表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/105

実は俺、一級品の回し蹴りを受けていました?


 くっ、別に何もない。何もないはずだ。

 そこに関してはやっぱり大丈夫なはず。


 「ん? どうしたの? そうちゃん。そんなにゼェゼェと息を切らして」

 「え、あぁ環奈か。まぁちょっとな」


 久しぶりに全速力で走った。

 別に追いかけてきたわけではないからそこまでする必要もなかったんだけど、つい教室まで全速力でな.......


 とりあえず、目の前には至近距離から無邪気な表情で俺の顔を覗き込んでくる環奈。


 まぁ、紗弥加に気持ち悪い奴だと思われたのは確実だろうがもうそこは仕方がない。

 少し寂しい気もするが、おそらく彼女と関わることももうないだろうしな......。


 「もしかして......」


 あ? どうした環奈。急にそんな青ざめた顔して?


 「あ、あの時の蹴りがやっぱりまだ.....」

 

 ん?


 「け、蹴り?」


 よくわからないが目の前の環奈があわあわとしている。


 「う、うん。何度も言うけど、本当にあの時はごめんそうちゃん。あの時は私もちょっとさ。こ、心の準備ができてなくてさ。べ、別にわかると思うけど。そうちゃんが嫌いとかでは全くないんだよ。でもあの時はちょっとさすがに驚いて身体が勝手にと言うかさ」


 そして今度は何故かモジモジと.......


 は?

 気が付けば俺のこめかみを優しく撫でてくる環奈。


 「もしかして蹴りって、この位置ってことは、ま、回し蹴り......とか?」

 「うん。あ、あの時は本当にごめんね。でも颯ちゃんも悪いんだよ。い、いきなりあんなエッチな顔でさ.......」


 目の前にはさらにそう言ってモジモジとしている環奈。


 「は? え? エッチな顔!?」


 もちろん回し蹴りもそうだけど、エ、エッチな顔って、え? どういうこと!?


 「そうだよ......。覚えてないの? そうちゃんが不登校になってすぐの時さ。心配だからすぐにそうちゃんの家にお見舞いに行ったじゃん。そしたらそうちゃん。いきなりらしくもなくエッチな顔で私のこと押し倒してこようとしたからつい驚いて反射的に......」


 は? お、押し倒し......

 環奈を!?


 それに今、不登校になってからって言ったよな......


 あ、あの野郎........

 マジか.......


 「でも本当に良かったよ。あの後さ。ちゃんと謝りたくてそうちゃんの家に何回も行ったけど全く出て来てきてくれなくなったから私、そうちゃんに完全に嫌われちゃったと思ってたんだよ。だから本当に今こうして以前と同じようにそうちゃんとお話しできることがすっごく嬉しい!学校にも来てくれたし。だから本当にごめんね。大丈夫?」

 「あ、あぁ......」


 そう言えば、元に戻って学校にまた通い始めた当初、しきりに環奈に謝られた気がしなくもない。というか謝られてたな......。

 意味がよく分からなかったし環奈の事だから大したことじゃないと思って適当にうんうん言ってたけど........


 そ、そんなことが.......


 というか、あいつ.......

 環奈のあの回し蹴りを喰らったのか.......

 よ、よく生きてたな。というかよく無事だったな俺の身体。

 

 っていうか、マ、マジでふざけんなよ。あいつ。

 俺の身体で何してくれてんだよ。おい


 か、環奈はこんなふわふわとした癒し系の雰囲気だし、普段は超温厚だけど、中学の選手権でも優勝をするぐらいの、バ、バリバリの空手少女だぞ.......

 それに今だって高校に入ってからも現役の......

 確か去年も何かの大きな大会で.......

 もう可愛い顔して超バリバリの天才空手少女........


 おそ、恐れしらずもいいところだろうが。

 何かその事実をしったら急にこめかみが痛くなってきた気が.......

 身体も心なしか震えて.....


 「そ、そうちゃん.....。わ、私も女の子だしさ。やっぱり順序があるよね。そういうの。じ、順序さえ守ってくれたら私は全然(そう)ちゃんならさ.......ね。もう心の準備はできてるよ.......。うん。できてる......」


 え? あ、あいつちゃんと病院行った?

 何度か試合を見に行ったことがあるから知っているけれど

 ほ、本当に俺はあの環奈の強烈な回し蹴りをこの身体に.......?


 「ちょ、そ、そうちゃん。き、聞いてる!? い、今、かなり重要な話をしているよ。私。ねぇそうちゃん。き、聞いてる? 」


 こ、こういうのって意外にくらって時間が経ってから身体に来る場合もあるって聞くし......

 でも、話を聞く限りではもう5.6か月前の出来事みたいだし、それに今、実際にこめかみが痛むかと言われれば痛みは.....ない。

 ない.....はず。その時に痛覚が麻痺と化していない限りは.......。


 「もう! そうちゃん! 聞いて! 聞きなさい!」


 真剣に....だ、大丈夫だよな。


 俺の身体.......


 「そ、そうちゃんのバカ!!!」


 ん?

 

 あれ? 何であいつ走っていった?

 環奈?


 ん?


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 地の文ではこんなに吃らなくてもいいのでは?
[良い点] ストーリーも面白いし幼馴染ちゃんも可愛い! [気になる点] 読点多すぎて読みにくい
[気になる点] こういう設定は凄く面白いです。 でも物語を成立させる為に主人公を鈍感系にしちゃうと、どうしても馬鹿っぽく見えてしまい残念です。 でもこれからの展開がどうなるのか楽しみです。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ