同盟か臣下か?④
吉信からの敗北宣言に怒る家康だが、半蔵の言葉にどう反応したのか?
時を越えた武将 始まります
同盟か臣下か?④
「わしの負けじゃ」
家康は天に唾を吐く勢いで叫んだ。
吉伸は改めて家康に言い渡した。
「松平家康、小山家家臣として余を助け我が義兄の公方様の力になるのじゃ
よって、三河守護職に任命する。公方様のお墨付きお受けなされよ」
吉伸はそう言うと一枚の紙を渡した。
「ははッ」
「この家康有難く頂戴します」
「これは余からだ」
というと 一枚の二畳ぐらいの紫の布を渡した。
その布には笹流胆が描かれていた。
それは紛れもない源氏の旗であった。
「これは源家の旗ではありませぬか」
「知っておったか、流石家康じゃ」
「何故、勝手に与えたり貰えぬ物であるはずでは?」
「余は妻の祖父から引き継いだもんだ。今は余の家紋でもある。
かまわん使え、」
家康は余の家紋という言葉に驚愕した。
それは源氏の家紋受け継ぐ者は鎌倉時に途絶えたと、
太源和尚から聴いていたからであった。
ますます解らなくなった家康は考え込んだ。
「当家の月星紋の軍旗使用を認める」
吉伸の声に 現実に引き戻された家康は平伏し、
「有難き幸せ」
と返答していた。
「さて後ろの方々は何方かな」
家康の叫びで数人の家臣が後ろに座ってる、
吉伸は彼らのことを指したのであった。
「ほれボサっとするな 名を言っていけ」
家康に言われた後ろの家臣共が次々と語り出した。
吉伸も次々と返事していく、
これには、家康以下家臣共々驚き、中には褒められ照れる者も、
そんな中
「わしは認めん」
後方で叫ぶ
「ほう、認めんか名は何という」
「大久保七郎右衛門忠世」
「ほう、そなたが蟹江七本槍の新十郎か、主君に異を申すは不忠と言うもんじゃ」
「主君の進む道が間違いの時はそれを正すが家臣の勤め」
「うん、気に入った。七郎右衛門そなたに、小太刀を授ける主を今以上に助けよ」
「ふん! 当然じゃ」
吉伸は 腰元に着けていた小太刀を取ると家康に渡した。
家康はそれを受け取ると、忠世に与えた。
「有難き幸せ」
忠世に代わり家康が礼を述べた。
「そうじゃ家康、そちの代わりに、酒井左衛門尉忠次・松平又八郎伊忠・
伊奈半左衛門忠家・本多平三郎忠真・本多作左衛門重次・高力与左衛門清長・本多隼人忠敏の以上7人は、
来月より余の本城勤務命ずる。
住まいは用意しておく家族と来て良いぞ」
城内は騒然となった。吉伸にはその気がなくとも、
人質よこせともとれぬ発言だったからだ。
しかし、
「申し上げる議が」
突然いつの間にかに吉伸の隣にいた、身体丈夫そうな男が平伏していた。
家康ら家臣共は聞き耳を立てている。
「おぉ、で首尾は?」
「宇津山城城主の朝比奈真次降伏しました」
「うむ」
「本城に連れて行き教育の仕直しじゃ、そなたが城代となり井伊直親を副城代に申しつける、そなたが暫しここで家康を教育せよ」
「家康」
「はっ」
「このものからさらに学べ」
「はっ」
家康は困惑した年下らしき者から何を学べというのだ。
「貴殿の名はなんと」
「わしか、わしは佐山駿河守定国 よろしくな家康」
と言うなり、
後ろにある柱を凍らせてしまった。
「定 、やりすぎだよ」
「へぃ」
微笑む清美の言葉に平伏してる定国であった。
それを冷や汗ながしながら見ていた家康は、
主君となりし吉伸からいろいろ聴くべき事を描いていたが、
すべて吹っ飛んでしまったようだ。
「さて、用は済んだ帰るとするか」
吉伸はそう言うと、三人引き連れ城門から街へ消えて行った。
白 「無くなってしまった」
吉 「励め」
白 「それだけか」
吉 「他に何がある」
白 「・・・」
清美「今後の家康はいかに・・次回 時越え武将 同盟か臣下か?⑤ お楽しみに 」