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親だしかな

時越え武将第45話「親だしかな」始まります。

 そして二ヶ月


 白い大きな病院のベットで、一人の男がゆっくりと目を覚ました。

右側を見るば、そのベットに頭を預けるようにして眠り込んでいる少女が一人。

男はその少女の左腕を軽く叩きながら声掛けた。


「おい、そなた」


少女はゆっくり上体を起こすと目を擦りながら声の主を見た。

開かれている目を確認すると、


「あっお目覚めですか?動かないで少し待ってて下さいね」


 答えながら微笑むと、椅子から立ち上がりパタパタと部屋を出て行く。

一人残された男は初見の物があることを不思議に思いながら天井を見ていた。

暫く考えていると、先ほどの少女が戻ってきた。

仮面を被った老人を連れてきているようだ。


「よう、太郎目が覚めたようじゃのぅ」

「無礼者、何やつじゃ」


 寝ている男は老人に少し上体を起こして剣幕を立てながら問いた。


「バカもんが、声で解らんとは耄碌したか?」


 老人は仮面を取りながら微笑んだ。

太郎は顔を見て驚愕した。


「父上、何故此処に」

「太郎が心配じゃからだよ」


 キョトンとしている太郎に老人は、


「親が子を心配して何が悪い、出来の悪いやつほど可愛いんじゃよ」


 其れを聴いた太郎が笑い出した。


「それを親父が言うとは」

「度々城を抜け出して他国まで女に会いに行く太郎が言い寄るわ」

 

 老人は笑いながら話すと太郎は顔を真っ赤にしながら、


「何で 知っている?」

「親だしかな」

「子娘を連れ回している親父言われたくない」


 太郎は照れたのか疲れたのか再び身体を横にして顔だけ向けて、


「親父紹介してくれ」

「あぁ」


 老人はやや後ろにいた彼女に、振り向いて頷いた。


「初めまして、吉伸が妻、和美と申します」


 和美は丁寧にお辞儀をするが、


「義信の妻だとぉ」


 声を荒立てて身体を起こし彼女に睨み付ける晴信に、信虎は拳骨を落とす。


「痛てぇなぁ、親父何しゃがる」

「うるせぇ礼儀がなってねぇし、睨み付けるな、それに彼女は何一つ嘘は言ってねぇ。

もう少し落ち着きやがれ一国の主だろうが、厭今は二国だったか、

それは良いが此処では静かにせんか、他の患者の妨げになるわい。

周囲もよく見る事だ。

まったくまだ直ってねぇとは、よく言いけ聴かせていた筈なんだけどなぁ」


 晴信は言われて周囲をよく見た。晴信にとって知らない材質の壁、

初めて見る材質の垂れ幕、眩しい物、何より親父と息子の妻と名乗る少女の着物、そして今居る布団と身を包んでいる着物。


「気付いた様だのぅ」


 驚愕している息子の顔を見て信虎は、椅子に座りゆっくりと話し出した。


「わしも驚いたが、まず此処はわしらの居た世界と違う世界の未来だ。詳しく言うとわしらの居た時代の前の時代より、分離された平行世界の未来である。

そして今此処にいる事によって、そなたの怪我も病気も回復に向かっている。

此方の世界は医療も発達していて治療方法も薬も開発されておる。

その医者の話では、あと二ヶ月で怪我も治り日常生活に戻れるし、

持病も一年で完治するらしい。

そして、この世界には血縁かどうか調べる事も可能じゃ、

それでわしと吉伸事も調べて貰った。結果は歴としたわしの孫、

つまりそなたの子が立証され、その正妻である和美殿はそなたの義娘である」


 信虎は和美に差し出されたペットボトルの茶を飲み一息入れた。


「先ほども言ったが後長くて二ヶ月で傷も治る詰まり退院が出来るが持病は治らん。

しかし、後半年すればそれも完治するだろう。どうするかはそなたが決めろ。

ただ、わしも医者の端くれ、すぐに帰ると言う事は許さん今は絶対安静にしておれ」


 信虎は晴信の額を指で押しベットに寝かせると、


「又来る。 和美殿帰るぞ」


 言い残して部屋を出たのだった。



次回時越え武将第46話「皆の者、よく来てくれた」お楽しみに  

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