親父が見つかった
お久しぶりです ようやく1話完成しました
時を越えた武将 第33話 親父が見つかった 始まります。
吉伸が伊賀に戻り一週間過ぎた八月十五日、
甲斐・躑躅ヶ館の本主殿に二人の男がいた。
この部屋の主である武田信玄と盟友である信濃の名族の真田一徳斎である。
一徳斎は家督を信綱に譲り、信玄の友として参謀として碁を打ちながら
話し相手になっている。
そして、この日も碁を打っていた。
「まだ解らないのか」
信玄は盤面の碁盤を見つめながら呟いた。
信玄は天文十五年父・信虎を駿河に追いやって甲斐を治めてきた。
しかし信虎は、息子のため今川の情勢内情を手紙に書いて送っていた。
ただ義元が桶狭間で討死してから、京の三条家にやっかいになると書いたまま、
京で行方が解らなくなっていた。
つなぎ役の忍びが追いかけることが出来なくなったのである。
そう、小山美鈴の瞬間移動で見失ったのであった。
そこで、真田忍軍と武田の望月忍軍が協力し、
全国を探し続けているのであった。
「まだ、掴めませんなぁ」
一徳斎は囲んだ石を盤上から外しながら言った。
信玄はすかさず石を置く、その手を見て一徳斎はにやりとした。
ゆっくりと石を置こうとする。
「あっ」
信玄は叫ぶ、詰まれたのである。
「まった」
「待てませぬ勝負事に待ったはありませぬ」
一徳斎は目的地に石を置いた。
「御屋形様、熊若が戻りましてございます」
襖の向こうで声がする。信玄らは一斉に振り向いた。
「入るが良い」
「はっ」
信玄が入室を許可すると小柄な男が入って来るなり盤上見て、
「御屋形様、また負けてござるのか」
無駄口を話すのだった。
「三郎、それを話しに来たわけであるまい」
「そうでござった」
信頼は信玄の方へ向き直り、
「無人斎殿の居所がわかりました」
「何、父の行方じゃと」
「はい」
「して今は何処に居る」
「それにつきましては、熊若が」
望月盛時は武田家の忍びを預かってる将のひとりで信玄の甥にあたる。
そして武田一俊足の忍びである熊若が戻って来たのであった。
「されば、無人斎様は今伊賀に居りまする」
「伊賀じゃと」
信玄は伊賀の忍びの里に行って、情報を掴んで帰ってきたことが、
不思議に思っていた。
「何をされていた」
「医師でございます」
信玄は驚いた。父が医師などとは思いもよらなかったのである。昔信虎は領内の者達を試し切りにしたりと虐殺を繰り返し、領内の国人の反感を抱かせ家臣達の後押しもありを父信虎を国外追放し御屋形となったのである。
「腕はどうじゃ」
「かなりの腕前かと」
熊若は素直に答えていたが、信玄が渋った顔になったので、信玄の顔を見ていると、
「よく腕前まで解ったのぅ」
「わたくし自身助けられてございます」
「町医者の親父にか?」
「いえ違います。治療は伊賀上野城でしております」
「これまた不可思議なことよのう、一徳斎や」
信玄は一徳斎に話を振った。
「まことに」
同意する一徳斎が尋ねた。
「城の中と言うのは、そこの城主かそこ誰かに仕えて居るのか」
「はっ、使えておりまする」
「誰に仕えており、その城は如何様なもんか?はたまたその国は如何様なもんか?」
信玄の知りたいと思うことを一徳斎が尋ねた。
「はっ、さればでござる」
熊若が一呼吸を置いて語り出した。
「実は2ヶ月前に無人斎殿を見つけましたが、その国いろいろ調べたくなり鍵回っていた所、何故か無人斎殿に呼ばれ、城の城主である若武者を紹介されました。
総大将は城主でもある木下近江守吉伸で歳格好15.6歳、源氏の正当家督者であり源頼朝公の縁戚、その証に笹流胆の家紋使用ならびに軍旗は、白旗又は横2本笹流胆を使用、家紋は細割菱、牡丹、桐 、二引両、月星、三頭右巴、
城は5層の天守閣の本丸、内堀幅300尺、外堀幅150尺、大外堀幅1町以上があり、周囲6里ので小田原の10倍以上の大きさ。
総兵5万以上。
尚、当主吉伸殿は拙者のこと知っておりました。また我が弟牛若と楓が当主により、
祝言挙げ、油川の性と伸恵の名頂戴したとの事、さらに無人斎殿の子、
御屋形様の弟になられます殿の付き人になっておりまする」
それを聴いた信玄と一徳斎は顔を見合わせた。
二人の疑問は割菱の家紋の事で、細割菱とは割菱の合間が細くなっており、特に武田家の家紋である。
そんなとき、玄関先から信玄を呼ぶ声が上がった。
「御屋形様はいずこに~」
「ここに居る」
信玄の声を聴いた使者は、部屋に入り片膝をつき顔を上げると、
「謙信入道、信濃に向け進軍しました」
と、報告した。
ついに来たか、信玄はそう思うと、将を呼ぶように近衆に命じた。
白 「今後も不定期続きますが・・・そんなもん振り回すなぁ」
吉 「うるさーーい 一度切らなきゃ直らんみてぇだかんな、観念してわが刀の錆になりやがれ 」
パチン バチン
白 吉 「「 何故ハリセン 」」
和美 「何騒いでねん 」
和美 「次回 いざ川中島へ・・・ お楽しみに 」