無表情系幼馴染みがTSして無表情系クーデレになって友人のイケメンっぷりに悶えるというネタがあってだな……
旧友が奇病『突発性転換病』に罹患したと聞いたのはおよそ三ヶ月前とも思う。旧友は名を槍先宗右衛門忠博。没落士族の家の次期当主なり。なぜそれを思ったか、目の前にいる女子がその旧友なるからゆえ。元は当方に比して背は劣らなかったはずのそれは一回り小さく有り。しかして肢体のうち足の長さは寸毛とも変わらずと彼はのたまえり。元より優れたるその顔、さらに優れて在る。一言に表すならば、あまりに整うそれをこの手で乱れ染めて遣らんと思うに至るほど、と。惜しむらくは彼はこの体になりても表情乏しきか。元より乏しきその表情にて益逃すを端より見て、もどかしく思うこと数えきれず。
ふと気がつけば旧友を押し倒している我在り。そのままに褥を共にしたるを、心離れて見下ろす。己が浅ましさを見せつけらるは苦行を通り過ぎて地獄の責め苦なり。
事終えて心戻る。あわてて取り繕わんとするのを制して彼は云う。
『貴様の事は悪からず。然るに責を問う。この悪しき身と添い遂ぐる覚悟、如何。』
反らされた彼の顔の朱に染まるをみつ、彼の心の広さを思い知る。
『間違いたまうな、貴様の善きにあらず、次期当主空位を避けるがゆえなる。』
とも付け足す、愛らしさ。我が方も顔を会わせられぬほど朱に染まるを感じて思わず目をそらす。
なお、題名のネタを生かしきれてない模様