《第1話》
「もう春か…」
青い髪に落ちてくる桜の花びらをそっと掴んでは足元に落とす。そんな無駄なことをしている俺は蒼井颯太。この春高校を卒業し駅近くのボロマンションで一人暮らしを始めたものの、することもなくぼーっと公園を歩きまわっている。
アルバイトもなかなか長続きしないし、面接もうまくいかない。起きて、続かないバイトに行って、ご飯食べて、寝る。この生活にもなれてきたもんだ。
俺は落ちてきそうなメガネをくいっと上げて、周りを見渡す。実はここに来たのはある1つの目的のために来たのだが…。やっときたか。俺は駆けてくるあいつに向かって手を軽く振る。
「ごめんごめん、彼女とさぁ〜...」
「自慢はいいから。」
俺は彼...白上悠真にそう告げる。白上は高校からの唯一の友達で常に彼女がいる恋愛主義の好かれ男子だ。俺は、ネックレスをなくしてしまって探してほしい…と頼まれ、単なるお手伝い係として呼ばれたのだ。
「お前、今回の彼女ももうすぐ別れるんだろ?」
「いやいやいや!今回は本気の本気っすからぁぁ!!」
俺が呆れ顔で言うと、白上は怒ったように大声を出す。はぁ、こいつはいつまでたっても子供だな。あ、俺も子供か。
「んで、ここなんだよな、落とした場所は。」
「もち!!多分。」
「多分かよ!!」
俺がそう尋ねると彼は目をらせながらそう告げる。とりあえず俺は周りを見渡しながら噂のネックレスを探し始める。
──────
「ほんとにあるのか...?」
さっきから見つかるのは枯れ葉にゴミにビールの缶。俺は諦め半分、近くにあった木の枝でお絵描きを始める。
「探しものはこれかな、少年?」
諦め始めて数分、俺はある人に話しかけられた。見上げると、背の高いスーンに身を包んだ女性がいた。俺は彼女の手に現有されている、緑色に輝くネックレスを見ながら「はい」
と答え立ち上がる。
「ありがとうございます。なんでわかったんですか?」
「そこの少年があまりにも大声を出して、ネックレスを見つけてくださいって言っているものでね」
彼女は俺にほほえみながら、俺の手にネックレスを置く。少しばかり怖い人かと思ったが、意外といい人だ。けどあいつ、周つの人にまで迷惑を掛けるとは...。
俺はため息を一度つき、彼女に礼をしてから白上の所へと小走りで向かう。怒りも含めて。
「じゃあね、颯太少年」
──────
「白上一」
そう声をかけると落とし物所にいる彼は振り返り、俺が持っているネック
は、笑顔になる。そんな笑顔を見ながら俺は駆け寄る。
「これ、見つかった」
「よかったぁ…よかったぁぁ!!ほんっとーあんがと!」
俺がネックレスを手渡すとまるで彼女のように抱きしめる。見つけるのも大変だっけど
まぁ喜んでくれたなら良しとするk…。
「違う。」
見上げるとさっきとは別人の白上がたっていた