ある晩に残した君へ
「早く乗りな!」
誰か分からない、人に呼ばれ俺は車に乗り込む。
『バタンっ』
「失礼なのは分かっていますが、お名前をお伺いしても?」
「あぁ、私?。私はCOM本部長の榊原氷子っていう者です。これから君と一緒になる事は多いだろうから。宜しく。」
「あぁ、宜しくお願いします。」
えっ、偉い人だった。しかも、俺の処遇決定会に参加できなかった人でもあったわ。
「大変だったね。黒部が大麻で連行されて、急遽ここで待つ事になってねぇ〜」
「でも何で、貴方のような偉い人が僕についてきてくれるんですか?」
よくよく考えるとそうだ。黒部がついてくるのは分かる。黒部に言わせれば忙しい仕事から逃げるためでもあるだろうが、仮にもなんとか俺についてきても黒部程度が限界だろうと思っていたが、ここまで偉い人が来るはずがない。
「まぁ、詳しい事は言えないけど。私に黒部から電話が来たときに、私はすぐに駆け付けるって言った事は確かだ。君に会いたくてね。」
「でも、ここで俺と会いたいってくらいじゃ来れなかったんじゃないですか?」
「君はイタい所をついて来るね」
やっぱりそうだ。黒部が忙しくて、それ以上に偉い人が忙しくない訳がない。
「で、今君は何歳なんだ?」
「今ですか?、34歳になる直前くらいです。」
「おぉ〜、まだ若いね。でも、大きくなったね〜」
なんで、俺の小さい頃を知っているような事を知っている言い方なんだ?
「俺が若いって、本部長も十分若そうじゃないですか」
「お世辞言っているのかい?。私はもう65歳だし、若くないよ。」
えぇ、見た目60代なのに30歳ぐらい若く見えるってどういう事?
「私が若いって、言いたいのかい?。何で、私が若く見えるかって言うとね、君のお父さんに教えてもらった事を実践しているからだよ。」
えぇ、俺の父を知っているのか?、なら教えて欲しい!
「俺の父の事知っているんですか?。なら少しで良いんで、お願いします教えて下さい。」
30過ぎのおっさんが父親知るためにお願いする。漫画とかにある親知らない小さな子みたいなことをおっさんがやる。••••なんとも言えない光景だ。
「マズい口が滑った。私が君の正体知ってるヨナコと言っちゃたじゃ〜ん。••••うん。申し訳ないんだけど、君のお父さんは30年前?のある夜に殺されたってことしか言えない。」
おかしい。俺は生まれた時から橘の親のところにいたのに、コレじゃあ、ちゃんと親といたってことじゃないか、何か橘も隠してるってことになる。
なぜか一瞬、黙り込んだ。
「ねぇ、」
この一言で、なぜか空気が凍りつき、日が登って明るくなった周りが暗く見えた。
「ここから私自身が今思ったことなんだけど、耳と目について教えてくれない?」
うわぁー、話すと長くなる。のと、ここでなんか変なこと言ったら、ぶん殴られそう。というか、ぶち殺されそう。
「目は難病にかかって開かなくなってたんですけど、今はなんとか薬で耐えてるのと、耳は15年前にヤクの乱用で聞こえなくなっちゃって・・・」
「なんでそんなのやっちゃうの?」
単純だからこそ、その一言が余計に怖く聞こえる。首を絞められてる、というか刀を喉元に突き付けられている様な感じだ。ずっしり空気が重い。えっ、コワッ。マジでコワイ。
「なんというか、露雨会立ち上げ前に色々悩んでいたことがあって・・・」
「そう。もうやめなさい。黒部みたいになるよ。」
恐いよー。また、一言コワイ言葉やめてくれ。せめて、長々しいことでもいいから一言恐いのやめてくれ。もう、30代がガチで空気で泣きそうなぐらいの殺気だった。
「・・・お父さんのことは私は結構知ってるけど、私は言えない。上に口止めされてるから。でも。時が来たら教えてあげる。」
その後は、色々な他愛もない話をしていき、進んで行った。
『ぶぅぅぅぅぅぅぅぅん』
まじでこの組織の車の音、少し可愛い。




