上から読んでも下から読んでも今日の狂気
俺はバーサーカーだ。
そう、とっても強いバーサーカーだ。
...今日も人目につかない森の中で夜を明かさんとしている。
........ん?
「本当に人殺しのバーサーカーなんてのがいるのかねえ?」
「いなきゃああんな大金かけられるわけねえだろ!?それに今日また懸賞金がハネ上がったんだ。誰にも首は取らせねえよ!」
金目当てで俺を殺しに来る客。慣れてないといえば嘘にはなるが、これにはまあまあの問題がある。
「ええ...寝られないじゃん。」
不満が小爆発し、ついつい言葉を吐いてしまう。人と喋る機会がない環境がもたらした弊害でもあるが。
流石の俺も最強カッコイイバーサーカーではあるが、寝首を掻かれてはぐうの音も出すことができない。
しょうがない。
ふぅっとため息、木に掛けてある細長い剣を取る。
幼少期からずぅっと一緒の相棒だ(盗難品)。
相棒を雑に引きずり背後からターゲット目指しゆっくり歩く。
暗い森の中、ゆらりとさまよいターゲットに向かう。今の彼の姿は人間性を捨てた、まさしくバーサーカーであった。
いや、案外アイツら歩くスピードはええな...
少し早歩きに変えた。
ウォォォォッッ!!!!
近づいたところで叫び、飛び掛かる。
静寂が包む夜の森の中、松明を持った人間が一人生涯を終えた。
「え?」
もう一人の男は突然の血しぶきに現状を把握できていない。
振りかぶる。切る。
「..........」
馬鹿か...叫んじゃったよ......
他にもいたら厄介だな、うーん。
己の痴態はともかく、今はその場を離れることにした。
これも日常的なことである。人を殺すのにはもう慣れた。
大木の陰に剣をかけ、隣に座り就寝に移る。
「今日も頑張った。おやすみなさい――」
いつものように自分を褒め、疲れを取る。
「ねえ...。」
!!!!!!
バチンと目を覚まし剣を手に、声主との距離を取る。
我ながら素早い。
いや、そんなこと考えている場合ではない。
「あ、ごめんごめん。驚かせちゃった?」
目の前にいたのは女性。装備を見るなり俺を殺しに来たとわかる。
「ええと、あなたがバーサーカー...さん?」
!?
バーサーカー歴史上初の質問に戸惑う。
「ち、ち...ちがいます.....」
どもったあ...
女の子と話すなんていつぶりだよ...
し、しかしまあ誤魔化せそうではある。もういい加減寝たい。騒ぎは起こしたくない。
「そっかあ、そんなとこで寝ると危ないよ?」
「あ、あと変な質問してごめんね。えー、あなた本当に呪われているの?言語も問題ないみたいだし。」
「は?」
「いやいや、さっき二人殺してるの見てたし。」
「う....いや.......」
バレテタ。
「あなた普通の人間じゃない。伝承では『見境もなく人を殺す呪われし獣』なーんて騒がれてるけど。」
「なあんだ、あなたバーサーカーでもなんでもなかったのね。」
「やめろ....。」
ヤメテクレ。
「しかしよく人間を殺せるわね。これじゃあただのさつじ――――」
「フゥッ......フゥッ.......。」
既に彼女の首はなかった。
涙目のバーサーカーは目の前の生き物が許せなかったのだ。
俺はバーサーカーだ。
もう後戻りなんてできない。
だって...
だってバーサーカーってカッコイイじゃん...
脳死で書きますた。多分続かん。