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クリスタル

作者: ハル

人生はいくつもの選択肢を強いられる。

その数1日10000回。

その中でこの出会いを、運命と呼べるのであれば、

「やっぱこの、バナナメロンソーダは不味かった。」

見た目もネーミングもサイアクな飲料を買ったこいつもどうかと思う。

パッケージに『挑戦者求む』って、食べ物に付けるセリフじゃねえよ。

「そもそも庶民のもんと金持ちのもんを合わせんなよな。んで、それをまとめるのがソーダって、、まとめきれてねぇから。」


不味すぎて笑うしかないのか、この状況を楽しんでいるのか、(あきら)はヘラヘラしている。

そして不味い不味いと言いながら、ストローを口から外さない。飄々としていつでも楽しそう。

いつもそうだ。文句を言いながらも結局は全部飲む。


結局は面倒事も何もかもを引っくるめて自分のものにしてしまうのが晶だ。


学校の帰り道、コンビニに寄り道。新発売の商品が並ぶ曜日を俺たちは確認している。と言っても俺は一回も新がつくものを買ったことがない。新しいものを試す勇気がない、金もない。ただ晶に付き合って来ているだけだ。


(ゆい)も、飲めよ。これはここ最近ではトップだぞ。」

「不味さのトップは要らない。それにお前、ストロー噛みすぎ。そんなんじゃ飲めねぇじゃん。」

「ん、おお、無意識だったわ。」

ズゴゴゴ、、、

晶は紙パックを逆さにして最後まで飲み切った。


「来週も楽しみだなー。」

紙パックをどうやったらそんなに小さくなるんだ?と思うほどコンパクトにしてポケットに突っ込みながら晶は言った。


「先週のポテチは美味かったよな。」

「ああ、ミルキー丹波牛味のやつな。意外とイケたよな。やっぱり牛同士だから相性が良かったんだ。」

「相性って、そんなの考えながら食べる奴いないだろ。」

「いやー相性大事だぜ。今日のは貧乏人と金持ちがケンカしていたな、あれじゃあ美味しくない。」


晶特有の変な理論。

それに、相性、相性言う割になんで俺なんかとつるんでいるのか全く分からない。

クラスでも派手目なグループの晶と、ど底辺のボッチの俺。

どう考えたって、相性悪いだろ。


でも、俺はこの図々しいようで適度な距離を保ってくれる晶と一緒にいると楽しい。晶はどう思っているのか知らんが。


「相性って大事だぞ。現に俺がお前に声かけたのも相性絶対良いって思ったからだもん。」

そう言ってニカッと笑う晶。この話は初耳だ。


「え、なんで、声かけたん?」

少し戸惑ってしまう。声が裏返った。


「えー、だって『結』と『晶』だぞ。結晶ってことじゃん。もうぜってー相性良い決まってんじゃんか。」

まるで世紀の大発見をしたかのように目を輝かせながら晶が言った。


聞いて俺が思ったことは二つ。

一つ目は、コイツ存外バカじゃ無かったんだ、漢字知ってるんだってこと

二つ目は、自分の名前に感謝したこと

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