地下25階の尋問2
「次に」
と、話し始めた所に黒部が入る。
「お話中、すみません。時間の方が詰まっていて、もう3個目の話に入らないと間に合わないので次の話に入って下さい。」
「これはこれはすまないな。分かった、次の話に入れば良いんじゃな」
時々の、『じゃな』がきになる。
「じゃあ、ここからは大事な話に入るぞ。」
つばを飲む。なぜなら、急にこの部屋の雰囲気がさっきにあふれた殺伐としたものに変わったからだ。
「まず、聞きたいのだが、今、露雨会のどれかが大麻を約束破りな取引で流していると報告が上がっている。さて、どれなんだね?。まず、今日本人間域のCOMで大麻が黙認されている?という現状だが、異形とわざわざ取引しているのには理由があって、リスクがありながらにも取っているのには訳があるのに君たちは金に目がくらんで勝手に許可なく流してるんだな。ふざけるなよ・・・何処が流したんだ、吐け!」
突如、口調が激しくなり大声にもなり、人柄も変わった。・・・この人めっちゃ怒るじゃん。
俺は黙り込んで何も言わないと言う態度を貫く。
「分かった、黙り込むんだな。おい、黒部、あいつをやるよう通達しろ。」
「了解しました。」
何をやろうとしているかは明確だった。凪(白濱妹)を殺すよう言っているのだ。
言うか言わないかで悩んで、焦って、汗がダラダラ出てくる。
「分かった。黒部、本当にやるよう言え。花崎が吐かなかったと白濱には言って」
「分かった、分かった。吐く。大麻を流しているのは株式会社小豆浜だ」
これは、橘が使用している名義の1つで、あいつならここがなくても大丈夫という信頼から言ってしまった。要は、仲間を売ったと言う事だ。俺は最低なことをしてしまったと少し後悔している。と、取れるかもしれないが実は橘のところを調べても薬物関連のものは何も出ないし、俺たちの大麻の栽培場に達することもないし、大麻以外の薬物は無いためそれに至ることもない。俺らは草以外、使用やらを認めていないからだ。でも、流したことに関して本当に何も知らない俺にとっては何が何だか?
「分かった、小豆浜だな。次に5年前に始まった戦争で流れた、もしくは拉散られた人々はどうしたんだ?」
「あぁ、貴方達の統治に耐えられなくて逃げてきた500万人ですね。ちゃんと、私たちが保護してましたよ。」
「嘘をつくな!、実際はろくな対応もしてないだろ!、大量虐殺の一族が!」
「ろくな対応もしてないのはそっちだろ!あなた達は、逃げてきた異形を邪険に扱い、挙げ句の果てに殺してきたのかもしれないが、私たちは、そんなことはしてきてない。むしろ、俺ら異形達は仲間の仇であり、受け入れる必要性すらない人間を快く受け入れてやってるんだぞ!真人会まで行った者たちの行方は知らないが、露雨会領土で止まった者たちはちゃんと衣食住や恋愛など充実した生活を送れるくらいの保護はしてる。そして、今新しく生まれる子供達の中には、異形と人間の子供で魔人達の血を薄く継いでいる子供達が生まれてきているっていうのに、お前らはまだ異形を一括りにして、殺していくのか?、はてどっちが大量虐殺の種族なんだか。あぁ?」
「真人会に何故行くことを許した?」
「一応、止めた。だが、言うことを聞かず、自ら進んでいったんだ。」
そう言うと、少し黙り込んでしまっていたが、次にボソッと言った言葉に腹が立った。
「異形は黙って人間の下に下って、一生を過ごしてれば幸せだろうに。」
「ふざけるなよ!、この先、生まれてくる子供達の未来が大人達の理不尽な縛りで小さな枠にハマっている必要はないだろ!、その枠組みから抜けさせるように助けるのが俺たち大人の役割じゃないのか?」
人間と異形のトップが言い争って空気がとんでもなく凍りついているのが分かる。
「はぁ、すまんな、ひどい事をしまった。これぐらい言うように総司令官に言われてるんじゃ。あと、人間を保護していると言う話は本当か?」
この人、スイッチが入っている時とオフの時の元気が違いすぎて面白いな。
「本当だ。」
そう言うと、爺さんと黒部がコソコソ話で話し、その後。黒部が電話をしにいった。何の話をしているのか俺には聞こえなかったが、俺に関することなのは確かだろう。
「もう少し聞きたいことはあるが時間的に、もう終わりじゃ。最後に吸っていったらどうじゃ」
「お言葉に甘えて」
また、吸い始める。
少しすると黒部が戻ってきた。
「移動するよう連絡が来ました。別館裁判所に移動しますよ。あと、花崎は手錠をはめてもらう」
手に手錠をはめた上で・・・腕〝も‘’縛られた。
そして、俺たち3人は取調室を後にしエレベーターに乗り込む。
ベビースモーカー3人が狭いエレベーターに乗ってるため、タバコが臭い。・・・臭すぎる。