ー鉄は熱いうちに編ー
第三弾サクっと読めるシリーズです。
全2回です。
今日と明日に掛けてアップします。
夕暮れの食卓にて、テーブルの上には色とりどりのおかずが並ぶ、ご飯の入った茶碗を受け取りながら、茶碗を差し出した女に男がしゃべる。
K介「最近マジで元気ないみたい、O原さん」
U木母「O原くんって、奈津の彼氏?そういえば最近見ないわね」
気にしていないそぶりを見せつつ、U木母が着座するまで黙って待っているU木父。
U木父「…。」
K介「姉ちゃん極端だからなぁ…何か変なこと言ったんだと思うんだけど」
茶碗を片手に左手に持ち、右手の人差し指をあごに当て、首を少し左に傾け思案しながら、座席に向かいつつU木母が話す。
U木母「…あの子なら何かしそうだわね確かに、今度探りを入れてみようかしら」
U木父「…。」
~あくる日の夕方の学校~
U木父は空手の指導のために部室に向かっていると何処からか、鼻歌が聞こえる。
「♪〜」
U木父にとっては懐かしいメロディーの鼻歌だった。
O原「♪〜」
校内に設置されているベンチでO原が夕日を見ながら、ボーっと鼻歌を歌っていたが、U木の視線を感じ、鼻歌を止め、挨拶をしてくる。
O原「♪〜…、どうも。」
U木父「ああ。」
O原「今日は空手の指導の日なんですか?」
U木父「ああ。」
O原「成る程…、じゃあK介君によろしくお伝えて下さい。」
立ち去ろうとするO原(元悪い虫)を呼び止めようと取っ掛かりの言葉を探し、気になっていたことを話す。
U木父「…、あー…、なあ、その曲なんで知ってる?」
O原「曲?あー、鼻歌のですか?最近流行ってるんですよ。昔の曲のカバーなんですけど…」
U木父「…。」
U木父の表情から情報を探り、ひらめいた内容を質問する。
O原「?…、!?。原曲、聴かれてたんですか?」
U木父「ああ、昔、嫁とよく聴いてた。懐かしい…。」
少し気分を持ち直して、質問を投げかけるO原。
O原「へぇー、高校生の時っすか?」
U木父「どうだったかなぁ…、空手で全国行った時だから…高二の時かな?」
再度質問を投げかけるO原。
O原「へぇー、全国大会出たことあるんっすね。ちなみに何才から空手やってるんですか?」
U木父「えーっと…。」
誰かがU木を呼ぶ声がする。それに気付き、O原は話を切り上げようとする。
O原「!、すいません。話し込んでしまって。まだ話しをお聞きしたいんですがここまでですかね。」
O原のやや顎を下に傾け、唇をキュッとすぼめた表情を見て、U木は少し表情を緩め冗談混じりで提案する。
U木父「ああ…、…、よかったら、今度夜にでも、家に来ればいい。」
O原「いいんですか?ありがとうございます。是非、行きます。」
O原の返事を聞き、表情を真顔に戻し、別れを告げる。
U木父「そうか、…じゃあ。」
O原「失礼します。」
~その夜、U木家~
家に入りリビングの扉を開けて、そこでくつろぐ家族に帰宅を知らせる。
U木父「ただいま。」
U木母・K介「お帰り。」
O原「お邪魔してます。」
U木父「…。」
※U木父は昔、熊殺しというあだ名がありました。空手部での指導が真剣なため、恐れられています。
楽しんで頂けたら、幸いです。
この作品は別の作品のスピンオフです。
良ければそちらもご覧頂けば幸いです。
道 バターを宜しくお願いします。