猿の結婚③
残暑続く中 いかがお過ごしでしょうか
時を越えた武将 「猿の結婚③」始まります
翌日の夕方、秋の日差し受けながら吉伸の元へ青年が走り込んできた。
そう接待役の長秀である。彼は吉伸の元にくると、
明日の夕刻より婚儀を清洲城三ノ丸にて執り行うことを伝え、
清洲へと戻っていった。
吉伸一行は婚儀当日の夕刻に清洲城に登城すると、信広と長秀が門前で待ち侘びていた。
「よくお越し下されました。大政所様どうぞこちらへ」
信広が進行方向に、腕を伸ばし自ら先頭に立ち誘導しだした。
吉伸一行は、信広について行き、長秀によって席まで案内してもらうと、席に着く。
吉伸は会場正面の2人の若者を見た。
若い二人が赤面しながら、ぎこち無く座っている。
本来なら当主である織田信長が座る席に並んで座っているのである。
その信長がまだ来てないこともあって信長の家臣達は、会場正面の二人を励ましからかい、
料理をつまみ酒を飲みながら楽しんでいる。
只、数名むすっとした感じでその者達同士で話していた。
おそらく秀吉をよく思っていない連中だろう。
彼らの中心的人物は、ひげ面の男で周囲から権六と呼ばれていた。
吉伸と清美はこの時代の人間ではあるが、未来で歴史を学習した事もあり、
呼ばれてた名前から、元々信長の弟信行家臣の柴田勝家であるとは容易に理解して、
そのことから 中老の男性が筆頭家老の林佐渡守秀貞であり佐久間信盛と若い男が滝川一益と推測された。
『あれ一益だよね』
吉伸は虎政にテレパシーを送った。
『そうだねで、何する気だい?』
虎政は楽しそうに答える。
『まぁ、見てて』
そう答えると吉伸は一益にテレパシーを送った。
もちろん虎政には解るようにしてである。
『彦右衛門殿、出世したければ、林殿や佐久間殿に近寄るなよ』
「誰だ」
一益は怒声をあげいきなり頭脳に聞こえた声を探す為、
周りを見渡して声の主を見つけた。
声の主は向かい側に座っている青年だった。
「彦右衛門、どうしたのだ」
勝家は一益を見て、彼の見ている方に目を向けると、
青年は一益に手を振っていた。
一益は、虚仮にされたと思い、立ち上がった。
「一益、座れ」
その声に彼は振り向いた。
次回お楽しみに(*´∇`)ノ