リックが肩をすくめる。
「連れて行くメンバーは?」
「後はリリーだけ」
「黒髪を連れて行く気か」
「リリーは主命でエルロックさんの護衛の為に同行します」
「主命?鬘でもかぶせていくのか?」
「そのままで行くよ」
あの長い黒髪を、別の色の鬘で誤魔化しきるのは無理があるだろう。
クエスタニアでは移動も多いし、王宮内では要人と接触する時間も長くなる。公式な場で兜や帽子を被りっぱなしにするわけにもいかないし、途中でばれた時のリスクを考えれば、隠すことの方がデメリットが大きい。
「で、俺は吸血鬼種の姿で行こうと思う」
「吸血鬼種……」
「お前、クエスタニアに何しに行くかわかってるのか?」
「メディシノがマリーと一緒に病気の治療を行いながら各地を回っているって形をとれば良いだろ?それなら剣術大会時期なのにマリーが外遊してるって理由にもなる」
「お前、馬鹿か?そんな目立つ集団が歩いてて噂になってないのはおかしいだろ」
各地を回ってたって印象付ける暇はないけど。
「ローグはどう思う?」
「まず、マリアンヌ様がクエスタニアに居れば目立ちます。クエスタニアでも、コーラルアイとピンクアイが光の精霊の祝福を受けているというのは有名な話しですから。どの街に行っても、街を上げて歓迎されることは間違いないです」
マリーは、どこに居ても目立つんだな。
じゃあ……。
「ただ、吸血鬼種と一緒なら微妙なところです。吸血鬼種が病の治療を行ったとして、その話しを積極的に語る人間が居る可能性は低いですから」
「それは、教皇主義の話しか?」
「いえ。クエスタニアの人間が、吸血鬼種を擁護する話を堂々とすることは滅多にありませんから。光の祝福を受けたマリアンヌ様と吸血鬼種が同時に居るという話しは、非常にしにくい話しになってしまうんです」
光の魔法使いと悪魔は敵対している。本来、仲良く一緒に居るはずのない二人だからな。
教皇主義や聖典主義に関わらず、吸血鬼種を正義として扱うことは、国としてタブー視されている事なのか。
「盗賊ギルドや冒険者ギルドで話題になって居ないのはおかしいですが、一般の人々の間で話題になる可能性は低いです。身分や容姿を隠して移動していると説明すれば、そこまで無理な説明にはならないかと思います」
「だってさ」
リックが肩をすくめる。
「まぁ、どうせ向こうも旅行中で立ち寄ったなんて話を鵜呑みにするとは思えないし、理由は適当で良いだろ」
結局は、そうなるんだけど。
「で?クエスタニアは、吸血鬼種の容姿を持つ悪魔が堂々と歩いてて平気なのか?」
「グランツシルト教において殺人は罪です。殺されることはないでしょうが、簡単に罪をなすりつけられるなど、不当な扱いをされることは多いです。宿泊拒否は当たり前ですし、食事処で食事をすることもできない可能性は高いです」
「面倒だな」
かなり動きにくくなりそうだ。そこまで行くと、王宮に入れるかも微妙だな。
「ですから、吸血鬼種の姿で行くことは勧めません。黒髪なだけでしたら、そこまで不当な扱いは……」
「いや。メディシノで行くよ。メディシノの情報はクエスタニアも持っているし、この病がどれだけ蔓延してるかの調査にもなる」
「調査ねぇ。相変わらず仕事増やすのが好きだな。また女装するつもりか?」
「そうするしかないけど」
男のメディシノの存在を知らないから。
そもそも、吸血鬼種は女性が多いのだ。メディシノが女性だけである可能性はある。
「エル、ちょっと耳を貸せ」
リックが俺の肩を引き寄せて、耳元でささやく。
「……ん。わかった」
その方がマリーも文句言わなそうだ。
「じゃあ、それで準備してくれ。俺は予定を立て直してくる。ちゃんと出されたものは食って行けよ」
リックが執務室を出て行く。
「何を話したんですか?」
「クエスタニアには女四人で行く」
「え?」
「リリーとマリー、それからメディシノに変装した俺と、リックが用意する女騎士」
「本当に吸血鬼種で行くつもりですか?危険ですよ」
「リリーが黒髪のまま行くのは構わないのに、か?」
「ラングリオン皇太子近衛騎士の身分が、リリーの身の安全を保障します」
「あぁ、そうだったな」
リリーは三等騎士で、貴族と同等の扱いを受ける立場だ。
どちらにしろ、マリーと一緒に行動してる限り身の安全は保障されるだろうけど。
「仕方ありません」
ローグがため息を吐く。
「これを持っていてください」
ローグが首飾りを出す。
「何だこれ?」
下が尖った五角形の盾の形にカットされたシルバープレートの中央に、十芒星が描かれているもの。
「グランツシルト教の聖印です」
「聖印?」
「グランツシルト教徒の証です。これを持っていれば、黒髪の方でも待遇が改善されるはずです」
「黒髪でも?」
「ラングリオンではあまり知られていないかもしれませんが、グランツシルト教徒には黒髪の方もかなりいるんですよ。特に、西部は黒髪の方が多いですから」
クエスタニアは東西に長い国だ。王都や主要都市のあるクエスタニアの中心は東寄りだけど、西の果てはグラシアルとも近いし、黒髪も多いだろう。
「それに、定住しないジプシーとして生活する人がクエスタニア全土に居て、旅芸人や商人として各都市を訪れています。長居は嫌われますが、商売の取引や娯楽は受け入れられています」
定住しないジプシーなんて、砂漠の遊牧民を彷彿とさせるな。
「これを持ってれば、宿泊拒否みたいなことはされないってことか?」
「正直、ブラッドアイの方を知らないので、どこまで効果があるのかはわかりませんが。持っていないよりはましだと思います。何かあった時に、教会の保護が得られます」
「グランツシルト教が否定する吸血鬼種で文句を言われるって言うのに、グランツシルト教会に保護を求めるって?」
「教会はグランツシルト教徒と弱者の保護を優先します。聖印を持つ者を拒否したりはしません」
言ってることが滅茶苦茶に聞こえるけど。
方針はそれぞれ違うってところか?
「これって、その辺には売ってないのか?」
「正式にグランツシルト教徒になる手続きを取って初めて神官から渡されるものです。神官以外が取り扱っているものは、光の清めを受けていないまがい物です」
「誰が作ってるんだ?」
「神官です。裏の刻印を見れば、どこの神官が作ったものかわかるようになっているんですよ」
裏には色んな情報が刻印されてるけど、良くわからないものも多い。
模造品を作るのは面倒そうだ。一日でこれのコピーを作るのは無理だな。
「中央の星の形は決まっていますが、盾の形は自由です。神官の好みが出るとも言われていますが、盾の形が逆三角形に近い物を教皇主義が、正方形に近い物を聖典主義が好んで作っていますね」
「聖印を見れば、聖典主義だって、ばればれじゃないか」
「教皇主義は聖典主義は存在しないと言っていますから、咎められることはないですよ」
自由なんだか、頭が固いだけなのかわからないな。
「ローグはどっちなんだ?」
聖印の形だけじゃ俺にはわからないけど。
「教皇主義です。地方の閉鎖的な村はどこもそうですよ。教会の恩恵を受けますから」
「恩恵?」
「困った時に助けてくれるのが教会です。作物の収穫が思うようにいかない時や、雨が降らない時等、教会で神に祈りを捧げます。病の治療を行うのも、主に教会です。貧困者を救うのもそうですね。生活に根付いているんです」
役割としては、ラングリオンにおける礼拝堂と変わらない気がするけど。
祈るだけで現状が改善するなんて本気で思ってるのか?
「今でも信仰してるのか?」
「毎朝祈りを捧げていますよ」
「面白いか?」
ローグが苦笑する。
「神は心の平安の象徴です。主君も信仰は自由だと仰られていましたよ」
なんだか良くわからないシステムだな。
「もう少し、クエスタニアとかグランツシルト教について教えて欲しいんだ」
大陸史は一通りやったし、クエスタニアに行ったこともあるけど。
グランツシルト教についてはほとんど知らない。
「ランチを食べたら図書室に行こう」
「図書室、ですか?」
もう少し勉強して行かないと。
ローグと一緒なら捗るだろう。
「クエスタニアに関する資料でしたら、私の部屋に十分あります。足りない分は私が図書室から持ってきますから、先に行ってもらえますか?」
「欲しいのは自分で探してくるけど」
「エルロックさんが城の図書室を利用する場合は、主君の許可が必要です。たぶん許可は下りないと思いますが、掛け合いに行きますか?」
『大人しくローグの部屋に行った方が良い』
『きっとぉ、アレクは許可出さないわねぇ』
『当然だ』
「……わかったよ。先にローグの部屋に行ってる。っていうか、ローグも同行する予定だったのか?」
「私は後方支援を任されているんです」
「後方支援?」
「クエスタニアへは、転移の魔法陣で移動するまでは同行しますが、それ以降は別行動で、クエスタニアに潜入しているスパイと連絡を取って王宮に入る予定です」
スパイなんて居るのか。
……まぁ、居てもおかしくないか。
「連絡はほとんど取り合えないですから、なるべく予定通りに行動してくださいね」
「わかったよ」
「私の役目は、失敗のフォローと脱出が必要な場合の支援、それからリリーが迷子になった場合の保険ってところですが……」
確かに、王宮で迷子になられたら探すのが大変そうだな。
「一番の目的は、エルロックさんが単独行動した場合の護衛ですから。くれぐれも、リリーと離れないで下さい」
ローグが微笑む。
「わかったよ」
その笑い方。
本当に、パーシバルと良く似てるよな。
「食事が終わったら一度主君の元に戻って、リリーを皇太子の棟まで案内していただけますか?」
「良いけど、リリーは近衛騎士だろ?アレクの元を離れて良いのか?」
「主命を除いたリリーの最優先の任務は、城内を一人で移動できるようになることですから」
「それ、リリーに仕事させる気ないだろ」
「とんでもない。新人教育の基本ですよ。有事に必要な配置に付けなければ意味がありませんから」
そうなんだけど。
「出来なければ他の仕事を任せられないだけです」
仕事させる気ないってことか。




