表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界モノクローム  作者: りゅうさん
第1章:勇者始動編
2/2

柊ゆきなの始まり

日本が誇るオタクの聖地、秋葉原。

そこでとある地下アイドルグループのライブが行われていた。

最近ジワジワと人気が出始めてきた[TwinDreamer]である。

真面目で明るい性格でアイドルに対する熱意は本物の[神崎明香里]と、歌とダンスに自信があり、プロポーション抜群の[柊ゆきな]である。


「2人ともお疲れ様〜!すごく良かったよ〜!」


上機嫌に2人を出迎えたのはTwinDreamerのマネージャーだった。


「ありがとうございます!マネージャーさん!今日も楽しくライブ出来ました!」


プロデューサーに対し明るく返事をする神崎明香里。しかしゆきなは素っ気なくマネージャーの前を通り過ぎる。


「あれれ?ゆきなちゃんご機嫌ななめ?」


マネージャーの疑問に対しカチンときたのか、ゆきなはマネージャーに突っかかる。


「すごく良かったですって?今日のライブのどこが良かったって言うの!?ライブ会場はこの辺でも1番小さいし、お客さんだっていつもの半分くらいだったし、照明とか機材のトラブルだってあったじゃない!」


「そ、それはこの会場が1番安く借りれたしぃ、結構古い建物だから機材とか不具合が出る時だってあるよぉ…」


「いまのあたしたちは軌道に乗り始めてるの!そんな中途半端な事しないで!もっとちゃんとあたし達を売り込んで!」


「ま、まぁまぁゆきなちゃん。マネージャーさんだって色々忙しいんだし…」


「あなたもよ明香里!さっきの歌とダンスはなに?あれが精一杯なの?全然あたしのレベルに合わせられてないじゃない!」


「わ、私だってゆきなちゃんに追いつこうと頑張ってるんだよ…!」


「あんなレベルであたしに追いつけるわけないじゃない。やる気がないならアイドルなんて辞めて欲しいわ」


「そ、そんな…!?」


かなりキツめの事を言われた明香里は涙目になりながら、衣装の裾を握ってわなわなと震えている。


「とにかく、あたし達はもっと売れなきゃいけないの。あなた達はもっと真面目に取り組んで欲しいわ。それじゃ、あたし帰るから。」


そう言ってゆきなは楽屋を後にし帰宅する。



「まったく、あの2人はやる気があるのかしら。組む相手を間違えたかしら…ん?」


ブツブツ言いながら帰るゆきなは背後に違和感を感じた。


(誰かに付けられてる?)


アイドルをやっていれば良くあることだと聞いた事があるゆきなは、足早に帰宅する。しかし背後にいる人物もゆきなのペースに合わせて追いかけてきた。このまま帰っても自宅がバレてしまう上に、一向に遠のかない間隔に嫌気が差し、近くの公園に逃げ込みすぐに身を伏せた。


「……くそっ、どこいった!」


ハァハァと息を切らしながら入ってきたのは大柄の男。どう考えても力で勝てるはずが無い。諦めて帰るまで身を伏せることに決め、体制を整えると足に何かが当たった。するとそこには歪な形の棒のようなものが落ちていた。


「この棒、なにか普通じゃないわね」


不思議と違和感を感じたので疑問に思っていると


「みぃつけたぁ」


「きゃっ!?」


茂みに隠れていたゆきなを見つけた大柄の男は、ゆきなの腕を掴み上に覆いかぶさってきた。


「いやっ、話して!誰か…っむぐ!」


「大声出されちゃ困るからねぇ…いやぁやっぱ近くで見ると可愛いなぁ♡」


口を手で塞がれ声を出せない状況になってしまい、慌てふためくゆきな。次第に呼吸も上手く出来なくなってしまい、意識が朦朧とし始める。


(いやぁ、誰か…助けて…!)


涙目になりながら助けを懇願するも誰にも届かない絶望的な状況の中、偶然にも握りしめていた棒が突然光り輝き出した。


「うおっ!なんだなんだぁ!?」


光に驚いた男は咄嗟にゆきなから離れた。その隙にゆきなは男との距離をとって棒を前に構えた。


「こ、これ以上ち、近づかないでっ!」


抵抗するも体はガクガクと震え上がり、恐怖でいっぱいになり上手く声も出せない。その状況を見て男は冷静さを取り戻した。


「強がっちゃってぇ、ちょっとびっくりしたけど女が男に力で勝てるわけないもんねぇ」


再びジリジリと近づいてくる男に棒を構えることしか出来ない。絶望的状況はまだ続いている。


「いやぁ…こ、来ないでぇぇぇぇ!!!!!」


全力で大声を出し、最大限の拒否をすると、棒の先が光り始めた。


「な、なんだぁ!?また光ってるぅ!?」


男が驚いてるうちに棒の先から小さな火の玉が飛んでいった。火の玉は男の上衣に当たり、メラメラと燃え始めた。


「うわぁぁ!あちっあちちっ!あちぃぃ!!」


急に燃え始めた上衣を脱ぎ捨て、驚いた男は逃げていった。


「はぁ…はぁ…はぁ、助かった…」


なんとか絶望的な状況を打破でき、ホッと一息つく。その後、今起こった現象を冷静に分析し始めた。


「それにしても、さっきのはなんだったの…?突然光ったり、火の玉が飛んだり…」


冷静に分析していると、突然ゆきなの足元が円を描く様に光り出した。


「えっ!?なに!?今度はなに!?なんなの!?」


冷静さを取り戻すもまたすぐに動転してしまう。足元に出来た光はゆきなを包み込み、ゆきなは光に飲み込まれてしまった。


「きゃあああああああああああああああ!!!!!」


こうして柊ゆきなは異世界召喚されてしまった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ