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思い出したようだのう

突然の来訪者、武田家の使者と宴。  はたして・・・


時越え武将 37話「思い出したようだのう」始まります

部屋には料理が運び込まれた。


「皆の者、膳は亘ったかな」


「「 はーーい 」」


吉伸の掛け声に元気に答える生徒達、それを確認すると、


「それでは、グラスに飲み物入れて持って ね 」


和美が指示を出す。あちらこちらで注ぐ音がする。


「皆さんの健康と武田の勝利を祝って」

「かんぱーい」


「「「 かんぱーーーい 」」」」


和美と清美の音頭で城内が沸きだつ。



「ところで、そちらの方々は奇妙な服をお召しで、されど動かし安いが戦に向いていないようですなぁ」

「左様不向きで御座るが、これは学生服と言う」

「学生服ですか」


一徳斎は吉伸の説明に納得しつつ首を傾げて目の前の焼き魚を突いてた。


「つかぬ事お聞きしますが、この中で戦の出る者は何人いるのでしょうか」

「うむ、そうだな武士が38人見習いが22人学生45人他の職業5かな」


一徳斎ノ質問に正直に答える吉伸を見て、和美は念を送った。


『よっしい、いいの? 』

『かまわんよ、言わなくても一徳斎なら解って居るさ 』


「近江守殿、いいかがいたした」

「何でも御座らぬ、失礼いたした。今日来たのはのう、

その方達の戦いを見に来たのじゃ」


「えっ、この戦を」

「左様」


何故見る必要がある。しかしどうでもよい御屋形様の奇遇、

ここで絶ってしまえば、よいだけでないのか、いまなら、

2対38酒に潰れている者も居よう、これなら勝てる・・・


酒を一飲みして、一徳斎は思案する。


「なれば、帰す訳には」

「のう、一徳斎此処に居る者に手を掛ける意味解って居るのか、

今後の武田の行く末が曇ると思うが、熊若から聴いた事思い出すが良い」


熊若から何故知っている・・あっそう言えば、

熊の弟が家臣になったって言っていたなぁ。

次々と思い出す熊若の言葉



「あっ、 細割菱、牡丹、桐 、二引両 の家紋」

「思い出したようだのう」


近江殿の左には桐の家紋付きの羽織を着た女人、右には近衛牡丹の羽織を着た女人、

そして正面には二両引き二名・・・

他多数の家紋付き衣装を着た者達が並んでいた。

我の失言が想わぬ方向に・・流れる冷や汗を手拭いで拭う。

話を変えねば・・


「ところで、近江守様こちらに武田の先代様が居られると聴いたのですが」

「爺かもうじき来る」


すると、一人の少女と老人が一徳斎の目の前に現れて一礼している。


「ただいま、爺ちゃん連れてきたよ」

「殿、お呼びでしょうか」

「よう来た、そちらが武田の使者で御座る」


無人斎は使者の二人を見た。

二人は見たとたん寒気が来るのを感じた。


なんと鋭い目じゃ、虎の親は虎であったか・・・


一徳斎はその眼力を跳ね返した。


しばらくの間、二人は無言の圧力合戦になってしまった。

其れを見た吉伸が、酒瓶を持ってきて、栓を開ける。


「さぁさぁ、ここは一献飲んでくだされ」


その瓶から杯に酌まれた酒を見た一徳斎は透明な水に驚いた。


もしかして水か・・・


されどそれは一徳斎の期待を良い方に裏切った。

酌まれた杯に口を近づけて少し舐めるように飲んだ。


少し辛めだが喉通りが良い・・・


「旨いな」


一徳斎は呟いた。


「そうであろう、わしは、是飲んでから虜になったわ、そなた海野の者じゃろ」

「はぁー」

「あのときの戦、わしは今でも覚えて居る」

「あのときと言いますと?」


一徳斎も数多くの戦に出ている解らなくても無理はない。

無人斎は続けた。


「海野平の事よ、右馬助は元気か」

「元気ですが」


一徳斎は疑問が膨らむ一方である。

右馬助とは、一徳斎の弟で矢沢右馬助頼綱で海野平の戦いより後、

敗戦した頼綱は、当時武田の頭領だった無人斎の家臣となり、供に戦ったのである。


「わしはのう、あの男がわしに勇気をくれた。わしの持ってない物備えて居った。

あやつの進言は理にかなって居った。もう少し待って居れば太郎も楽にできた物を、

一徳斎、太郎にだけ伝えておけ、次郎には心は許すなと表と裏があると 」


「はっ」


「それからなぁ・・・」


無人斎は一徳斎に耳打ちすると縁側に出て行った。

一徳斎は吉伸を信じられない驚きの顔で見ていると、

出て行ったはずの無限斎から声が掛けられた。


「一徳、早うこっちに来い」


一徳斎はゆっくり立ち上がると、縁側にむかっていった。

周囲の戦国時代の者は何事かと眺めていたが、他の者はもしかして、

あれかなと思いながら眺めていた。



無人斎の隣に立った一徳斎、彼は何を見たのか、


次回 時越え武将 「急ぎとは何事?」お楽しみに

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