表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

29/45

第25話 舞い降りるぱんぴ~

「いけ、ぱんぴ~!」


 腕に「金剛力」を付与し、ぱんぴ~を思いっきりぶん投げる。

 ぶん投げてからしまった、と思った。

 あまりの勢いに恐怖してぱんぴ~が泣き出すかも知れない……いや。


「きゃっきゃっきゃ、早いのだ~♪」


 杞憂だった。大喜びだ。

 しかし、ビーちゃんと魔王の間を狙ったぼくの狙いは、大外れ。


 ぱんぴ~はぶん投げた勢いのままに魔王にぶつかり、ゴムボールにぶつかったかのようにひとつ跳ねてから、奇跡的に魔王の手前に落ちる。……チャンス!


「――【幼土精霊の防壁(ぱんぴ~・うぉ~る)】!」


 説明しよう。【幼土精霊の防壁(ぱんぴ~・うぉ~る)】とはひとりひとりはへっぽこでも、数が揃えばゴブリンだって撲殺できる、ぱんぴ~の【岩巨人作成(クリエイト・ゴーレム)】の魔法プログラムに、【土塁作成(クリエイト・ウォール)】の魔法プログラムを組み合わせた、ぱんぴ~専用のぼくオリジナル魔法だ。


 魔法発動、と同時、ぱんぴ~はその特性を生かし、見る間にその数を増やす。

 従来の【岩巨人作成(クリエイト・ゴーレム)】はここで終わりだが、真骨頂はここからだ。

 数を増やしたぱんぴ~が歌劇団もかくやという動きで組み体操で壁を作る。

 と、次の瞬間。

 ぱんぴ~の壁は、ビーちゃんと魔王を隔てる本物の土壁となって立ち塞がった。

 魔王は太陽となって輝いたのは、その直後。

 圧倒的な閃光、圧倒的な熱量が、範囲内のすべてを焼き尽くす。

 だが、ぱんぴ~の壁はそのすべてを遮った。

 濃厚な影の中にクラスメイトを抱き、一陣の熱波のさえ別世界のものとした。


(なかなかいいじゃないか……)


 悠々とビーちゃんの前に躍り出る。


「あ、……あなたは?」


 びくぅん、と肩が震えた。……びっくり。


(……まだ気を失ってなかったのか)


 しかし困ったな、さてなんと名乗ろうか。

 誰かに見つかったらさっさと逃げるつもりだったから何も考えてないぞ。


「――春空?」


 いきなりバレてる件について!!

 ああ、でも目や口の間から見えるか?


「じゅん、び、ばん、たん! ――で、す!」


 どうしようかと考えていたら、残りの水を平らげて相撲取りのようにお腹をパンパンに膨らませたにぶるが、のっしのっしとやってきた。


 ――よし! ……聞かなかったことにしよう。


「いくぞ、にぶる!」


 にぶるの頭に手を置き、ありったけの魔力を込める。

 相手は、魔王だ。やり過ぎなくらいがちょうどいいはず。


「――《水流斬撃(ウォーター・カッター)》!」


 にぶるが嫌々するように、ぷぃっと首を左から右に回す。


 刹那、魔王とその取り巻きを真一文字の空白が横切った。それは、魔王と取り巻きを題材にした絵に、消しゴムを真一文字に走らせたかのようだった。


(や、やばい……)


 魔王の遙か後方にある山の頂が、ずずずっ、と音を鳴らすように横滑りする。

 いや、山だけではない。

 魔王の背景全部……ダンジョンそのものだ。

 真一文字に断たれたダンジョンの上部と下部が、ずずずっ、と横にズレたのだ。


(や、やりすぎた?!)


 しかし、取り巻きは火の粉なって散るものの、魔王は――流石、魔王だけあってしぶとく耐え、炎の触手を伸ばして、真っ二つになった体を結び合わせようとした。


(復活する!?)


 トドメを! しかし、これ以上やるとダンジョンが……、いや、魔王を倒せばどっちみちダンジョンは消滅するのだ。水平なら地上に被害が及ぶこともないはず。……多分。


「ええい、ままよ!」


 魔力控えめで魔法を発動。


 にぶるは、今度は右から左に首をぷいっとして、また左から右に首をぷいっとした。

 超高圧圧縮された水流が、右に左に、左に右に、魔王を行き交う。

 同時に、一文字の空白が二度三度と魔王のその巨体をかき消し、6等分に分かつ。


 魔王は、断絶した傷口から炎の触手が伸ばし、なおも再生を試みようとした。


 魔王の中心に近いほどその試みは成功したが、中心から遠のくほどその試みは失敗に終わり、火の粉を散らして消えていく。


 そして、体の半分ほど失った瞬間、魔王の体に決定的な破滅が訪れた。

 再生に成功した部位ですら火の粉となって散っていったのだ。


「勝、た、――で、す!」


 にぶるが小さくガッツポースをする。

 小太りだった体型はいつもの痩せっぽちに戻っていた。

 どうやらギリギリ水が足りたらしい。

 威力を控えて継戦能力を上げるべきだな、と反省して、


(さて、ダンジョンが消滅する前に逃げるかな)


 魔王討伐から数日で住処としていたダンジョンは消滅するので、今すぐどうこうなるわけではないが、陽キャ共が救援を連れて戻ってくる可能性もある。それに、


「――春空! いえ、春空様」


 きたこれ。面倒はごめんなので無視、無視。……ん? 春空、様?


(――んん?!)


 ……たまげた。

 何気に振り返ると、ビーちゃんが王様に謁見する騎士みたいに跪いているではないか。

もしよろしければ、


・ブックマークに追加


・広告下にある「☆☆☆☆☆」から評価


よろしくお願いします。


「面白!」「続きが気になる~!」と思っていただけたのなら是非お願いします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ