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《第2話》
「は?」
さっきまで喜んでばかりだった白上はいつの間にか真顔になりそう言い放った。
俺は真顔の白上の顔をまじまじと見る。そこにいたのは元気な好かれ男子ではなく、青白い顔で呆然と立ち尽くしている、まるで死人のような人だった。
「お、おい...違うって何が違うんだよ?」
俺がそう尋ねると白上は少し間が空いてから、そっと口を開く。
「..あ、赤い.、え、エメラルド...」
「赤いエメラルド?」
白上は震えながらもそう言う。彼の手元で輝いているネックレスの宝石はルビー...。
だが、おかしい。俺が持ってきたのはエメラルドであってルビーではない。
..そういうことか。
「アレキサンドライト...だろ?もしかして違うネックレスだったのか?」
実際、俺は実物のネックレスを見たことはない。そのせいでなんの宝石なのかわからない。
「…っ!!」
すると突然白上は森の奥に向かって走り出す。
「おい、ちょっと待てよ!!」
俺は彼のことが心配になり追いかける。あいつ…どこまで走る気だ?