『星々の晩餐 — 記憶の回廊ルート』
『星々の晩餐 — 記憶の回廊ルート』
□星を離れた料理人
宇宙の闇は、海よりも深かった。
その闇の底で、ひとりの女が古い調理器に火を灯している。
名はアストリッド・フォン・ルシフェリア。
かつて帝国の晩餐会で毒を盛り、星間追放となった“悪役令嬢”。
いま彼女がいるのは、補給艦。
誰もいない厨房で、彼女は黙々と鍋を磨いていた。
指先の熱が金属を通じて震えるたび、
忘れたはずの声が微かに蘇る。
> 「人の味を奪ってまで、何を救おうとしたのか」
──答えは、まだ見つからない。
だが、料理だけが彼女に残された魔法だった。
> 「……なら、もう一度、誰かを満たす味を作ろう」
星屑が流れる。
彼女の旅は、再び“味”から始まる。
□宇宙市場
金属と果実の匂いが混ざり合う、市場の輪。
光子幕の上には、星々の光がゆらめいている。
アストリッドは露店を歩きながら、
記憶のどこかで聞いた旋律を思い出していた。
「果実はいかが?」
ひとりの老女が、青白い実を差し出した。
「これは“星果”。食べた者の心の色を映す。
甘ければ希望、苦ければ懺悔」
隣の露店では、古びた調理機械が埃を被っていた。
「これはまだ動く?」
「さぁね。前の持ち主が“記憶を焼いた”って言ってたけど」
どちらに手を伸ばすか。
料理人の感覚が、静かに問いかける。
□果実の夢
果実を切る。
瞬間、白い光が迸り、香りが過去を開いた。
──母の声。
「焦がしすぎたら、優しさの味になるのよ」
その記憶が甘く、そして痛い。
アストリッドは涙を指で拭い、
スープの鍋に果実を落とす。
すると、果汁が水面に溶け、
青い光の花を咲かせた。
> 「これは……心を煮込むスープ」
彼女は笑った。
料理とは、悲しみの再生装置なのだと気づきながら。
□機械の記憶
金属の蓋を開けると、
古い回路の奥で青い光が瞬いた。
> 《再起動シーケンス完了。ユーザー登録名──アストリッド》
「どうして、私の名前を……?」
> 《お前が最後に登録した。晩餐会の夜、泣きながら》
沈黙。
AIの声がかすかに震えていた。
「……あの夜の味を、忘れたくなかったの」
> 《ならば、再調理モードを起動しよう。
二度と同じ過ちを繰り返さぬように》
アストリッドは頷く。
だが彼女は知っていた。
この“再調理”が、彼女自身をもう一度宇宙市場に戻す儀式だと。
□星の晩餐
再び厨房に立つアストリッド。
手には星果のスープ、背後にはAI。
どちらのルートを選んでも、今、鍋の中にあるのは“赦し”の味だ。
> 《味覚解析完了。
この味は……悲しみの記録ではなく、希望のレシピだ》
彼女は静かにスプーンを掲げた。
スープの表面に映るのは、帝都の光でも、過去の罪でもない。
銀河を漂う一粒の涙。
「これが、私の答え。
料理は、過去を癒すための魔法。」
星々が音もなく拍手を送る。
その光の中で、彼女の料理が新しい物語を生み出していった。
【END:記憶を調理する者】
タグ:@TRUE_ROUTE / @LOOP_MEMORY / @FORGIVENESS
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筆者より:
従来の「ファンタジー物語半自動執筆システム」は、ライフゲームのドットのように言わば“原稿用紙のマス目”を埋めるような作業が必要でした。ゲームブックをAIに生成させる。その結果を固く信じて、作業に取り組んで数ヶ月。それはようやく実を結んだ気がします(^^)




