-影追翼の仲間の影-
如何も今日は。前回の宣誓通り、今回はマニアックな子がやって来ました。ささ、タイトルから考えよう。影を追う翼・・・レイス?氷鏡の獣?ゲルファード?残念、ペリュトンでしたー!(分かるか!)
此の子、自分可也大好きなんですよ。でもマニアックな為か余り出て来ない・・・ゲームでも見たと思ったらなんか鳥になってるし、大抵神話と違う姿で現れる。如何して?彼が何をしたんだ。
其の為今回も初めにペリュトンの紹介を。姿は簡単に言えば鹿の前足が大きな青い翼に化した者。でも其の影は人間で、異郷の地で亡くなった旅人の霊とも言われています。でもペリュトンは人間を殺すと元の姿の影を取り戻すと言われ、其の為に人間を求めて集団で飛び立つと言われています。
そして此処からは今作のオリジナル。ペリュトンは実は元々影がなく、人を殺す事で其の影をゲットする事が出来ます。でも影は何時しか消えてしまうのです。主を失った影は影ではないからです。
如何してこんなオリジナル設定を?だってペリュトンって元は旅人の霊なんでしょ?だったら元の姿って人じゃないの?でも当の本人の肉体は既に召されているし、幽霊には影は出来ないし・・・じゃあ何時か消えちゃうんじゃない?そんな所です。
あれ、早速人殺しの話ですね。然うです、此の話も例に漏れず、コンセプトは変わらない、何時も通りの結末です。
どうぞ影には気を付けて。其の変哲のない影ですら、価値を見出す者がいるのだから。
ある所に影追翼の群れがあった
彼等は天を、地を駆け、影を求めて流離った
一度人を見付ければ、彼等は人を殺し、其の影を手にした
然うして行く中、一頭の影追翼は仲間に斯う呼び掛けた
我等は影がなくとも生きて行ける
影を手にする為に、人を危めるのは間違いだ、と
しかし、誰一頭其の言葉に耳を貸さず、嘆いたかの影追翼は一頭、群れを離れた
一頭となった影追翼
仲間はいなくなったが、彼は別段寂しくなかった
彼には己に付き添う影があったのだ
幾日かして、彼の影は無くなってしまった
人から奪った影は、然う長くは保たないのだ
独りとなった影追翼
如何しようもない寂しさが込み上げて来た
今迄影と仲間に囲まれていた彼は孤独を知らなかったのだ
こんなにも悲しい事だったなんて・・・
影追翼が悲し気に啼いていると、一人の少女が何事かと駆けて来た
如何したのか、と少女は尋ねた
独りが寂しいのだと影追翼は喘いだ
ならば、友達になってあげると少女は言い、小さな絳い華を影追翼に差し出した
然うか、汝が我が影になってくれるのか
影追翼は華を散らし、少女を其の雄々しき角で貫いた
斯くして少女の影は影追翼の物となった
此でもう安心だと、影追翼は蕭森の奥へ歩いて行った
暫くして影追翼は己の影を見た
其は一人の少女の影
己の仲間の姿ではない事に影追翼は寂しさを連ねた
触れられない、話さない只其処に在る丈の影に影追翼は寂しさを重ねた
然うしていると着いたのは拓けた塊村だった
噫、此処なら寂しくない
影追翼は早速近くにいた男に飛び掛かり、骨を其の足で砕いた
村を去る頃、影追翼の影は村人の其で一杯になった
満たされた影追翼は飛び立った
影が消える前に、次の獲物を探そうと
何故己が仲間の群れから離れたのかを忘れて
影追翼は美しき蒼の毛を絳へ染め乍ら影を求め、彷徨うのだった
何故あの少女の言葉はあんなにも温かく、其の血はあんなにも冷たかったのか
もう影追翼には分からなかった
-Fin-
さて、予想通りの結末だったでしょうか?良いですよね、罪を罪と誰も気付けない話。悪を見つめ過ぎて其に呑まれる話。深淵を見る時は深淵も又見詰めている、そんな話。
でも如何です?好きになりませんかペリュトン。だって蒼い翼ですよ?影を求めるんですよ?滅茶苦茶中二病発病しないですか?燃え上がりませんか?あ、興味ないですか、御免なさい。
じゃあ次は何の子を投下しよう・・・そろそろ日本に上陸したい。面白いの、可愛いの、一杯いるんだよなぁ。(面白く可愛く語れるかは別問題で)
ではでは皆さん良い物語を。