喜べよ、クソ野郎!、俺は死んだぜ!①
俺は飛行機の中に入るなり、中の向かい合う式の豪華な座席に案内された。
飛行機は離陸し、耳の中が詰まったかのような感覚に襲われながら橘が話し始めるのを待っているのだが、、、
「・・・」
いつも適当にかつ大きな声でノリ良く喋る奴が喋らず、周りに無音が走ったためか俺の中には恐怖が高揚の代わりに少し恐怖が走っていた。
「どうしたんだ?」
俺が問いかけてみると、橘は重い口を少し開けながら、指で出口を指した。
「なんですか?」
「せっかくきてくれたところ言いにくいんだがな・・・2時間後お前には空を飛んでもらう。」
はぁ?、なにを言っているんだ?、この人は?
「どういうことですか?」
「まぁ、まず俺の話を聞け」
そう言って、橘は俺の前に一冊の日記帳を出した。
「"Tsuyu diary"って、花崎会の会長の日記ですか?」
「いや違う、被験実験体No.25"露"の残した日記だ。まぁ、ひとまず読んでみろ」
俺は1度目を通す。
最初は白紙だったが、途中から18ページほど書かれている。その最初の一文には"燃えた飛行機を俺が横から眺めるところから始まっていた"。ここにはここから起きうることが書かれているようであり、露雨会長、橘?、白濱、がいて、そこに"俺はいない"が誰かの目線で書かれていて途中で終わっている。それも誰かが死んで。そこからは最初と一緒で白紙だ。
「お前がみているページには何が書いてある?」
「これからどこかの会と会が衝突してその後は険悪になって、誰かが死ぬところが書いてあります。」
「・・・そうか」
なにか申し訳なさそうな顔をしながら、橘は下を向き、一瞬黙ってから、また同じように口を開いた。
「途中まで白紙が続いただろ?」
なんだいきなり、黙り込んだかと思ったら疑問で返してきた。
「まぁ、そうでしたけど」
また少し黙り込んでから、橘は深く息を吸う。
次の一言目は俺にとって、重大なことであることは確かだ。
「気を落とさないでくれよ・・・」
俺はその一言で、何か俺の身に何かが起きることがわかった。何か重大なことが、、、
「そこに書かれていることは、恐らく1つの物語のようになっていて、最後の持ち主が幸せな終わりもしくは不幸な最後を送るのだろうが、途中の部分は途中の目線の主にしか読めない。・・・つまり・・・そこに書かれていることは"ひとつの物語であり、またこれから自分自身に起きることだ"」
さっき見た、ページに書かれていることは俺の今後であった。
俺は、今後の自分がどのような道を辿るのかを知ってしまい、その上自分の死の時まで知ってしまった為、無駄に落胆してしまった。
・・・最初のページには俺に引き継がれていて、その上、このノートのページの自分のところの最後が自分の死なら・・・
「橘さん、貴方・・・」
「ごほっ、ごほっ、あぁー、俺もここまでか・・・」
橘は口、鼻から血を出し、目はとても充血していた。
「橘さん、もしかしてあなた、ここで死ぬんですか?」
「いや、俺は一筋縄で死ぬ男じゃねぇーよ、俺を舐めるなよ。ふっ・・・おい、お前ら今すぐ飛び降りる準備をしろ!」
何をするつもりだ?、別に普通に着陸をしてから全員で、降りればいいじゃないか?
・・・まさか!
「おい、機長どいてくれ!、おい、お前ら、機長と副機長にも渡してくれ!、それに海極にも!」
機長と橘が運転を代わり、副機長を退かし橘1人で飛行を続ける。
「何をする気だ?、橘!、まさかこの飛行機を落とす気か?」
後ろの俺の方を橘は一瞬向き、血だらけの顔で見たこともないほど醜くかつ嬉しそうな笑顔で俺を見る。
「勘違いすんな!、俺は真人会のとこには落とさねぇよ!」
「はぁー」
俺は安堵の息をつく。
「俺はなぁ、神部会の連中が待ってる行きの空港に飛行機を落としてやるんだよ!」
なんだと?、狂ったのか?、こんな危険を冒してまでこんなことをするなんて!
「お前ら!、今が合図したらそこの出口から飛び降りろ!、安心しろ高度は安全なところまで落してやるから」
橘は今にも限界を迎えそうなぐらい辛そうな顔で操縦を続ける。橘の手はもう動かぬほど硬直した上でものすごい震えていた。
「海極様、こちらへ」
機内の橘会の人達に案内されて奥に連れていかれ、パラシュート付きの気持ち程度の防護服、ヘルメット、護身用の拳銃を渡され、それ着るよう言われる。
着てみるとブカブカで本当にこれで大丈夫なのか心配になる。どころか、死を感じている。
「おい、お前ら、そろそろだ!」
俺たちは、出口に向かう。
飛行機の高度が一気に降下するのを感じ、飛び降りることを覚悟する。
「よし、今だ!」
次々と橘会の連中が飛び降りてゆく。
次々と降りてゆく中で橘は焦ったかのような顔で1人黙々と操縦を続けている。
「橘、ありがとう。またどこかで!」
「あぁ、またどこかでな。まぁ、最後に俺からも言いてぇことがある1度しか言わない」
その一言に焦りながらも俺は耳を一生懸命橘に傾ける。
「"その日記に書いてあることが最後、幸せなルートなのかは俺にも、お前にも正直関係ない、だが大事なのは今ノートを持っているお前がそれに従って、最後の持ち主が幸せになることを信じて、お前が逆らわない事だ。それひとつで未来が大きく変わってしまう危険性がある。俺の読みと研究が正しければ最後の持ち主はxxxだ"。わかったな?、Good luck!」
そうして、俺は広い空に向かって飛び降りた。




