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旧作3-1  作者: 智枝 理子
Ⅲ.剣術大会編
59/149

63 正鵠を射る

『おはよう、エル』

「おはよう」

 鳥のさえずりが聞こえる。

 今日は晴れてるのかな。

 

 着替えて、ベランダに向かう。

 夜間の護衛はローグとマリユスだったらしい。

「おはよう、ローグ。マリユス」

「おはようございます」

「おはようございます。エルロックさん、早いですね」

 そういえば、まだ朝食の準備もしてない時間か。

 扉の開く音がして、アニエスが部屋から出てくる。

「おはようございます。エルロック様」

「おはよう。アニエス」

「コーヒーでよろしいでしょうか」

「あぁ」

「少々お待ちください」

 アニエスがコーヒーの準備をするのを見ながら、椅子に座る。

「主君も早起きでしたよ」

「起きてるのか」

「はい」

 休みなのに。

「今は弓術訓練場に行かれています。早朝は弓術の稽古に適しているからと」

 一番静かな時間だからな。

「誰も連れて行かなかったのか」

「城内ですから」

 城外でも連れ歩かないけど。

「昨日は上手くやったのか?」

「はい。問題ありません」

「エルロックさんは、主君と一緒に王都の居酒屋に行かれたんですよね」

「あぁ。パッセの店だよ。マリユスは知ってるか?」

「兄と行ったことがあります。……近衛騎士も連れずに外出されるなど、問題ある行為ではありませんか」

『突っかかって来るわねぇ』

「外出してないことになってるから良いんだよ」

「マリユス。今の発言は、主君が陛下であるかのように聞こえる」

「しかし、」

「どうぞ」

 アニエスがコーヒーをテーブルに並べる。

「マリユス様。陛下は王都で起こってることはすべて把握されていらっしゃいます。その上で、昨夜についての御咎めはございませんでした」

 そこまで丁寧な説明が必要か?

 たとえどんなに周りにばれないようにやったとしても、精霊が居る限り、陛下だけは騙せない。

「ローグ。僕が間違っているのか」

「近衛騎士を連れて歩くかどうかはアレクシス様が決めることだ」

「何かあってからでは遅い」

「それを考えるのは私たちではない」

「待機を命じられれば、どんなに危険な場所に向かわれようと待機するのが近衛騎士の役目だって言うのか?」

「違う」

「なら、今回の件は密かにアレクシス様の護衛をしても良かったんじゃないのか」

「それは無理だ」

「何故だ」

 なんだか面白いな。

「笑い事じゃありません」

「ローグ、少しぐらいアレクに反抗する奴が居ても良いんじゃないか?」

「主君は厳しいお方です」

「反抗しているわけではありません」

 カミーユが心配するのも無理ないか。

「やりたいようにやらせてみたらどうだ?」

「マリユスのことを任されています」

「ローグが心配するようなことは起こらない。失敗によって学ぶことの方が大きいよ」

「ですが……」

「どういう意味ですか」

『ライーザだ』

『服をいっぱい持ってるわ』

『ロザリーの作った服かしらねぇ』

 宝物塔に保管してるのか?それ。

「おはよう、ライーザ」

「おはようございます、エルロック様。リリーシア様のお召し物をお持ちいたしました」

「黒以外もあるんだな」

「はい。いかがいたしましょう」

「ん……」

 相変わらず、どれも可愛いデザインだな。

「エルロックさん。失敗ってどういう意味ですか」

「そのままだよ。父親の従騎士をやってたんだから分かるだろ」

 マリユスの父親は陛下の近衛騎士だ。

「ローグはわかるか?」

「教えるなよ」

「……マリユスは、もう少しアレクシス様のことを知った方が良い」

 それが答えだと思うけど。

「赤いのにするか」

 赤地に白のフリルの衣装。

 赤はそんなに好きな色じゃないけど、リリーに着せたら可愛いだろう。

 けど。

「着るかな」

「お召し替えでしたら、お任せください」

 ライーザが微笑む。

 頼もしいな。

 皇太子の棟の入口の方からワゴンの音が聞こえる。

 エミリーだ。

「御朝食の準備が整いました」

 良い匂いがする。

「アレクを呼んでくるよ」

「お包みしましょうか」

 持って行った方が早いか。

「頼むよ」

 エミリーがプレーンスコーンにクリームを挟む。

 時間がかかりそうだな。

「マリユス、今日は休みか?」

「特に指示はありません」

「夜勤明けの午前は休養を取ることが仕事です」

「なら、今日一日、密かにアレクの護衛をしてみたらどうだ?」

「だめです」

「わかりました」

「エルロックさん!」

「良いだろ?ローグ」

「何かあってからでは遅いです」

 扉が開いて、ツァレンが出てくる。

「おはよう。騒がしいな」

「ツァレン。おはよう」

「おはよう、エル!」

 別の扉が開くと同時に抱き着かれた。

「おはよう、ロニー」

「今日も可愛いね」

『また捕まったのぉ』

 避けられないんだから仕方ないだろ。

「皆も、おはよう」

「おはようございます」

「おはようございます。ツァレン様、ヴェロニク様」

「マリユス。近衛騎士同士の敬称は禁止だ」

「すみません。ツァレン、ロニー」

「まだ慣れないのか?」

「マリユスは、ここに来たばかりだからね」

 そういえば、近衛騎士になってすぐにローグと竜の山に行ったんだっけ。帰って来たのが最近なら、まだ慣れてなくても仕方ないか。

「エミリー、何やってるの?」

「アレクシス様の御朝食の準備です。今朝早くから弓術訓練場に向かわれていますので」

「早起きだね」

 ロニーが俺の耳元で小声で囁く。

「最近、アレクの様子が変だと思わない?」

 ロニーはアレクのことを良く見てるからな。

「昨日で解決したよ」

「ありがとう」

 アレクが悩んでること、気づいてたんだろう。

「エルが持って行くの?それ」

「そうだよ。いい加減、離せ」

 ロニーがようやく俺を離す。

 あれ?

 今、何か光った。

「何?」

 ロニーの詰襟の内側に、アレクからもらったのと同じビオラのブローチがついてる。

「エルももらったの?」

「もらった。なんでここに着けてるんだ?」

「見せちゃいけないって言われなかった?」

「言われなかったけど」

「変だな」

「見せない方が良いのか?」

「アレクが何も言ってないなら、構わないと思うけど」

「準備が整いました」

 エミリーからスコーンの包みと水筒とカップが入ったバスケットを受け取る。

「随分な量だな」

 朝からピクニックだ。

「エルロックさん、僕も行きます」

「朝食は食べて来いよ。どうせ弓術訓練場に居るんだから」

「何かするの?」

「ちょっとした遊び」

 そうだ。ビオラのブローチ、襟につけておくか。

 見せてはいけないものならアレクが気づいて何か言うだろう。


 ※


 弓術訓練場。

 城内にある演習場の一つだ。

 アレクが的に向かって弓を構える。

 随分長距離の的当てだな。

 アレクが矢を放つ。

 ……中心を外した。

 この距離なら、的に中るだけですごいと思うけど。

「おはよう。エル」

「おはよう、アレク」

「エルもやってみるかい」

「弓なんて扱ったことがない」

「おいで。もう少し近い距離でやろう」

「その前に何か食べたらどうだ」

 持っていたバスケットをアレクに見せる。

「そうだね。ありがとう」


 訓練場の脇にある休憩場所にバスケットを置く。

 テーブルクロスを広げて、カップを並べて水筒から紅茶をそそぐ。

 バスケットの中には、クリームを挟んだスコーンの他に、フルーツが練り込んであるスコーンとハーブを練り込んだスコーンがある。

「エミリー特製のクリームは美味しいんだよ」

 アレクがクリームを挟んだものを取って食べる。

「クロテッドクリームじゃないのか?これ」

「食べてごらん」

 クリームを挟んだものを食べる。

「おぉ」

 想像と全然違った。

 濃厚なのに、さっぱりしていて、ほのかに甘くて美味い。

「紅茶に合うんだよ」

 確かに。だから、わざわざ紅茶を水筒に入れて用意したのか。

「なんであんなに遠くからやってたんだ?」

 弓術の練習は短距離、中距離、長距離で練習するけど。

 長距離よりももっと長い距離だ。

「ガラハドはあの距離でも当てるよ」

「中心に?」

「そう。彼は目も良いからね。中央広場から南大門の門番の顔が見えると言っていた」

「冗談だろ?」

「私もそう思ったけれど。クレアの特徴らしいね」

 ブラッドとクレアの違いってかなりあるな。

 エレインとイレーヌが弓を使うのも、目が良いからか。

「エルも弓術の訓練をしようか」

「俺は騎士になんてならないぞ」

「騎士になることを求めているわけじゃないよ」

「弓術なんて接近戦で使えないし、魔法が使えるなら必要ないだろ」

「集中力を鍛えるには良いよ」

 だから。

「理由があるならちゃんと言え」

 アレクが苦笑する。

「そうだね。エルは、騎士が修得するべき武術について知っているかい」

「剣術、槍術、弓術、体術だろ?」

「槍術と弓術は必須。剣術は斧を扱う技術、体術は棒術でも良いんだよ」

 剣が扱えない騎士なんて聞いたことがないけど。

「なんで?」

「斬撃属性である剣や斧。刺突属性である槍。射撃属性である弓。打撃属性である体術や棒術。習得すべき武術は、武器の持つ属性に由来する」

「魔法でもないのに属性なんて変な感じだな」

 無属性の攻撃の分類なんて。

「それを言うなら、レイピアは刺突属性もついてるじゃないか」

「そうだね。大地の魔法で出した岩も、相手を攻撃する時は打撃属性になる」

 魔法には必ず属性が存在して、理論上、無属性の魔法なんて存在しないことになってるけど。

「確かに」

 作り出したもので殴れば、無属性の攻撃にもなることはわかってる。

 っていうか。バニラに殴られたのはかなり痛かったからな。確かにあれは打撃だ。

「私は無属性の攻撃とは、リンに由来する力なんじゃないかと思っている」

「リンに?」

「そう。オーから生まれた神々の持つ力は、すべて魔法の属性が存在する。けれど、この世界には斬撃、刺突、射撃、打撃という属性もまた、確かに存在するんだ」

「オーが魔法の属性を持つなら、リンは無属性だって?」

「仮説だけどね。私とリリーシアの前に現れたあれ……。名前を知らないから、仮にベネトナアシュとしておこうか。彼はリンの宿るものでは斬れないにも関わらず、槍の魔法を使ったね」

 それは、俺も変だと思っていたこと。

 俺はレイリスの魔法を無効化できる。レイリスと瞳を交換しているアレクも無効化出来て、神の力をレイリスの力で封印しているリリーにも効果がない。

 リンの宿るものの攻撃を受け付けないなら、どのような方法で持っているにしろ、あいつは確実にリンの力を持っていることになる。

 リンは境界の神にして剣の神。なら、使う魔法は剣の魔法じゃないと変なんだ。

「その理由は、槍もリンの力、もしくはリンから生まれた力だからだ」

「剣の神なのに」

「リンはオーを斬るだけじゃなく、その際に色んな力を生んでいると考えられる。たとえば」

 アレクがスコーンを二つに割る。

「二つに分かれたものが」

 それを、ぶつける。

「一つになろうとすれば、必ずぶつかる」

「それが打撃属性?」

「そう。一つになろうとする力を阻害するのもリンの力だ。境界とはそういう意味じゃないかな。そもそも、槍も矢も、対象を突き刺すことによって、対象に境界を作る」

 刺されたら穴が開くからな。修復できる傷だけど。

 魔法で怪我することなんてほとんどないけど、物理的な攻撃によって肉体は傷つく。それはリンの力によって傷つくわけか。

「で?弓術を習得する意味は?」

「効果があると思うんだ」

「説明になってないぞ。あいつはリンの力を持ってるんだろ?」

「もう一度、リンの力についておさらいしてみようか」

「境界の神であり剣の神。剣には必ずリンの力が宿る。……けれど、あらゆる武器にはリンの力が宿る可能性がある。斬撃、刺突、射撃、打撃属性のあるもの」

「一つ違う」

 どれだ?

 無属性の攻撃は、斬ること、突き刺すこと、ぶつかること。

「……射撃?射る行為だけでは、リンの力は宿らない?」

「そう」

 でも、槍のように刺突してはいけないんだから……。

「つまり、先の尖っていない矢なら効果がある?」

「正解。だから、月の石で作った、先の丸い矢なら効果があるんじゃないかと思ってね」

「なんで月の石?加工が難しいと思うけど」

「リリーシアがベネトナアシュと戦った時、彼女はリュヌリアンに宿るリンの力を消したと考えられる」

「あぁ」

「その結果、あの剣は月の力で満たされたはずだ」

「そうか」

 リュヌリアンは月の石で作られた剣。

 そして、あれはずっと月光浴で月の力を溜めこんでいたはずだ。

「あの武器はベネトナアシュにかなり有効だったからね」

 月の力は有効なのか。

「弓の練習をする気になったかい」

「もちろん」


 朝食を片付けて、アレクと一緒に短距離の的当てのラインまで行く。

「構えてごらん」

 矢は持たずに、アレクから借りた弓を引き絞る。

 ……結構力が要るな。これ。

「もう少し弓を体に近づけて。背筋を伸ばして、顔は正面。……弓は、もっと自分に近づけて良いよ」

 この体勢を維持するだけでも力を使うんだけど。

「もう少し高い位置で。まっすぐ的を見て。……一度、降ろそうか」

 弓を降ろす。

「弓を引き絞る力を鍛えないとね」

『エル』

 マリユスが来たのか。

「どういうことかな」

「ちょっとした遊びだよ。付き合ってやれ」

 アレクを尾行なんて不可能。

 リックの精霊だってプロの尾行を見抜けるのだ。

 マリユスは陛下の近衛騎士の従騎士をやっていたはずなんだけど、知らないのかな。

「困った子だね。眠くないのかな」

 夜勤明けのはずだけど、元気だよな。


 ※


 アレクが弓を構える。

 アレクが立っているのは、俺が来た時と同じ。長距離よりも長い距離。

 もう、何本目かわからないぐらい続けてるけど、構えた弓矢がぶれることはない。

 アレクが矢を放つ。

「おぉ」

 的の中心。正鵠を射る。

「偶然だよ」

 練習の成果だと思うけど。

「まだ続けるのか」

「今の感じを掴みたいからね」

「少しは休んだ方が良いんじゃないですか」

「ツァレン」

 ツァレンが練習場に入ってくる。

「エルもこの距離から練習か?」

「まさか。俺は初心者だぞ」

 弓を正しい姿勢で引き絞る力を鍛える練習をしてるだけだ。

「なら、なんでその弓を使ってるんだ?練習弓じゃないだろ」

「え?」

「その弓が引けるようだったから、それを使わせてるんだ」

「引けるのか」

 弓を構える。

「良い姿勢じゃないか。もう矢を使えそうだな」

「この距離から撃てって言うのかよ」

 弓の練習では、射手より内側に入るのは厳禁だ。

 ツァレンが笑う。

「主君の練習が終わるのを待ってるのか」

「今日は矢は使わないよ。やりすぎると肩を壊すからね」

「それは主君も同じですよ。御届け物です」

 ツァレンがアレクにバスケットを見せる。

「ショコラティーヌか。良い香りだね。焼き立てかな」

「リリーシアが作ったばかりのものですよ」

「リリーが?」

「エミリーと一緒に厨房で作ってたんだ。オルロワール家に持って行くらしいぜ」

「もう出かけたのか?」

「薔薇園で薔薇を摘んでから行くって言ってたな」

「行ってくる」

「食べないのかい」

「絶対食べるから、俺の分も残しておけよ」


 ※


 っていうか。

 この薔薇園、広すぎるんだよ。

「どの辺に居るんだ?」

『近くに居るはずだ』

 ここって迷路みたいだからな。

『向こうに居たよー』

 上の方から声が聞こえる。

 上空から探してくれてたのか。

『こっちよ』

 ナターシャの声がする方に進むと、リリーが居た。

「リリー」

「エル!」

 俺に気付いたリリーが走って来る。

 濃い赤がベースで、フリルや装飾に白が使われているワンピース。

 上は長袖の黒いボレロ、下は白と黒の横縞のタイツ。

 二つに結んだ黒い髪を結んでるリボンは、赤地に黒いラインの入ったリボン。

 腕の中に飛び込んできたリリーを抱きしめる。

「可愛い。すごく似合う」

 着てるところ、見られて良かった。

『エルが見つけてくれて良かったね』

 イリス。

 また、迷子だったのか。

『ライーザ見なかった?』

「四阿にでも居るんじゃないか?行こうぜ」

 リリーの手を引いて、四阿を目指す。

「どうしてここに居るってわかったの?」

「ツァレンから聞いたんだよ」

 会えて良かった。次に会えるのは九日だろうから。

「剣術大会が終わったら、家に帰って来るんだよね?」

 いい加減、俺が死んだって噂にも限界があるだろ。

 外に発信する分には良いが、王都で俺が死んだって思ってる奴がどれぐらい居るか知りたい。

「帰るよ」

 絶対、帰ろう。

 っていうか。なんで何も持ってないんだ?

「薔薇は摘んでないのか?」

「私は摘んでないよ。フェリックス王子がマリーに渡す花を選んでるんだ」

「リックも行くのか」

「うん」

「で?……散歩してたら迷子になってたのか」

「そんなことないよ。薔薇が綺麗だったから見てただけだよ」

 戻れなくなってるってことは、迷子なんだけど。

 リリーらしいか。

 

 四阿に行くと、ライーザとリックが居る。

「おはよう、リック」

「エルじゃないか。おはよう。……っていうか、ようやく戻って来たのか。遅いんだよ」

「ごめんなさい」

「この迷子をどうにかしろ。なんで、ちょっと目を離した隙に居なくなるんだよ」

 それは俺も思ってることなんだけど。

「俺は見つけられるから良いんだよ」

「良いか。マリーの家に行くまで、俺から離れるなよ」

「マリーの家なら迷いません」

 どうかな。

「エル、お前も来るのか?」

「行かないよ。城門まで送る」

「城門まで行ってられるか。東口から行くんだよ。オルロワール家なら東から出た方が早いからな」

「東口?」

「裏口の一つだ」

 裏口って北にしかないと思ってたけど。

「秘密の出口でございます」

 王族専用の脱出用通路?

「それ、他人に教えたらまずいんじゃないのか?」

「迷子に教えたところで問題ないだろ」

 ……まぁ。わからないだろうな。

 リリーが頬を膨らませる。

 可愛い。

「リリーシア様は剣花の紋章をお持ちですから問題ありません」

 そうだったな。

「ほら、行くぞ」

 リックがライーザの持っているバスケットを持って行く。

 あれにショコラティーヌが入ってるんだろう。

「リリー、気をつけて」

「ありがとう。いってきます」

「いってらっしゃい」

 後ろで結んだリボンが揺れる。

 


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