ジェットコースター
異常な声と共に、目の前で肉片が舞った。
乗った覚えはない。──でも、乗っていた。
「マもなく、ハッシャ致シマス」
狂ったような気持ち悪い声。
洞窟のような暗い闇へと誘うジェットコースターが動き始める。見た目は子どもが乗るようなワニの乗り物のくせに、まったく可愛げがない。
これは、死のジェットコースター。
乗ったら最後、生きては返ってこれない。
「ギャー!」
後方で先ほど聞いたような悲鳴が聞こえた。
恐らく、後ろに乗る誰かが肉片に化したのだろう。無残にも四方八方から切り刻まれて。
──待って。
どうして私はそんなことがわかったの?
「うわぁ!」
また誰かが。
──そうか。
これは夢。
目が覚めればここから抜け出せる!
お願い、私。目を覚まして!
ジェットコースターが走る中、恨めしそうな声が聞こえた。
「うまく逃げれたと思うなよ。……次はないからな」
心臓はバクバクしていた。
汗は、びっしょり。
私はベッドの上にいた。そう、夢だった。
よかった。
早い鼓動を感じながら安堵する。──でも。
私は夢の続きを見ることがある。
「うまく逃げれたと思うなよ。……次はないからな」
次──続きをいつか見てしまうのかな。
そして、そのときは。