意見は多面的に見て言え
・side黒部
外に出ると待ってましたと言わんばかりの顔をしている一ノ瀬の姿があり、これは怒られると言う事を察した。
「大層な事を長々と話していたんでしょうね〜、総司令副官様とゴミさん」
「なんだその言い方は、俺が上司でお前が部下だからな、い、っ、と、く、が。あと、全然話したい事はなせてないからな、お前らが急かすから」
総司令副官のじじいは、既に頭を下げて謝っていた。ホント情けないじじいだな。
「おい、長浜、吸いながら歩かん?。それ解いてやるから」
「良いですね〜、吸いましょうよ」
「儂にも吸わせてくれよ」
じじいが首を突っ込んできやがった
「うるせえ、じじい、さっさと禿げろ!」
「お前さん、降格させてやっても良いんじゃぞ。もう一回班長からやり直すか?」
じじいから異様なまでの殺気と怒りが感じられる。ちなみに言っとくが、俺は一回このじじいを怒らせて、24金のネックレス没収されてるんだ。早く返してもらいたい所だ。
とりあえず花崎の縄をほどき、タバコ?を一緒に吸いながら歩く。ここで総司令官様達に遭遇したら皆で怒られちゃう?。というか、縄をほどいてる時点で怒られるのは確定なんだが。
「ふぅ〜、うまいっすね。これタバコと見せかけてのあれですか?」
花崎が正解を当ててきやがった。さすが、元卸人だ。細かく言うとこれ俺が仲間の業者に頼んで特注で作ったタバコ風葉っぱ箱だ。これ見た目はタバコだから、上層部にバレずにタバコと見せかけて吸う事が出来る奴だ。だが、においを嗅がれたら終わりなので、一応上層部が見てない所で吸ってる。
「おまえさん。」
やばい、怒られる。これは、マズい。マズい。
「儂にも売ってくれんかこの箱。2倍の価格で良いから頼む。この通りじゃ。」
「だめって、言われてるだろ!。じじい、警察に2回も逮捕されて2回目は実刑までくらってるんだからよー」
頭を下げている上司を前に断るのは心が痛いが、総司令官から言われてるから断るしかないのだ。
まぁ、この後は黙々と吸いながら歩く。
「ここですか?」
「あぁ、ここだ。お前が裁かれる場所は。俺と、このじじいも減刑のために尽くすから期待しといてくれ」
裁判所に着き、1階の大断罪所の真ん中の被告人立場に花崎を括り付ける。
「もうすぐじじいどもが来るから待っておけ、ほれ、ここで消せ」
携帯用灰皿を差し出し片付ける。
「ありがとうございます。あと、また吸いましょ。」
「申し訳ないが、もうここでは吸えない。今、軍部の大麻許可が民間にバレて批判を受けててだな、俺は見本にならなきゃならないってことで一週間後にはもう吸えないんだ。」
この件については本当だ。先の大麻の民間人への浸透と言い、相次ぐ軍人の逮捕でなどでバレちまった所だ。元々は、戦争などで精神がおかしくなっちまってる軍人の心のケアで始めたのに、これがなくておかしくなっちまってる軍人達はどうすれば良いんだよって、言いたくなっちまうよ。
俺は大丈夫だよなくても・・・でも、これがないとな辛いな。仲間の死に様を見るのも精神がすり減っちまって仕方がねぇ。
今、COMが法律を無視して色々な事をするのを色々な所が黙認していても、民間の意見てのは力が強く、だからといってこっちに非があるから制圧しようにも出来ないし、こっちも言われてばっかも気に食わないって所だ。そんでもって今、総司令官の機嫌がと〜っても悪い。
確かにそうだ。俺も、『そんなに言いたいなら戦地に行って戦ってから言え』って言いたいが、中々リスクを考えると言えない所だ。
でも、俺はこいつがこっちについたからには何かこの長い事睨み合った、この2つの関係が変わるんじゃないかと期待を抱いている。もう、仲間の断末魔を聞きながら冷酷に、時に心を殺して戦地に立つのは御免だ。
・side異形
「ふざけるな、どうなってるんだこれは!」
「まぁ、まぁ、落ち着け」
「落ち着いてられるか、仲間を殺されて。」
花崎を殺されて、俺はいても立ってもいられなかった。