自分の趣味を押し付けて来る婚約者にもう限界です。婚約破棄したいです。
「エアリー、今日はプレゼントを持って来たよ」と婚約者のブルースが訪ねて来た。
「ブルース様、いつも有り難う御座います」
「君に似合いそうなブルーのドレスにブルーのネックレスだよ、今度のお茶会で着て来て欲しい」
「でも、ブルース様、私はブルーのドレスに合う靴が御座いません」
「では、今度はブルーの靴をプレゼントしよう、しかし、君はいつもピンクのドレスを着ているね、部屋の絨毯もピンクだし」
「私はピンクが好きなのです」
「しかしなぁ、私の婚約者なら私に合わせるのが当然だろう、私を見なさい、髪の毛も瞳の色も服装も靴も全部ブルーではないか、君はピンクばかり好んで着ているのはどうかと思うぞ」
「か…かしこまりました、今後は気よ付けます」
「おっと、用事が有るからこれで失礼するよ」と言いブルースは帰って行った。
エアリーは両親の部屋に駆け込んだ。
「お父様お母様、私はブルース様と結婚するのが嫌で御座います、何もかもブルーにしろと言うのです、もううんざりです」
「しかしなぁ、この婚約を破棄するのは難しいのだ」
「そんな、このままでは下着までブルーにしろと言いかねません」
「それはそれで良い趣味かと」
すると、横に座っていた母親に睨まれて父親は小さくなった。
「エアリー、私に良い考えが有ります、耳を貸しなさい………」
「お母様それは良い考えですね」
そして、エアリーは数日後ブルースを家で開催するパーティーに招待したのだ。
すると、ブルースは全身ブルーの姿で現れた。
でも、家に入るなり驚いたのだ。
エアリーもエアリーの父も母も、その他の客人や召し使いまで、全員ブルーの衣装に身を包み、壁や絨毯や食器までブルーだったのだ。
流石にブルースは頭がクラクラして来た。
「エアリー悪かった、流石にブルーばかりでは誰が誰だか解らない、私の好みに合わせようとして悪かった」と頭を下げて謝った。
そして、数日後ブルースが家に訪ねて来た。
勿論エアリーはお気に入りのピンクのドレスを着ていた。しかし、エアリーも両親も驚いた。
何とブルースが全身ピンク色のコーデだったのだ。
「モモリー、今度は君の趣味に合わせるよ」と言ったのだ。
「私はモモリーではなくてエアリーで御座います」と言うと、ブルースは「モモリーの方が君に似合っているよ、結婚式は二人とも全身ピンクのコーデで行おう」というのだ。
エアリーは逃げ出した。
「こんな人の夫になるなんて無理ですー」と叫びながら。
「モモリー待っておくれー、私の妻になっておくれー、ピンク繋がりで良いではないかー」
「絶対嫌でございまーーーす」
街中をピンクの女とピンクの男が叫びながら走り抜けて行った。