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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

紅の姫君は統べる者を夢みる

作者: okojo

「明日は待ちに待った紅い月よ...

明日は私の力が最大限に引き出せる。

あの日の叶わぬ夢を...今こそ叶える時ね」

月明かりの中で不気味に微笑む。

「本当にやるのでしょうか?

ですが、今度失敗すれば...」

「咲夜、私を信用なさい。私は吸血鬼。あの有名な吸血鬼の末裔よ。そんな私が

2度も人間に遅れをとることはないわ。

今度こそ、幻想郷を統べてみせる...!」

「パチュリー様や妹様も、

動かれるのでしょうか?」

「パチェもフランもやる気よ。

今の私たちは誰にも負けない」

弱気な従者を叱責する。

弱気になってはいけない。

恐らく、少しでも弱気になればこちらの勝機は無くなるだろ。

そういう相手なのだ、彼女は。

過去も甘く見ていて負けた。

同じ過ちは繰り返さない。

繰り返すつもりもない。

「咲夜、もう下がっていいわ。

明日の為に準備をしなさい」

指示をすると、一瞬にして眼下から

従者の姿が消えた。

「今回は前のようにはいかないわ...!

このレミリア・スカーレットを

甘くみないでね。博麗霊夢」



朝方、目を覚まし、歯を磨き、寝癖を直し、

境内を掃除し、朝食を作る。

いつもの何気ない日常かと思いきや...

「なんで、あんたが居るのよ...

しかも、こんな朝早くに」

汚物でも見るかのような視線を、

ある人物に送りつける。

黒い帽子に黒い服、

それに金髪を備えた魔法使い、

霧雨魔理沙である。

「そんな、ゴミを見るような目で

見ないで欲しいぜ。第一、私はゴミじゃない」

「私から見ればゴミと等しいわよ。

あたかもそこにいたかのように

居座るのは辞めてもらいたいわ」

神社の主、博麗霊夢が愚痴る。

「それよりも大ニュースを持ってきたぞ。

紅魔館の連中が、また何かを

やらかそうとしているらしい」

「ふーん、で?」

「いや...で?とか言われても

それだけなんだぜ...」

「そんなことの為に私の朝食

に乱入したのかしら?

勝手に味噌汁とご飯まで奪ってね...?」

「朝食まだだったからつい...すまん霊夢」

「まあいいわ。それよりさっきの話は

本当かしら?本当だったら早めに

止めないと」

紅魔館の連中がやることは、

厄介事ばっかりだった。

事が大きくなる前に止めたい。

「信憑性にはイマイチ欠けるな。

妖精からの噂だし」

「妖精...信じない方がいい気がするわ...」

「私も同感だぜ」

こうして、時はどんどん過ぎていく...



「お、お嬢様!大丈夫でしょうか?!」

「問題ないわ、咲夜。それに

まだ月もでてないのにここまで力が供給できるなんて...

ゴホッ!...パチェ、続けて」

「本当に良いのねレミィ?もう、

後戻りはできないわよ」

「構わないわ。それより、

もっと強力にできないのかしら...?

まだ力が足りないわ」




「れーむぅー、れーむぅー」

「何よ萃香。あなたが来るなんて

珍しいわね」

「いやさー、なんか紅魔館から

禍々しいオーラがでてるんだよねー。

一応伝えた方がいいかなぁと思って」

「紅魔館が禍々しい...?まさか、

あの噂本当だったのかしら」

やはり、厄介事の火種は取り除いておくべきだ。

そう感じた霊夢は、身支度をして

紅魔館へ行く準備を整える。

「とりあえず行ってくるわ。

留守番よろしくね萃香」

「うん!がんばってねー、れーむ」

黄金色に染まり出した

幻想郷の空を飛ぶ。

紅魔館に近づくほど、

背筋にかく冷汗が増えていく。

無視できない何かが、

紅魔館にあることは分かった。

何度か来た紅魔館に到着する。

「ここは通しませんよ、霊夢さん!」

いつものように紅魔館の門番、

紅美鈴が立ちふさがる。

しかし、今日はいつもと違う

雰囲気だった。

「中国ごときに構ってる時間はないわ。

それよりもこの禍々しいオーラはなに?

一体中で何をやっているの?」

「それは、たとえ霊夢さんでも教えれません。というか尚更教えれません!」

「なら実力で通らせてもらうわ。痛い思いをしたくないならどきなさい」

「それはこちらのセリフですよ。怪我したくなかったら帰ってください。今回は手加減はしません。お嬢様から本気で相手をしろと言われているので」

ちっ、と舌打ちをして

お互いが激突する。勝負は

一瞬で着いた。

正面から突っ込んでくる美鈴を

弾幕で返り討ちにしただけである。

しかし、突っ込んでくる勢いも

重なり、弾幕は相当な威力になった。

「あんたを相手にするのは簡単よ。

馬鹿正直に突っ込んでくるのを、

返り討ちにしてやればいいもの」

「そうですか...」

ですが、と美鈴は続ける。

「残念ながら手遅れですよ霊夢さん。

月が昇ったら最後、お嬢様に

はかないません」

「やってみないとわからないじゃない。

一回私に負けてるし」

「今回は前の比じゃありませんよ。

きましたね....」

美鈴がそういうと同時に

月が昇りだす。さらに、

ゴゴゴゴゴゴ...と低い地鳴りが起こる。

「な...何?一体何をする気!?」

ドゴォンッ!という音と共に紅魔館が

消えた。否、崩れたのだ。

「ようこそ、我が城紅魔館へ。

歓迎するわ、博麗霊夢」

粉塵の中から現れたのは、

前に見たのと似ても似つかない

レミリアだった。

羽は4枚に増え、犬歯は鋭く伸び尖り、

目は深紅色に染まっている。

あまりの豹変っぷりに焦ってしまう。

「あんた...本当にレミリアなの?!」

「ええ、そうよ。

私はレミリア・スカーレット、

幻想郷の新たなる支配者」

「支配者ですって?

どの口が言うのかしら、

それに今更」

「霊夢、気付いてないみたいだから

教えてあげるわ。今日は紅い月よ。

月は吸血鬼に力を供給している。

紅い月は、その供給量が上がるの」

「月のことは分かったわ。一つ

質問があるわ。あなたのその姿は

一体なんなの?」

「これはパチェの魔法で更に

力の供給量を底上げして貰ってるの。

念には念を入れてね。

談話はここまでにして、

そろそろ殺らせてもらうわ。

覚悟なさい、霊夢」

喋り終わると同時にレミリアの目が不気味に光る。直感だが、その場にいれば危ない気がし、すぐに飛び退く。すると、たった今いた場所の足元から、紅い槍が3本飛び出て来た。

「っ...!危ないわね。てか、弾幕で戦いなさいよ」

「今回は貴女を殺させてもらうわ。

厄介な火種は取り除くのが一番なのよ」

会話中も次々と槍が飛んでくる。それをなんとか弾幕を張り応戦する。しかし、余程威力が上がってるのか槍を当たらないように逸らすのが精一杯だった。

隙間を見つけ反撃する。

「これで...!っていない?!

一体どこに...」

「後ろよ、霊夢」

声が聞こえた時には 、最大速度で上へ

飛んだ。しかし...

「遅いわ」

ゴフッ!という音と共に、鈍い痛みが

全身を襲う。そのまま叩き落とされ、

地面に体を打ち付ける。

あまりの衝撃に意識をもっていかれそうになる。

「ゴホッ!ゴホッ!」

体が動かず、起き上がることすらできない。唯々、体内にある酸素を全て吐き出そうとむせるだけである。

「人間というのは実に脆いわね。たったこれだけで死にかける」

レミリアが、転がっている霊夢の鳩尾を力の一杯踏みつける。言葉にできない痛みが全身を襲う。

「っ....!」

「所詮霊夢も人間。弾幕合戦という型に囚われなければ、私達のような妖怪に勝つことはできない」

自由の効かない体で、レミリアを睨みつける。

「そんなに殺気篭もった目で見られてもどうしようも無いわ。諦めなさい霊夢、すぐに楽にしてあげる」

一歩、レミリア後ろに引く。右手に光が収束し、一本の紅い槍となる。それを、思いっきり博麗霊夢の心臓に向かって一突きした...筈だった。しかし、そこには博麗霊夢の亡骸などなく、虚しく槍は地面を刺しているだけだった。目を横にやると、何者かの肩に霊夢は担がれていた。

「主を裏切るのかしら?咲夜」

「流石にやり過ぎと判断致しました。霊夢を殺せば、私達は彼女を裏切る事になります。居場所の無い私達に、居場所を作ってくれた者を」

「だからなんだっていうのよ、私は幻想郷の支配者なのよ?居場所なんて其処ら中にあるじゃない」

「幻想郷の支配者はお嬢様の器では収まりません。実力も、例え有名な吸血鬼であろうと、お嬢様より強い妖怪や神などが沢山います。支配者になるのは諦めましょうお嬢様」

「ここまできて諦める?冗談じゃないわ。咲夜、貴女はもうメイド長じゃない、裏切り者よ」

「そうおっしゃるのは承知の上です。ですが、お嬢様は止めさせてもらいます」

レミリアの幼い体が一瞬にして吹き飛ぶ。レミリアが立っていた場所には別の者がいた。紅美鈴である。

「霊夢さんとの戦闘で、体力を使わずに済んでよかったです。本来あの程度では、やられはしません」

「揃いも揃って...私の従者達は何故裏切り者が多いのかしらねぇパチェ?」

「レミィを心配してるからに決まっているでしょう?」

「例え親友であろうと手加減はしないわよ?」

「そっくりそのままそのセリフを返してあげる」

紅魔館の残骸の一部が爆散し、粉塵が舞い上がる。その中から現れたのは、

「私だけ仲間外れはずるーい。私とも遊んでよ、お、ね、え、さ、ま♥︎」

フランだった。

「今の私は、何人がかりで来ようと止めれないわ。いいわ、貴女達皆殺しよ」

全員が一斉に動く。先ずは、レミリアの周りに沢山のナイフが舞う。矛先は全てレミリア。一斉に動き出す。

「ふんっ、こけおどしめ」

四枚の羽をはばたき、起こった風圧で全ておとす。後ろに気配を感じ、振り返る。そこには拳を振り下ろす前の美鈴がいた。

「貴女も遅い!!」

腹を思いっきり蹴り飛ばす。蹴り飛ばした瞬間、空から火の玉が降り注ぎ、肌を焼く。が...

「この程度じゃ、私の白い肌に日焼けすらできないわ」

全くきいている様子はない。そこへ、

フランが呼び出した巨大な炎剣で斬り込む。

「そんななまくらで私と力の比べかしら?」

槍で受け止められ、簡単に弾かれてしまう。しかし、その隙にガシッ!と、四肢を掴む。

「「「「捕まえたわ、お姉様」」」」

四肢はフランの分身が抑えていた。

そして、本体が弾幕で潰しにいく。着弾と同時に、物凄い爆音が鳴り響く。

「この威力の弾幕を食らえばお姉様だって....」

「何かしたかしら...?少し痒かった程度ね。そもそも、月の力は全吸血鬼に平等に与えられる。だけど今は私が供給される力の全てを集めているからフランには力が供給されてないはずよ?」

「嘘...でしょ?」

「今度はこっちの番よ、フラン。喰らいなさい」

「そうはさせない」

レミリアの周りをパチュリーが魔法で操られた流水が取り囲む。

「これは...あの時の...!」

「覚えてるみたいね。これはあの時フランの暴走を止めた、対吸血鬼用流水の檻よ」

「こんなもの!すぐに抜け出してやる!」

しかし、放った弾幕は流水に当たると消えてしまう。

「ムダよレミィ。諦めなさい」

「こんなところで....!

私は負けられない!!!」

羽ばたきの風圧で流水を吹き飛ばす。

「私の最大の技でここら一帯を

吹き飛ばす。不城夜城レッド!」

レミリアを中心に規模の大きな爆発が

起きる!紅魔館の辺り一帯はレミリアのスペルカードによって真っ平らになった。周囲には紅魔館だった瓦礫が積み重なっているだけである。

「裏切り者がいなくなって清々したわ。これで幻想郷の支配に集中できる!」

「そんなことさせると思ってるのか?幻想郷の支配なんてこの私が許さないぜ!」

頭の上から声が響く。声の主は金髪で黒い服を着た魔法使い、霧雨魔理沙だった。

「万年二番の貴女に何ができるの?霊夢ですら叶わなかったこの私に勝てると思ってるのかしら?」

「そんなのやってみないとわかんないぜ。それに、誰も私一人で相手をするなんていっていないだろ?」

すると、魔理沙の背後から沢山の人形が現れた。そして、その中心にいるのは七色の人形使いアリス・マーガトロイドだ。

「魔理沙も無茶ね。あんなのに勝てるわけないじゃない」

「だーかーら!やってみないとわかんないって言ってるだろ?」

「結果が目に見えてるんだけどね。一応、手伝い位はしてあげるわ」

「ありがとうアリス。さあ、第二ラウンドの始まりだぜ!!!」

そう言うと、魔理沙は初っ端からスペルカードを使う。

「恋符マスタースパーク!」

一直線の極太ビームがレミリアを襲う。だが、レミリアはそれを羽で弾いた。

「単純ね。くらいなさいっ!」

魔理沙に向かって槍を投げつける。それも、1本ではなく5本。

「くっ!」

華麗に躱す魔理沙だったが、最後の槍だけが躱しきれず、眼前に迫る。ガキィンッ!と大きな音が響き、槍は逸れて魔理沙の髪をかすった程度だった。槍を逸らしたのは、上海人形だった。

「ありがとだぜ!」

「お礼はいいからレミリアに集中して!」

「今度はこっちの番だ!スターダストレヴァリエ!」

掛け声と同時に無数の星がレミリアに飛んで行く。レミリアそれを避けもせず、受け止めて見せた。

「何かしたかしら?」

「おいおい、本当かよ...全然効いてないじゃんか...」

「魔理沙、このままじゃ埒が明かない。あれは私が誘導するわ。合図をしたら全力で攻撃して」

「わかったぜ」

アリスは人形を使い、レミリアの動きを制限していく...

「今よ!」

「いくぜ!ファイナルマスタースパーク!!」

さっきと比べ物にならないほどのレーザーがレミリアに向かい飛んで行く。速度、太さ、威力、恐らくどれを取っても規格外であろう。そんなレーザーは、芯でレミリアを捉えた。だが、幼き吸血鬼は健在だった。

「ちょっと痛かったわ。褒めてあげる」

少しついた傷が一瞬にして治っててゆく。

「流石にチート過ぎる...ぜ」

力を使い果たした魔理沙は、地上に落ちていった。アリスも、それをおって地上に消えた。

「もう終わりかしら。暇つぶしにもならなかったわ」

「こっちとしては、ありがたかったわ。おかげで、レミィの魔法を解除することができたのだから」

「えっ?.........」

バタリと、その場にレミリアは倒れた。どうやら眠っているようである。

「ふぅ...まさかこんなことになるなんて...月を赤くする魔法なんて作らなきゃよかったわ」


こうして、色々な者の活躍によりレミリアの野望は打ち砕かれたのであった....

皆さんお久しぶりです。小説書いたの超久々な気がします。多分投稿ペースは大分落ちると思います。ですがまったりと付き合っていただければ嬉しいです。これからもよろしくお願いします。

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