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王様とお妃様のおはなし

 あるところに王様とお妃様がいました。

 王様はお妃様を深く愛し、お妃様も王様を深く愛していました。


 ある日のこと、お妃様は病にふせます。

 王様はお妃様を心配して、毎日抱き寄せては頭をやさしく撫で、キスをしました。


 何年が経ったでしょう。

 お妃様の容体はよくならず、ついには光を失ってしまいました。そして、音を感じることも。


 そんなときです。

 王様はある薬草の存在を知ります。どんな病も治すという不思議な薬草です。しかし、それはとても危険な場所にある薬草でした。


 ──どんな危険に身を投じても、お妃様を救いたい。

 そう願う王様に迷いはありませんでした。


 王様は一日で戻るつもりでしたが、戻れる保証はありません。

 背格好の似た家臣に愛用の香水を託し、万一のときは自分のふりをしてお妃様の側にいて欲しいと伝えました。



 夜になりました。


 王様は戻ってきません。



 夜中になりました。


 王様は戻ってきません。



 香水を託された家臣は、それを身に吹きつけます。

 涙をぬぐい、お妃様の下へと駆けつけました。


 お妃様は静かに椅子に座っていました。

 家臣は王様に聞いた通り、お妃様を抱きしめます。そして、そっとやさしく頭を撫でました。


 すると、どうしたことでしょう。

 お妃様は震えだしました。

「あなたは……あの人ではないわ」

 お妃様は泣いていました。


 家臣は驚いて腕の力が抜けました。

 そのときです。

 お妃様はどこかへと走って行ってしまいました。




 翌年の春、お城にはきれいな花が咲きました。

 見たことのない、きれいな花です。

 その花はふたつ、寄り添うように咲いていました。


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