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ルシファーさまはお怒りDEATH!  作者: 肉球は正義
1/1

1にゃ

夢は痛快お猫さまバトルを書くこと。

「んー、DVDは一通り観た」

黒猫姿のルシファーは、猫らしく伸びをした後これまた猫らしく欠伸をしてパソコンの電源が落ちるのを見届ける。

「というか何度も観たせいでやや疲れたが…」

ルシファーは眼の奥に怒りを宿し、魔王と呼ばれるに値する笑みを浮かべる。

「運動をしにゆこう♪我が名を語るような雑魚共を狩りにゆこう♪」

弾むような声だが眼は決して笑っていない。ルシファーは肉球でぽんぽんと地面を叩く。黒い光がゆっくりと魔法陣を描き出す。

「ゼブ。供をするか?」

「もちろんです、我が王」

うやうやしく頭を垂れるゼブと呼ばれた人物。魔法陣の中に足を踏み入れ、ルシファーの前に跪く。

「ん」

ゼブの肩に飛び乗り、ルシファーは転移魔法陣の力を発動させた。



輝く太陽。耳心地の良い人々の話し声。色彩豊かな街並み。

随分と久しい太陽の光に目を細めてルシファーは欠伸する。

「王、ここはどちらの土地なのですか?」

「暖かい、どこか、だな」

名を語る雑魚のいる場へ、としか願わんでな。と付け足してルシファーはヒゲを揺らす風に瞼を閉じた。


「では、気配のする方へ向かえばよろしいのですか?」

「ああ。頼む」

ゼブの肩を尻尾で軽く叩き、ルシファーは笑う。

1匹と1人の会話はテレパシーで行われている。喉を鳴らす黒猫と、微笑む青年。誰も悪魔とは気付かないだろうほどに自然体だった。


やや入り組んだ路地。ふと目に留まる影やまとわりつこうとするモノを無視して、1匹と1人は進む。

小綺麗な教会。賑わう市場。趣きのある墓地。帰りを急ぐ人波。陽が沈むまでルシファーの散歩は続いた。


「ふむ、やはりこの辺りは支配している者が居らぬようだな」

ルシファーは教会の屋根に座り、毛繕いを始める。猫たる姿のものの嗜みである。

「陸と海の近い場所は、支配域の境界が曖昧になりがちです。そのせいかと」

ルシファーの隣に腰を下ろしながら、ゼブが返す。


「だろうな。しかし、だ」

顔を洗いながらルシファーは続ける。

「人間という、肉の器と結界を手に入れたからといって、取り憑いているのがバレるようなモノは雑魚だ」


天使の啓示があるわけでもない現代。

ただの人間である以上、悪魔の存在に気付くことは容易ではない。

どんなに神を信じ、ひたむきに誠実に生きていても、力を失った人間には天使も悪魔も干渉しても気付かれない。

それがエクソシストと呼ばれる存在であってもだ。


人間は、神の言いつけを破り知恵の実を口にした時から、天使の言葉や悪魔の姿を見聞きする力を失った。

時折、失った力を取り戻す人間もいるが、それには何かしらの加護が必要だ。

だが、この地には力を取り戻した人間はいない。悪魔を払えるはずがない。


「まぁ、ダラ長い聖書にはアレ(神)の加護が付いているゆえ、多少なりの対抗手段にはなるが」

毛繕いを終えたルシファーはため息を吐きながら、屋根に掲げられた十字架を見つめる。

「弱い加護で払える小物が王の名を騙り、王御自身であると誤解されるとは…嘆かわしい….」

ゼブはこめかみを押さえ、ゆっくりと首を横に振った。

「よいさ。そやつらが我が暇を潰す」


宵風が頬を冷たく撫でる。

ルシファーは一度だけゆっくりと瞼を閉じ、見え始めた薄くぼやけた雲の向こうの太陽を、睨むように眼に映した。



夜が明け、鐘が鳴り、恐怖に震える人影が教会に集まりだす。

その様子を見下ろしながら、ゼブは眉間にしわを寄せた。

「おりますね…」

「あぁ。雑魚が、な」

にやにやと笑いながらルシファーは最初の獲物を見定める。だがその目が曇る。


神父の姿を捉えたからだ。

弱々しい加護と信仰。すがりたいだけの一時の思いが幾ら集まろうとも弱いものは弱いのだ。

「ああいう輩が、雑魚相手に怒鳴り散らして名を聞き出して真名でも何でもないものを拾って、取ってつけた聖書の文言でただ身体から追い出すだけで功労者扱いとは、人間は楽しそうだな」

我は氷漬けにされたままというのに。と呟いて、ルシファーは軽やかに屋根から飛び降りた。


教会の中では祈りの言葉が唱えられ、悪魔を払う準備が始まっていた。

数匹の雑魚がざわめき出す。

この程度でビビる輩がルシファー…。黒猫ルシファーは怒りに身体を震わせた。


そうして神父が雑魚の1匹と対峙を始めたタイミングで、ルシファーは教会内へと踏みいった。


にゃあん。


ゴロゴロと喉を鳴らす黒猫に、辺りは一瞬の沈黙に包まれたが、 飼い主らしき青年が苦笑と詫びの言葉を並べながら黒猫を抱き抱えると、張り詰めていた空気がほんのりと緩んだ。

が、黒猫は違った。圧倒的な力の違いを雑魚たちに知らしめていた。

人間では分からない、重く暗く強い魔力。

祈りの言葉で怯んでいた雑魚たちにが一斉に悲鳴を上げた。


神父は戸惑いなだめようとするが、弱々しくとも聖書を持ったままの神父に近付かれて雑魚たちの不安が爆発した。


【誰だ!誰だ!誰だ!誰だ!誰だ!誰だ!】

【出て行け!私の前から消え失せろ!】

【この身体は渡さない!わたしはもっとも強き者!】

【おののけ!戦慄しろ!名の亡き者!】

『ほぉん?それが本性か?で?雑魚ども名を名乗ってみよ』


人間とは思えない声が響き渡り、黒猫の楽しそうな鳴き声が続く。


【名、だと?】

【言うはずがない】

【あの神父に聞かれれば払われ、器を奪われる】

【わたしは名を明かされようが人間なぞ敵ではない】

『ルシファーだのサタンだの言うのではなかろうな?』


にゃ?と愛らしく鳴いて首を傾げる黒猫。

雑魚がどよめいた。

『当たりかー。もしかしたら殊勝な輩が1匹くらいはいるやもと思ったが…』

「異常事態ですね。王の名を語る不届き者が、この場にいる全てのものとは」

ゼブの冷めた視線が老婆の中に隠れる雑魚を射抜く。

その雑魚はパクパクと口を動かしたのち、泡を吹いて倒れた。

感じたことのない威圧感に負けたのだろう。

ゼブは黒猫を素早く優しく降ろし、首を痛めんばかりの勢いで頭を下げた。

「王っ申し訳ありません!王の楽しみを奪うような真似を!」

『気を失っただけだ。回収しておけば怒らぬ』

ぽんぽんと肉球でゼブの頭を叩き、黒猫は許す。王たる者、この程度は怒らないのだ。


『さあて、不届き者どもに制裁を!ついでに使えぬ神父には説教を!雑魚ども!泣き叫べ!我こそがコキュートスに眠れる魔王!ルシファーである!』


黒猫の高らかな遠吠え。教会内の狭さで反響しすぎて雑魚の耳はキンキンと痛んだ。しかし、そんなことよりも。

【コキュートスに眠れる?】

【はっ、はは!嘘つきめ!】

【肉体無きわたしにコキュートスなど恐るるにあらず!】

【お前のようなものが魔王であるはずがない!俺こそが!


1つ。首が飛んだ。器の中にいたにも関わらず、雑魚1匹の首が転がる。

『そら、ルシファーかサタンを名乗るのならば反撃しろ』

また1つ。今度は頭から真っ二つにされた。


「何だ!何なのですかこれは?!神よっ、これは試練なのですか!?」

混乱した神父に、ゼブは飾られた十字架を指差して笑う。

「ここ、神どころか天使の加護すらありませんよ?」

神父は驚きと怒りでゼブを振り返ったが、そこには誰も、何もなかった。

祈りに来ていたはずの人々。黒猫と青年。そして、有ったはずの慎ましやかな教会は、朽ち果てていた。



「王。残りはどうなさるのですか?」

「無論、オモチャに入れて奴らの仲間入りだ♪」

ゼブの肩で尻尾を小刻みに動かし、ルシファーは笑う。楽しそうなルシファーの姿を見てゼブは心底嬉しそうに目を細める。

「それはようございますね。彼らだけでは王の相手は務まりません」

「ま、奴らより脆いゆえ、すぐに壊れてしまうだろうがな」

そうなればまた狩りにゆくぞ♪とルシファーはゼブの顔に頬を擦り付ける。

「その時は、また供をするか?」

「もちろんです!」

即答するゼブの姿に、ルシファーは喉を鳴らして応えるのだった。

ごちゃごちゃしすぎた。

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