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世界を救った勇者の話

作者: 緑葉 遊

昔、勇者と呼ばれた顔に傷がある男は仕事の支度を終え、玄関に向かうとそこには昔、魔王と呼ばれ今は男が愛する女性とその間にできた息子と娘がいた。


「それじゃ行って来るよ」


「いってらっしゃい、あなた」


「がんばってねーお父さん」


「いってきます」


日常的な会話を交わし昔、勇者と呼ばれた男、リスティアは職場である魔法学校に向かう。



「リスティア先生おはようございます、授業で分からないところがあったので教えてくれませんか?」


「ああ、良いよ」


魔法学校の教師である男、リスティアは生徒から疑問に答える。

リスティアは生徒から人気のある教師だった。理由としては授業がおもしろいことや、どんな質問でもしっかりと答えるなどなど様々な理由がある。初めて会う生徒からは顔のきずのせいで距離を置かれてしまうが、リスティアも人柄を知るとすぐにそんなこと気にせず接してくるようになる。


「それじゃ、今日は黒魔法について話そう、みんなも知っての通り黒魔法は非常に強力だが燃費の悪さで知られている。しかし、これはただの弱点ではない・・・」


リスティアの授業は必修科目でもないのにとっている人がとても多い。

それほどリスティアの授業は内容が濃く有意義なものだった。

今回の授業も多くの生徒が参加した、中には何人か先生もいたようだった。

午前の授業を終え昼ごはんをとる為職員室に戻っている最中、リスティアは本来ここにいるはずのない人にあった。


「良かった間に合ったみたいね」


「ユシア、どうしてここに?」


リスティアの妻であり元魔王だった、ユシアが安堵を浮かべた様子で廊下に立っていた。

通り過ぎる生徒の中にはユシアを二度見するものも何人かいた。それほどユシアに美貌はこの場では際立っていた。

しかし、当の本人はそんな軒にした様子もないようだ。


「だってあなたお弁当忘れたでしょ、ハイこれ」


「ほんとうだ俺の弁当だ、ありがとうユシア」


ユシアからうけっとたのは普段リスティアが使っている弁当箱だった。

どうやら家に忘れていたらしい。リスティアが弁当を受け取るとユシアが「気をつけてね」と言い残し帰っていった。


「先生!だれですかあの綺麗な人!」


ユシアがいなくなると近くにいた生徒がリスティアの元に言い寄ってきた。


「誰って、奥さんだけど…」


「えぇぇぇぇぇ、先生結婚していたんですかーーーーしかもあんな綺麗な人とーーー」


生徒の声によって周りの生徒も興味を持ち始めた。


「え?なになにリスティア先生の奥さんそんなに綺麗なの?」


「さっき見たけど凄い綺麗だったよ」


多くの生徒がリスティアの元に集まってきた。

生徒一人一人を相手しているうちにリスティアの昼休みは潰れていった。



仕事を終え、リスティアは帰路についてた。

周りはすっかり暗くなり空を見ると星と月が姿を現していた。

この世界から勇者と魔王がいなくなってからもう十年が経っていた。

勇者は魔王と相打ちになり自らの命と引き換えに世界に平和取り戻した。

と、表向きには言われているが実際はこの通り、勇者リスティアと魔王ユシアは結婚し息子のクロークと娘のユユの四人で暮らしている。

血なまぐさい日々から一転、倒すべき相手とともに過ごす穏やかな日々を送っている。


「ただいまー」


「おかえりなさい、あなた」


「お父さん聞いてよ今日ね…」


「お父さんお父さん私の話も聞いて」


家に着くと家族が暖かく出迎えてくれる。

その光景にリスティアは思う、


あぁこれが俺の守った平和なんだな、と。


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― 新着の感想 ―
[良い点] この牧歌的な生活の描写が魅力的でした。 [気になる点] もっと波風の立つシーンが欲しかったところです。 [一言] ユシアは実は復讐をたくらんでいたり……という設定があったら僕の好みに合いま…
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