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羊被る虎

作者: 新山流泉

昔々のあるところに愛されたいと愛されたいと願う少年が一人いました



ぼうっとして愚かしい僕は今恋をしているのだろうか 今愛を受けているのだろうか


僕の消しゴムを拾ってくれた君のはにかんだ笑み


なんだか頰が熱くなりました


芽が張り 鈴が鳴り 食が在り 雪が降り


君と一緒にいられる 君と一緒に笑いあえる


このまま時間が止まればいいのに


でも羊の僕は兎の君を奪えなかった 僕は君のオスになれなかった


あの日あの時からずっと好きだったのに


込み上げる思いが目蓋の辺りから零れ出し


鼻を啜り目を擦り 愛と哀切を歌いました


愁思 終止 愁死 君はもういない



凛として麗しい君は今どこにいるのだろうか 今何をしているのだろうか


僕の告白を断ってくれた君の苦々しい笑み


何やら頰が紅くなりました


空が晴れ 果が熟れ 田が荒れ 雹が触れ


君を一生奪える 君を一生見つめられる


このまま時間を止められればいいのに


そう兎の君は虎の僕に喰べられた 君は僕のメスになれたんだ


あの日あの時からずっと見つめていたんだよ?


這い上がる叫びが唇の辺りから溢れ出し


肩が揺れ膝が震え 笑みと垂涎に変わりました


狂喜 凶器 狂気 君はもういない



昔々のあるところに愛されたんだ愛されたんだと嘆く少年が一人いました





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