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頂戴つかまつる

時越え武将 第47話「頂戴つかまつる」始まります。

 そして2年半経ち、長い梅雨も終わり、城にある木々から、

夏の風物詩である蝉の鳴き声が喧しく奏でていた。

 それにしても早すぎる。余の前にこの時代の余が居る。

つまり俺の目前に武田義信が平伏して居るのだ。


「お久しぶりに御座りまする」


 義信の隣に平伏する男が発言する。一徳斎である。


「面を上げよ」


 政興が目の前にいる男達声掛ける。すると意外な顔があった。

俺が聴いていたのは、信玄が義信を謀反の罪で幽閉で同罪で幽閉数人と、

それに準ずる関係者が来ているって話なのだが、

飯富虎昌は良いとして何故弟の源四郎昌景、穴山彦八郎信嘉、それに一徳斎だ。

何の目的があって付いてきたのだ。まさかと思うが聴くとするか。


「ほんに久しいのう一徳斎殿、で、如何したのじゃ、そなたまで謀反をしたとは思えんのでな」

「いや、なに、途中で清美殿と出会っな付いてきただけだよ」


 一徳斎は使者というより友みたいに話し笑い出した。


「それに、名目は謀反だが本来は親今川派を排除する事、

それに清美殿を甲斐に呼んだのは儂じゃ」

「で、付いてきたと」


 はぁー

 それはついでだろうに食えぬ親父だ。

「違うだろ本心は、酒と料理だな。よい食って飲んでいくと良い。

和美すまんが用意してくれ、話は食いながらしょう」

「はい、只今」


 和美はその場で手を二拍すると、和美の後ろの襖が開く。


「失礼します」


 何事かと見ていると女中達がお膳を人数分運ばれてきた。


「さすがは近江殿我が意を読み取られるとは、お見事で御座る。

奥方様も近江殿の先読みをさらに読んでいらっしゃる。

この一徳斎感服掴まりました」


 再び平伏し再び姿勢を正すと自ら酒を注ぐと、


「頂戴つかまつる」


 グイッと飲み干した。


「うん、旨い酒じゃ、で 若達を匿って頂きたい」


 えっ この親父どさくさに何て言った。匿って欲しいだと、冗談じゃない。

何で、わざわざ仕事を増やす必要がある。ん、待てよ、これは・・・


「付きましては、倅の一人喜兵衛昌幸を連れて参りました。」

「解った。一徳斎そちはどうするこのまま残るのも手であるが」

「儂は信濃に戻る」

「喜兵衛、そなたはどうする儂に仕える気はあるか」

「三百石くれ」

「これ喜兵衛、何て事言うのだ。近江殿申し訳御座らん」

「よいよい、其れで良いのだな」

「かまわねぇ、仕えてやる」

「あい解った。喜兵衛、早速仕事をやる」

「はっ、ありがたき幸せ」

「今のまま信玄に仕えておけ、この春には駿河に京の山崎屋の店が出来る。

そこが通常連絡の窓口だ。急ぎの時は、ここに居る駿河城代佐山駿河守定国に話せ、

その話はすぐにでも余に伝わる。三百石は山城屋で受け取るが良い」

「承知仕りました」

「よいか、噂に惑わされるな、己の見た事のみ信じ其れを証せよ」

「はっ」

「うむ、良い返事だ」

「其れでは若の事は」

「よい、太郎義信殿、今後どうしたいかあるか?」

「何がどうなってこの様な事になったのか、困惑しております」


 首を傾げる義信に吉伸は答えた。


「先ほども一徳斎殿が言っていたが、信玄公いや信繁が駿河が欲しい為、

親今川を排除する為の名目じゃ、で、貴殿を亡き者にする。

浅はかな考えじゃ、余なら義元公の義子として駿河に君臨させるのだがな」


 元武田謂えの武将達一同は、お互いに顔を見合わせ驚愕していた。


「殿、皆困惑しておりますぞ」

「すまんすまん、ちょっとした戯れ言じゃ許せ。義信殿よくよく考える事だ。

きっと見つかるであろう。又聴くでな。

所で一徳斎、保護して欲しいのは此処にいる者だけか?」

「此処にいる家族が城下の旅籠に居りまする」

「さよか、ならば暫しそこに居られよ、その者の住居などは此方が用意する」

「はっ、ありがたき幸せ」

「義信殿、何かあればここにいる藤堂刑部大輔虎高に言え」

「御意」

「さて、硬い話は無しじゃ食うが良いぞ」


 料理を摘みながら雑談をしていると、小姓の一人与吉が襖の外から声掛けてきた。


「申し上げます。清美様、晴信様、無限斎様、ご到着です」

「うむ、入って貰え」


 与吉は襖を開けた。


次回時越え武将 第48話 「こんな面白い事言うわけ無いやん」お楽しみに

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