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第20話 お揃い

「200回忌の曾祖母の法事とやらには行かんで良いのかの?」


 セシルちゃん妖精の皮肉に、ぼくは「はんっ」と鼻で笑い飛ばした。


「行かないよ、だって生きてるもん。今頃、ハッキングしたナビ妖精で、おやつのプリン片手にひ孫をストーキングしているはずさ」


「残念ッ! 今日のおやつはポテチぢゃ! コンソメ味ぢゃぞ! いいぢゃろ?」


「はいはい。ぼくはのり塩派だから」


 セシルちゃん妖精をを軽くあしらい、M/Mを起動させ、装備データを呼び出す。


 データ欄の上にある使用頻度の高い、いつもの装備を通り越し、下の方にある、使用頻度の低い、もしくは使用していない装備まで画面をスクロールさせる。


「どれがいいかな~」


「イメチェンかの?」


「まあそんな感じ~」


 実は、ぼくの装備データはなかなかに絢爛だ。


 高校入学のとき、セシルちゃんの知り合いや、婆ちゃんの知り合い、母親の双子の弟である叔父さんから入学祝いと称した伝説級の武具を惜しみなく貰ったからだ。


 それでいて装備データの底に眠らせているのは、破損や紛失を恐れてからではない。無能オークを無能オークたらしめる無能っぷりで能力値の装備条件を満たせなかったから。


「いつまでも粗末な格好では格好がつかんからな、よいよい。……粗末な格好で思い出したが、今なら『ジェネラルスケルトンの鎧』を完全版で装備できるのではないか?」


「……。……。……まじで?」


「なんぢゃ試してなかったのか?」


「いや、試すも何もロストしちゃったし……」


「なんぢゃと?!」


 転生したときにはすでになかった記憶がある。

 多分、ゴブリンの大群に襲われて、気絶している間に剥ぎ取られたのだろう。

 欠片もなければ再構築できないので、装備データから除外される。

 まさに「喪失(ロスト)」してしまったのだ。


「勿体ない! あれは、まだ消滅させていないスケルトンジャネラルからひんむくことでようやく手に入れることが出来るレアアイテムなのぢゃぞ?!」


「暇なときに取り戻してくるよ」


 ……あの女冒険者がいないときを見計らってね。


「とりあえずはこんなもんかな……」


 選んだのは、ところどころに金銀の意匠があしらわれた高そうなタキシード……「真祖のタキシード」と、幾億万の星々の瞬きを宿す……「星屑のマント」。


 腕は、タキシードが邪魔で装備できないのでパスして、同様の理由で「長靴系」も無理なので、闇の妖精によって永遠の闇から作られたという「常闇の革靴」を選ぶ。


 どんな案配かとM/Mで自撮りしてみた。

 ……うむ、見事なエセ紳士っぷり。装備に着られている感が凄い。

 豪奢そうな装飾品で、もうちょっと高級感を出してみるか。


「……ふむ、余計に胡散臭くなったな」


 無能オークの肥満体ではろくに服も選べなかったとはいえ、我ながら酷いセンスだ。

 冒険者は見栄えも大事だというのに、もうちょっと勉強すべきだな。


「とりま、あとは顔を隠せるものを……」


 装備データには『賢者のサークレット』に『烏骨鶏の頭巾』『暗黒騎士の兜』『歌舞伎者のカツラ』などなど、名称だけでただならぬものがたくさん。


 しかし、顔を完全に隠せるものとなると……『暗黒騎士の兜』くらいか。

 とりあえず装備して自撮りしてみる。


「う~む……」


 タキシードに、鉄仮面……「ロビ○マスクか?!」とツッコミを入れたくなった。

 悪くはないのだが、ぼくにはあまり似合わない。まあ気分の問題だが。

 格好いい路線よりも、どちらかといえばコミカル路線の方が性に合うのだが……。


「……?」


 ぱんぴ~と目が合った。愛嬌たっぷりに小首を傾げている。

 そういえばなんで土の精霊なのにカボチャ頭なんだろうか? 野菜は土で育つから?


「いいね、それ」


 何ともなしに褒める。特に意味は無い。ただ目が合ったから。

 すると、ぱんぴ~はとんでもなく可愛い笑顔で、


「主にあげるのだ~」


 すぽぉん、とカボチャの被り物を脱いで差し出してきた。

 これこれ、それは君のアイデンティティーだろうに。

 ちょっと褒められただけで貢ぎ物とは将来が心配だよ。


「ありがとう。でも、これはぱんぴ~が使うといい」


 受け取ったカボチャの被り物を、すぽぉん、とぱんぴ~にかぶせてやる。


「いいのかぁ?」


「自分で造るよ」


 足下からひと掬いした土塊に魔力を込め、イメージ、イメージ。

 あれよあれよという間に、カボチャの被り物が出来上がる。


「お~、お揃いなのだ~!」


 嬉々として言い放つぱんぴ~。


「ん~、そうだね」


 お揃いではあるけれど、酷い不格好だ。左右非対称で歪んでさえいる。


 美術を習ったのは中学以来だから――高校にはその手の芸術系の教科がないのだ――よくできた方だとは思うが、まあ顔を隠すという目的には十分なので、文句はない。


 ……あ、そうそう。


「にぶるにもお揃いのやつ作ってやろうか?」


 ひとりだけのけ者は可哀想なのでそう提案したのだが、


「いらない、――で、す!」


 とんでもなく可愛い笑顔できっぱりと拒否られた。


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