同盟か臣下か?③
家康が無駄話を付き合うと決めたが、 はたして・・・
時越え武将 始まります
「申し遅れたな」
壇上の少年がわびた。
家康は黙って聞いている。
「余は木下近江守吉伸である」
「家康、我が家臣となれ、さすれば三河一国の主としようぞ、
さすれば三河はすぐにでも落ち着こうに、
で余は今川家を継ぐ」
呆れた家康は
「わしの力で盗ってみせるわッ」
やっと独立できたのに!!
家康は怒り赤く顔をしていると、
「短気じゃの、それぐらいのことで」
「何ッ」
「太原殿の教え忘れたか」
太原の名で冷静さを取り戻すと家康は、
「そんなに簡単にいきますまい」
その一言呟いた。
家康はこの者が継ぐことなど、そう簡単にでなきないと思ってのことだが、
普通の解釈でいくと、三河の安定のことになるが、
「いや、彦五郎ではだめだ、政治は良いが戦では話にならん、
だからここだけの話、義祖母の寿桂尼を落とす。今川を動かしているのは義祖母だ。
手始めに余は遠江を平定させる」
「それが可能として何故貴様の配下にならんといかんのだ!
わしは貴様に負けてはおらん、ならば対等であろう」
「ならば、余と戦うか」
睨みを訊かす吉伸が家康に問う
「さもあらん」
「義弟が義兄に勝てるのか?それに家康よ、すでに貴殿らはすでに負けてござるよ」
「何!」
すでに負けているじゃと、まだ戦ってもおらぬのに?
それに寿桂尼殿を義祖母だと、このものはいったい、
家康は首をかしげ考え込んでいると、
吉伸が家康に問いた。
「のう家康よ負けてないと言うがここは本丸であろうが、そうだろう?」
「確かにここは当家の本丸でござる」
「じゃ、ここへ通したのは誰じゃ?」
確かにそうだ 門は閉じてある以上門番から連絡があってしかるべし、
されど、見つけたのは横にいる元忠だが、話では、すでにここにいた。
ここまで来るのに誰からの報告がない。
家康は考えていると、
「おらんだろう、忍び込んだからのぅ」
「何」
「つまりじゃ、すでに本丸まで落とされている事に気づかれんか?
忍なら可能だが我らは武士ぞ」
吉伸は諭すように説明した。
「それにのぅ、ほれ茶まで、出ておるではないか」
茶を出すよう命じたのは元忠と察し、家康は元忠を睨み
「されど、戦こうてはおらぬ」
立ち上がる家康に一人の男が、止めに入ってきた。
「殿、お待ちを」
「半蔵か」
「戦ってはなりませぬ、我らでは勝てませぬ」
「臆したか半蔵」
「いえ訳は後ほど、降りましょうぞ」
家康は考え込んだ。
はたして家康の答えは・・・
次回 同盟か臣下か?④ お楽しみに