大塚華怜はライバル?のおかげでさらに彼のことを知ります
ちょっと何?
今から屋上に来い? 一体何を考えているのよ蓮也は......
少なくとも今のままのあなたなら、何を言われても私にもうその気は一切ないわよ。
「あれれ? 大塚さんだー」
って、げっ.....。また出た。
超絶あざと女。広瀬恵梨香。
また何でこんな廊下で.......
今日は何?
「ねぇねぇ、大塚さんが蓮也くんと別れたって本当なのー? あんなに二人ともお似合いのカップルだったのに急に別れたとか聞いて。恵梨香ちょービックリしちゃって」
「ま、まぁ本当かな」
くっ.......何よ。その仕草とその甘ったるい声
別にいいけど。別にいいけど白々しいわね。
「やっぱりそうなんだー。なんかー。実は最近、恵梨香も蓮也くんから告られちゃって。もし別れてなかったらそれはそれで申し訳ないなーって」
ほ、本当にいつもいつもこの女は......。
何で私にそうつっかかってくるの?
正直、苦手。苦手中の苦手
「ねぇ、実際のところ。恵梨香、どうしたらいいかな。蓮也くんのこと。今もちょうどまた屋上に呼ばれちゃってー」
「あ、どうぞ。私もう関係ないので」
「え?」
ん?
って、ぷっ、何その顔。
「いや、どうぞ。普通にあいつとは別れたので」
「そ、そうなんだー。やっぱりそうなんだー」
ふふ、私が悔しそうな顔でもすると思った?
残念ながらない。うん。今のあいつにはそんな感情は湧かない。
それにしても面白い。超絶あざと女が 豆鉄砲を食らった鳩の様な顔をして......
「颯ちゃん! どうしたの? 大丈夫?」
「あ、あぁ大丈夫。ちょっとお腹が。トイレ行ってくる」
って、また風間.......。
本当に春風さんと仲が良いな。
「い、いや来ないでいい。来ないでください。環奈」
「もう颯ちゃんったら遠慮しちゃって!」
「いや、ちょ、本当に」
私の目には教室を出てお手洗いのある方向へと走っていく風間颯太と
それを追いかけようとする春風さんの姿。
「あっ、あの子。昨日の......。大塚さんと同じクラスだったんだ」
ん? 彼のことを知ってるの?
意外ね
「知ってるの?」
「ん? あぁ、昨日から私のバイト先で働いてる」
あれ? 声の高さがちょっと低く?
しかも一人称が私......。
素に戻っている。
まぁ、どう見ても彼は彼女が興味のありそうな男ではなさそうだしね。
でも珍しいな。彼女がこんな感じで素になるの。
「ちなみに広瀬さんってどこでバイトしているんだったっけ?」
「え? あぁ....駅ま、駅前のファミレスでバイトしてるよー! え? もしかして興味ある? もしアレだったら恵梨香、大塚さんのこと店長に紹介してあげようか? 入るんだったら恵梨香がたっぷりとシゴ、いや色々と手取り足取り教えてあげるよー」
あ、元に戻った。
あと今この娘、シゴいてあげるって言おうとした? したよね。
「いや、大丈夫大丈夫。私もう違う場所で普通にバイトしてるし。ちょっと気になっただけ。せっかくだけどごめんね」
でも.......彼がファミレス?
正直言って、ファミレスでバイトをするようなタイプではないよね。
ま、ますます怪しいわね......これ。
「えー、ざんねーん」
でも、そうか駅前のあのファミレスで......。
「あー、恵梨香。もう行かなきゃ蓮也くんが待ってるから。ごめんね。ふふっ、また今度ゆっくりお話ししましょーね」
「うん。また今度。バイバイ―」
いや、正直もう勘弁。
疲れる。あんたと話すの超疲れるから......。
あれ? そう言えば、彼女も蓮也に屋上に呼び出されてるって言ってたな。
ん、じゃあ私はいいや。
何か面倒くさそうだしね。