まだやり残した事あります
現在に帰ってきたそしてやってきた博太郎一家はたして、どうなることやら?
時越え武将 第三十四話 「まだやり残した事あります」始まります。
「ただいま、母上、父上、ようやく帰ってくる事出来ました。心配掛けて申し訳ありません」
博太郎は目の前にあるテーブルに手を添えて額を擦り付けた。
起きあがると
「紹介します隣から妻の」
「畠山左衛門督政長が娘、奈津と申します」
「長男の」
「管領代の民部少輔吉晴です 」
「吉晴が妻、赤松下野守政秀が娘、お悠と申しますこの子が息子の新太郎吉光です」
「よろしくお願いします」
順に挨拶をして小学生?ぐらいの少年が締めくくった。
「説明しろ」
俊定は白髪の息子である博太郎の目を見て問う。
ゆっくりと話し出し一つ一つメモを取りながら聴く俊定。
すべて話した博太郎、そして聴き終えた俊定
「うむ、博も親の有難味が解ったであろう。博の苦労に免じてすべて許そう」
お茶を啜り一呼吸擱いて、俊定は尋ねた。
「今後どうするつもりだ。こっちへ帰ってくるか?ここも博の家だ。
どうするにしても今日は遅い自分の部屋で寝るがいい、
その前に風呂にでも入りなさい。奈津さんも吉晴もお悠さんに吉光も、
みんなで入るがいいだろう博、皆に教えなさい。洗濯もんはおいといたらええさかいな、ゆっくり浸かって疲れを癒しや、質問はあるかな 」
俊定はゆっくり見渡す。
「私たちも一緒にと言う事でしょうか」
「さよう、今までそれぞれが領民のためにと励んできたのであろう。
このような時ぐらい裸で語り合うのも今後のためぞ」
其れを聴いたお悠は真っ赤になって俯いていた。
翌日
時江に呼ばれた博太郎一家がリビングに入ってきた。
そこには俊定一家に吉伸一家が揃っていた。
「おはよう御座います」
博太郎が挨拶し部屋にいる者が順に返していく、
それに倣うように博太郎一家も順に挨拶する。
朝食後、再びリビングに入る博太郎一家、
俊定は吉伸に後事を任せ、仕事に出かけた後であった。
「養父に聴いた。博この後どうするつもりだ」
吉伸は足を組み手を組み、ソファに凭れながら直視する。
博は彼を見ながら、ゆっくりと返答する。
「まだやり残した事ありますので・・」
「父上お待ちください。後はそれがしにお任せください」
吉晴が嘆願する。彦太郎は戸籍上まだ10代であるが、向こうの時代では60年以上
生存した荒武者であり、副将軍が居ない今管領職であっても実質畿内四国中国間の一部を束ねる副将軍的立場であり、現に義輝からも再三要請もされているが、
歳の為辞退している次第であった。その為にも「ハイそうですか」と言う訳にもいかなかった。
しかし考えてみても良いかもしれんな・・・・
「やり残した事終わり次第、奈津とこちらに帰って参ります」
「わかったよ兄貴、そのときの為にも兄貴の家建てておくよ。
そして吉晴にも言える事だが、そして吉晴の子孫にも、
こちらで住む権利もある考えてみないか」
博太郎の返事に弟である木下家次期当主智和は答え追い打ちを掛ける事にした。
ニヤリと微笑むと、
「されば兄貴、今日は街に出かけたら、
例えば遊園地や動物園などで楽しめばどうですか」
「それはいい、吉光よ、美味しいも食べて、
未知なる世界を楽しみ知識として蓄えるのじゃよいな」
吉伸が智和の意を読み取ると彼の言葉に頷き吉光を巻き込む事にした。
朝食の片付けをしながら聴いた和美は、頭を抱み込むのであった。
「それでだが和美から聴いたが、昨夜向こうからこっちへ急遽来る事になった為に、
奈津さん吉晴さんお悠さんに吉光君に謝らなくてはいけない。すまない」
吉伸は机に両手をついて額をあたる迄下げた。
「吉兄、顔を上げてくれ、無理矢理着いてきたのは俺たちの方だ。捕まれたとはいえ脱する事は出来た」
「そうです」
彦太郎夫婦は答えた。
「いや、そのことで無い、身体的年齢の事だ。まだ調整が出来ず登録されてない者は、
十年若がえる。本当にすまない」
「何言っているのかしら私達は喜んでいますのに」
「そうだよ、吉兄、俺達は出かける準備するから行くね」
博太郎一家は部屋に戻り、この世界の衣装に着替え出かける事になった。
「祖父上、この服とても動きやすい」
「気に入ったか」
「はい」
よほどうれしいのか部屋の中で吉光は、彦太郎の周りを駆け巡りながら答えた。
「部屋では走らないの」
「はーい」
部屋に入るなりお悠は、走りまくっている吉光を見て注意した。
続いて入ってきた奈津は、微笑みながら伺っていた。
「着替えたのか」
「はい、どうですか?なんかすぅすぅして」
「おう、似合って居るぞ」
彦太郎は照れ隠しの為、窓の外を見ながら答えた。
彦太郎の母である美子と和美が見繕った服を着ている二人、
実齢より若く見えたのであった。
お疲れさまでした。 良いお年をお迎えください。ペコ
次回時越え武将 「揃ったところで話がある」 お楽しみに