一応、新しい〇〇先が決まりました
どうしよっかな。
でもさすがに即OKはないかなー。
「恵梨香ちゃん。今日から新しい子入るから宜しくね!面倒見てあげて。確か、恵梨香ちゃんと同じ学校の男の子みたいだから」
「はい! 任せてください店長。恵梨香、頑張ります!」
それにしても別のクラスの藤堂くん。
ルックスもセンスも人気も、まぁ普通に合格ライン。
ただ、この私、広瀬 恵梨香が3番目?
さすがにちょっとそれはナメすぎよね。
「なぁ、恵梨香。今度の休日空いてたりする? お前が好きそうな映画やってんじゃん。あれ一緒に見に行かね? 一緒に行こうって言ってた大学のツレがちょうどドタキャンしやがってよ。ったくよぉ」
「ごめんなさい!先輩。すっごく嬉しいんですけど今度の週末はどうしても外せないようがありましてー。本当にごめんなさい!」
「あー、そうなんだ。じゃあその次の休日とかは?」
「すみませーん。ちょっとまた確認してから連絡します」
はぁ.....。バイト先のこの人
大学生だからって、いっつも上から目線で誘ってくるけど。
しつこいのよ。一回断ったらさっさと引いてよ。
てか、いい加減に脈なしなのわかってよ。
まずあんたにお前って言われる筋合いないっての。
ルックスも中。まずその金髪似合ってない。
「おい、恵梨香。大丈夫だったか。あいつしつけぇだろ。何かあったらマジで俺に言えよ。絶対守ってやっからな」
「い、いや大丈夫だよ。とりあえずありがとう。気持ちだけもらっとくね!」
「おう!マジで何かあったら言えよ。お前って何か無理してる感じあるからさ」
いや、隣町の高校のこいつ.....
あんたもしつこいのよ。その俺はわかっている男ですって感じやめて......。
何もわかってないから。
特に彼氏でもない男からの頭ポンポン、それほんと最悪なやつだから......
この前も最近彼女と別れた話とかをさりげなくしてきたけど、誰も聞いてないから。そもそもあんたはいつもイケメンぶっているけど、まごうごとなき雰囲気イケメンだから。とにかく私の頭を二度と触るな。
ほんと私が可愛いすぎるのも悪いんだろうけど。
学校でもバイトでも迫られて迫られて大変よね。
それも全然ビビっと来ない奴等から。
ここは条件もすごく良いし、融通もかなり効くから気に入ってはいたんだけど、そろそろ他の所を探すのもありね。
でも、藤堂蓮也。
彼に久しぶりにビビっと来たのは事実ね。
あの男もしつこかったし、ちょっとチャラすぎるところはあるけれど、まぁそれが許されるだけのルックスはしているしね。
私と同じで異性からはめちゃくちゃモテる男みたいだし。
それに一番大きな理由としては、以前に私のライバルとも呼べる大塚と付き合っている姿を見た時は正直言うと妬けた。
大塚に妬けた。
彼といるときの彼女は本当に楽しそうだったから。
女としては負けたと思ったことはないけど、あの彼女の表情を見た時は正直めちゃくちゃに悔しさを感じてしまった記憶がある。
なんで全然良い男が現れてくれない私の裏であんたはそんなに幸せそうにイケてる彼氏とイチャイチャしてんのよってね。
だからやっぱり彼に告白された時にビビっと来たのは来たんだけれど
ちょっと色々と思ってしまうところがあるのよねー。
『恵梨香。華怜よりもやっぱりお前の方が良い女だ。だから俺と付き合ってくれ。お前と一緒になりたくてあいつとは別れてきた。な、俺の女になれ』
華怜よりもやっぱりお前の方が良い女......
まぁ、それは間違っていない。そこに関しては見る目がある。
ただ、何であんなにラブラブだった華怜と別れることになったの?
クラスも違うし、最近の彼の様子とかも全然わからないんだけど、あの状況からそんなに急に別の女に乗り換える?
一体何があった?
それに、私は知っている。
彼があろうことか、私の前にこれまた私のライバルにふさわしいあの西園寺さんに告白をして振られていたことを......。
この私が3番.......。
ほんと、その点はマジでありえない。
私もバカじゃない。
彼の方が大塚にフラれたってことはもう大体わかる。
ただ、このまま彼を逃すのももったいない気はする。
どうしてもあの時の大塚の幸せそうな顔が頭をよぎるから.......。
もしかして、ちょっとした喧嘩でプチッとなってふっちゃったとか?
まぁ保留かな。様子見ね。
でも、大塚が彼と寄りを戻したくなった時にもう彼の隣には私......
それはそれでアリね。
うん、アリ。
まぁ、それも含めて結局は保留。
全ては今後の彼しだいね。
って、そういえば店長。さっき私と同じ学校の子が新しく入ってくるって言ってたわよね。
え? 誰? イケメン?
イケメンなら例えば誰だろ......。
ちょっとテンションあがるかも!
って........
「ほら、恵梨香ちゃん。この子がさっき言ってた新しい子。多分、学年も一緒なんじゃないか? まぁ宜しくしてあげてね!」
「初めまして。風間です。本日から宜しくお願いします」
こ、これはない.....。
うん。ないな。なにこの超普通な奴.......。
それに同じ学校? 見たことないんだけど......。
「はい!恵梨香です! もちろんこちらこそ宜しくです! ふふ、これから一緒に頑張りましょうね!」
まぁ、一応仕事だから優しくしてあげるけど。
はぁ......。絶対にこの子も勘違いして私に惚れちゃうんだろうなぁ。
いかにも女の子慣れしてなさそう。ってか絶対にしてない。
とりあえず、都合が悪くなった時のシフトの交代要員としてキープしておいてあげる。
ほら、もうこのボディタッチで秒殺
どうせ顔が真っ赤になって目の焦点がおかしくなっちゃうんでしょ?
って......
な、なによ.....。見た目に似合わないその上手な作り笑いは。
や、やけに余裕な感じを見せてくれるわね。
「はい。頑張ります。お世話になります」